読書/堀辰雄『大和路・信濃路』 ノート20180708
堀辰雄『大和路・信濃路』
『大和路・信濃路』は随筆で、「狐の手套」「雉子日記」「フローラとフォーナ」「木の十字架」「伊勢物語など」「姥捨記」「大和路」「信濃路」「雪の上の足跡」の9編が収録されている。
「狐の手套」
狐伝説にまつわる話題がある。そこから芥川龍之介の書簡に入る。堀辰雄は学生時代に芥川龍之介を研究して卒論を書いた。
「雉子日記」
お気に入りの場所・軽井沢にやってきて滞在し、友人と狩猟をする。
「フローラとフォーナ」
堀辰雄は、肺結核の療養中に、プルーストの『失われた時を求めて』を読んで影響を受けることになる。軽井沢あたりか、フランスの田園風景を彷彿とさせる景観の小路を歩いて、思索にふける。
「木の十字架」
堀辰雄には、何人か弟子がいて、立原道造は愛弟子だった。立原は早世し堀を嘆かせる。この愛弟子の思い出。
「伊勢物語など」
日本の古典を、西洋文学と比較して、レクイエムという側面から考察する。
「姥捨記」
堀辰雄は、王朝ものというジャンルの小説を書いている。「蜻蛉日記」を元にした「かげろふの日記」、「更級日記」を元にした「姥捨」についての裏話。
「大和路」
今は田畑になってしまった、奈良県にある都城跡・廃寺・現在も残る寺院を巡った感想。堀辰雄は、ここで、万葉集の時代の小説を書きたいものだと思った。著名な研究者たちの書籍を読みあさるのだが、学者のような研究をしてしまうと、かえって良い話にはならないよと、友人の作家に助言される。
「信濃路」
早春、述者とその妻が、信州を汽車で旅していると、車窓の外は吹雪になった。読書をしたい妻、しかしなかば無理やり自分の旅情につきあわせて、花をさかせた辛夷の木をみつけようとする。
「雪の上の足跡」
信州というか木曽というか、そのあたりの雪道で、述者は橇に乗る。
宿に着くと、たまたま滞在していた学生と宿のマスターが、高度な文学談義を始める。
古いエッセイなので、好みが分かれることだろう。
自分としては、「大和路」において、王朝ものの作品を描こうとしていた著者が、研究者になるほどの資料を考証するのではなく、ちょっとかじっただけのほうが面白いものが描けるんだよと友人に助言されるくだりが興味深く思えた。
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