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もう一度妻をおとすレシピ 第9冊  作者: 奄美剣星
Ⅱ 映画・テレビ
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21/100

テレビ・映画/高橋留美子原作『犬夜叉』 ノート20180502

 4月中旬から高橋留美子原作『犬夜叉』のアニメ版を突貫で視聴した。キャラデザインは古風だが、戦闘シーンでCGをつかい、サンライズがからんだからか、動きもよく『うる星やつら』のころとは格段の違いがあった。

 物語のあらすじは以下の通りだ。

 東京にある日暮神社の娘カゴメが、猫を探しているうちに、妖怪ムカデ女郎に引きずり込まれ、井戸から戦国時代にタイムスリップしてしまう。妖怪は、四百年前に巫女とともに焼かれた四魂の珠というマジックアイテムを欲していた。その珠はな

んとカゴメの体内にあったのだ。

 井戸から出ると、そこは戦国時代で、日暮神社にあった神木には、犬夜叉という妖怪と人間とのハーフ(半妖)が、封印されていた。四魂の珠を飲み込んだムカデ女郎は、カゴメに襲い掛かる。犬夜叉は自分を封印から開放してくれたら、倒してやると申しでた。カゴメには選択の余地がなく、犬夜叉に刺さっている封印の矢を抜いてしまう。解放された犬夜叉は、ムカデ女郎を瞬殺。しかし味方ではなかった。カゴメが昔、自分を裏切って封印した巫女・桔梗そっくりだというので、八つ裂きにしようとすらしていたのだ。すると、桔梗の妹で、姉の没後五十年間神社を守ってきた隻眼の巫女・楓によって、犬夜叉を制御するマジックアイテムの数珠を渡され、犬夜叉を調伏することに成功する。その呪文が、「お座り!」。

 ところが、四魂の珠は烏のような小妖怪に食われた。カゴメは弓矢に、犬夜叉によって切断された烏妖怪の脚をくくりつけて放ち、見事に命中させた。だが、そのために四魂の珠は砕けてしまい、日本中に四散してしまった。

 四魂の珠を所持した者は、人間であろうと、妖怪であろうと、天下をとってしまうような、強力な妖力を持つ。

 隻眼の巫女・楓の意をくんだカゴメと犬夜叉は、四魂の珠のかけらを探す旅にでた。四魂の珠はかけらとなっても、スーパー・アイテムであることには変わりなく、両脚に埋め込めば俊足となり、死人に埋め込めば蘇るほどの霊力がある。カゴメと犬夜叉は当初、喧嘩ばかりしていたのだが、旅を通じて、互いを理解しあい、やがては愛し合うようにもなった。また道中で、四魂の珠がらみで旅をする人間、ブラックホールの入り口「風穴」を手にもつエクソシストの弥勒法師や、モンスターハンター「退治屋」最後の生き残りである珊瑚と出会い、仲間にする。珊瑚にはよくなついた猫股のキララというおまけまでついていた。さらに、道中で、マスコット的な小狐妖怪の七宝も仲間に加わる。――本筋のパーティーはこれでそろう。

 犬夜叉は、貴族出自である人間の母親と、西日本の妖怪世界の覇者たる犬の大将との間に生まれた。――この犬夜叉には腹違いの兄がいた。――犬の大将と、妖怪世界における王族級の母親との間にできた、殺生丸だ。

 殺生丸は、中世に流行った方位神によく似ている。方位神は、ギリシャ神話にでてくる、酒の神バッカスのようなもので、所定の場所には落ち着かず旅をするのだが、偶然でも進路を妨げる者がいると、問答無用で八つ裂きにしてしまう物騒な神だ。日本版は、午王頭大王で、スサノオの尊と習合されている。――妖怪世界のプリンスは、弟を半妖と呼んで蔑むのだが、父親が、二振り残した名刀のうち、犬夜叉には良いほうである鉄砕牙を遺贈し、自分には余りものである天生牙を遺贈した。これを不服として、鉄砕牙を奪おうとするのだが、刀に拒否された。――殺生丸は、最初一人で行動していたのだが、忠誠心の厚い小妖怪の邪見、やがて恋仲になることを予感させられる人間の童女リン、退治屋・珊瑚の弟である琥珀をパーティーに加えることになる。

