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もう一度妻をおとすレシピ 第9冊  作者: 奄美剣星
Ⅲ 読書感想文
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読書/堀辰雄『風立ちぬ』 ノート20180522

   堀辰雄『風立ちぬ』感想文

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 宮崎駿のアニメ映画『風立ちぬ』をDVDで視聴して、本作を知り拝読した。Wikiを読むと、原作者・堀辰雄は、軽井沢で婚約者と出会い、彼女が信州のサナトリュウムで療養することになると、付き添い、息が引き取る間際は、下の世話までしていたという。いったい、どれほど愛していたのだろう。執筆者は、介護の合間に、執筆をしていたらしい。そのあたりはアニメ版のモチーフにもなったとも思える。

          *

〈主要登場人物〉

述者〈私〉

ヒロイン〈おまえ〉……婚約者・節子。

          *

〈内容〉

Ⅰ 序曲

軽井沢らしいK村。白樺の陰で〈おまえ〉が絵を描いている。〈私〉は、「風立ちぬ、いざいきめやも」とつぶやくと、彼女が復唱。やがて、東京から父親が迎えにきた。

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Ⅱ 春……二年後の3月

婚約した二人で、中央線と思われる列車に乗り、長野・八が岳のサナトリュウムを目指す。まるでハネームーンにでも行くかのようだ。

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Ⅲ 風立ちぬ……夏・秋

〈おまえ〉は二階の病室、〈私〉は一階の付添人部屋に宿泊。〈おまえ〉の病気が進行するまで、まるでデートをするような感じだ。「風立ちぬ、いざいきめやも」という言葉が、〈私〉の脳裏をふたたびかすめた。〈私〉も〈おまえ〉自身も、病状に回復の見込みはないことを悟っていた。そして、医師からそのことをはっきりと告げられる。

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Ⅳ 冬

〈私〉は、献身的に〈おまえ〉を看病するのだが、いよいよ危篤に陥ろうとしていた。〈私〉は〈おまえ〉の父親に電話して、そのことを告げる。〈おまえ〉は、〈私〉と父親とに看取られて、やすらかに息を引き取ろうとしていた……。1935年12月5日のことだ。

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Ⅴ 死のかげの谷……翌1936年12月

〈私〉は、〈おまえ〉と出会ったK村をふたたび訪れた。クリスマスのとき、〈私〉は宿をでて、雪道を歩き、冬季閉鎖する直前の教会に立ち寄り、ドイツ人牧師とちぐはぐな会話をする。それから、菜穂子のために捧げようとしたレクイエムのレコードが宿に届く。部屋の外を窓越しに眺めると、〈おまえ〉が亡くなったときと、同じころに見た雪景色が広がっている。そして、物語の述者は30日で筆を置く。

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〈感想〉

 昔、大学受験生を対象にした『試験に出る英単語』という本があって、その中に、「残り三か月と告げられた恋人たちは全力を尽くして燃え尽きるだろう」という言葉があったような気がする。当時の拙には、それがどこからの引用かよく判らなかったのだが、本作からの引用だと知った次第。

 梶原一騎・ちばてつや作、出崎統監督アニメ作品『あしたのジョー』の主人公・矢吹ジョーは、「燃え尽きたぜ、何もかもがよ……」という台詞を残しリングで息絶える。――同じ有終の美がここにある。

 本作冒頭・K村でのシーンは、宮崎アニメ版では再会してからほどなくの場面だ。宮崎アニメ版の主人公・堀越二郎は、国家の命運をかけた主力戦闘機製作チーフであり、結核に冒された菜穂子介護を理由に責任を放棄しない。二郎にとって、やがて妻に迎える菜穂子との愛は、飛行機制作への情熱と比重が同じなのだ。つまりは飛行機の両翼。妻への愛と仕事への情熱。どっちかを選べといったら両方なのだ。――古風な日本男子の本懐。……結果、妻の死期を早め、自分のこしらえた戦闘機・ゼロ戦は一機も戻らない。でも、妻の魂は、主人公に、「あなた、生きて」とささやいて昇天する。

 個人的に、物語のコンテンツは、堀辰雄版・宮崎版とも同じものだと思う。このうち、アニメは賛否両論があったが、荒井(松任谷)由実の主題歌『ひこうき雲』のフレーズにもあるではないか、「ほかの人にはわからない。でも幸せ」と。

          ノート20180522

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