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読書/宮城谷昌光『夏姫春秋』 ノート20180621
宮城谷昌光『夏姫春秋』上下巻 文芸春秋2000
中国・傾国の美女といえば何人かいるのだが、夏姫は十指に入ることだろう。
時は東周・春秋時代。王室の分家筋に鄭という諸侯がいた。そこの当主が穆公で、娘が夏姫だ。兄は霊公である。夏姫は幼少期に、一門である重臣からイタズラされた。そのため、弱小国である陳に嫁に送られた。しかも、君主ではなく臣下の夏氏である。夏氏では大切にされたのだが、当主が早死にしてしまう。
夏姫は身体を他の有力者たちに与えることで、息子・夏徴舒を守った。ところが夏徴舒は高潔で、母親を弄んだ有力者の一人である君主・陳の霊公を弑逆した。だが前君主の取り巻き二人が国外に脱出し、大国・楚に亡命する。
楚の荘王はのちに中国の大半を制した覇王で、下剋上を嫌った。やがて大軍で陳を攻め、夏姫の息子を殺害し、夏姫自体も奴隷として獲得し、臣下に与えてしまった。
楚の荘王の部下のなかには、夏姫の境遇に同情した者がいた。それが巫臣である。巫臣は、夏姫を救出すると、敵対する晋に亡命した。
中国史において夏姫は、淫婦・悪女としてすこぶる評判が悪い。しかしそれは、無慈悲な時代と美しさからくる悲劇である。作者はこの人を同情的に描いている。
ノート20180620




