読書/マルクス・シドニウス・ファルクス『奴隷のしつけ方』 ノート20180620
マルクス・シドニウス・ファルクス著
『奴隷のしつけ方』ジェリー・トナー解説 橘明美訳 太田出版2015
奴隷のしつけ方と耳にすれば、アダルト動画をつい連想しそうだが、そうではない。
著者マルクス・シドニウス・ファルクスは、古代ローマ貴族で、広大な土地所有者である。カンバニア地方、アフリカ属州、ローマ市郊外に広大な別荘があった。初期の奴隷というのは家畜であった。歳をとって役立たなくなると、ローマ市街地を貫流するテヴェレ川の中州に棄てていた。これではあまりに残酷だ。マルクスの時代になっても奴隷制は続くのだが、奴隷といえども最低限の人権らしきものはできてきて、家畜扱いはできなくなくなってきたという。奴隷の功労者には、主人が当局に申請することによって、解放奴隷にする者もいた。しかし解放奴隷は、解放直後に、主人による過去のパワハラを法廷で訴えたり、嫁になるという約束で解放した女性奴隷が、若い男と駆け落ちしたり、いろいろな珍事件が続発したりもした。そういう由々しき事態を招かないために記された、当時の、ガイドブックである。
監修・解説のジェリー・トナー氏は、ケンブリッジ大学の古典学研究者だ。実質的にこの人がラテン語を英訳して、それを訳者となっている橘明美氏が邦訳したのだと思う。本の横帯に、「『テルマエ・ロマエ』『プリニウス』のヤマザキマリ推薦」とあるので、この人の漫画『テルマエ・ロマエ』全五巻が発表され、テレビアニメ・実写映画がでていたころだ。その余勢をかって売り出した関連本なのだろうと思う。
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