72/100
読書/中島敦『狐憑』 ノート20180807
中島敦『狐憑』
本著がいつ書かれたかは判らない。短編だ。
ネウリ部落のシャク青年はギリシャ人らしい。
この部落は長老が治める部落で、北方騎馬民族スキタイ人を恐れながら暮らしていた。そのため、部落は水上生活を余儀なくされている。
青年は弟をスキタイ人との抗争の中で失い、身体が不自由になるとともに、さまざまな精霊に憑りつかれるようになる。青年の話は面白く、部落の人々は生活の面倒はみてやるから、面白い話を聞かせろと持ち上げられる。すると、どうも精霊に憑りつかれたというのは嘘で、面白い話を自作しているようなのだ。青年は、話題のモチーフを部落の長老たちにあてつけた。当然のように睨まれる。
それでも最初、部落の人々は、青年を支持していた。ところが青年の話がマンネリになってきたこと、青年を苦々しく思っている長老たちが世論操作をしたことで、青年の立場は一転した。
そして、長老会議の結果、青年は役立たずとして殺され、皆に食われる。
ホメ―ロス登場以前の詩人の末路なのだそうだ。
恐らくは、文筆家である中島敦の理想を言っているのだろうと思う。
ノート20180807




