読書/夏目漱石『野分』 ノート20180617
夏目漱石『野分』感想文
物語は、メインキャラが三名登場する。
道也先生は、恩師の推薦があって、新潟県の旧制中学校で教鞭を執っていた。ところが、理想と情熱が仇となり、同僚教師たちや、有力者である父兄の反感をかってしまった。先生を嫌った連中は、生徒たちを焚きつけて、パワーハラする。そのため、先生は退職に追い込まれた。
しばらくして。
(旧制)東京帝国大学を卒業したばかりで定職に就いていない高柳と中野の会話となる。高柳は、道也先生の元教え子で、他の教師たちに扇動され、退職に追いやったことを後悔していた。
すると。
中野が、雑誌編集者になった道也先生に取材された話をした。他方、高柳は結核に冒されていた。収入もない。同情した中野は、高柳のために百円を工面する。――物語の舞台となる明治末年の百円の価値は、米価を基準に現在の貨幣価値に換算すると三十三万円相当だという。大正・昭和初期旧制中学校で教鞭をとっていた先祖の給与が五十円だったので、一、二か月分のサラリーマン給与ということになる。
道也先生が再就職先で得る月々の報酬は少なく、生活に困窮し、先生の細君は自分の着物を質入れしていた上に、借金は膨らむ一方だ。そしてついに取り立てがきた。
中野を通じて、道也先生の窮状を知った高柳は、中野の紹介で、道也先生に再会する。そして先生が書いた、売れそうにもない哲学論文「人格論」を百円で買い取った。
ノート20180617