 方位神は、自分の進路を邪魔する者を嫌う。殺生丸は頭脳明晰で、弟・犬夜叉との確執につけこんで焚きつけた半妖・奈落が、自分を操ろうとした真意をすぐに見抜いた。プライドを傷つけた邪悪な黒幕に報復を図るようになった。このことで、最初は兄弟喧嘩ばかりしていたのが、なんだかんだと、共通の敵である奈落を倒すために共闘するようになっていく。殺生丸は、他者をいたわるように成長し、孤高の放浪神による覇道は王道へと昇華していくことになる。

 奈落は、極悪非道の野党・鬼蜘蛛が、仲間を裏切ろうとして半殺しにされ、死にかかったところを、巫女・桔梗に助けられたのだが、桔梗の美貌に邪恋を抱き、魑魅魍魎たちに心身を与えて手に入れようとした。しかしそのことは、四魂の珠の意思でもあった。だが、魑魅魍魎たちと合体した鬼蜘蛛は、本来の邪恋の遂行という目的は、四魂の珠の意思によって達せられず殺してしまう。さらにまた、桔梗の恋人であった犬夜叉を、嫉妬から、互いに殺しあうようにしむけたのだ。

 四魂の珠は、巫女桔梗が死に、荼毘にふされたとき、一緒に焼かれた。しかし桔梗が転生したカゴメを介して復活し、不思議な「骨棄ての井戸」に引きずりこまれたことで、再び追い求めるようになった。

 奈落は、第一の分身カンナ以下多数の分身を生み出す。分身とはいっても、男女の性別があり、しかも、それぞれに人格があって、奈落による支配を嫌っている。奈落は分身たちを捨て駒にしか見ていないからだ。このため、第七の分身・夢幻の白夜以外からは忠誠を得られなかった。

 このほかに、妖狼族、七人隊といったグループが、犬夜叉、殺生丸、奈落といったパーティーに接近したり対立したりする。

 物語世界は、戦国大名・北条家の勢力圏での出来事だ。四魂の珠は、数百年前にいた、翠子という巫女が妖怪と戦った結果、妖怪たちの邪悪な思念と巫女の気高い思念とがぶつかりあって結晶化したものだ。それが妖怪狩りの集団・退治屋たちの手にわたり、清めてもらうため、日暮神社の前身らしい神社の巫女・桔梗に託されたのだ。

 桔梗は、裏陶という魔女のような黒巫女によって復活させられるのだが、身体は陶器でできている。最初はただの陶俑であったのだが、転生者カゴメの魂魄の一部を吸収することで、本来の意思を回復し、裏陶を殺した。また、昔の恋人である犬夜叉といい仲になってきた、人格の異なるカゴメに激しく嫉妬する。以降、桔梗も、殺生丸同様に、孤高の方位神化しつつ、独自に奈落を追い詰めていく。

 西遊記ベースの物語世界を構成する、犬夜叉・奈落・殺生丸の三グループは、表面的に、善悪・トリックスターといった形をとりつつも、本質的には同じ性格のもので、四魂の珠と珠を浄化しようとする巫女・桔梗とカゴメの周りをぐるぐると回っている。

 さらに、犬夜叉と昔の恋人桔梗とのロミ・ジュリ要素、今の恋人カゴメとの三角関係が物語に彩を添え、奈落の本性にある野党鬼蜘蛛の犬夜叉・桔梗に対する横恋慕がある。殺生丸とリンの間で育まれる愛、さらに殺生丸と奈落の第二分身・カグラとの悲恋が、もう一つの萌え要素を形作っている。

 なお、犬夜叉の半妖の設定って、菊池秀行の『吸血鬼ハンターD』にでてくる、吸血鬼と人間のハーフであるところのダンピール、主人公Dそのもののようにも私は感じる。

 他方で、殺生丸の衣装にある家紋は、藤原氏の「三つ亀甲」で、貴紳を表しているのだろうが、人間を蔑む、誇り高いこのキャラが、犬夜叉も血を引くだろう藤原氏の家紋なんて身に着けるものだろうか。また、近世・江戸時代になって流行る、近世風城郭、瓦葺建築や畳がある庶民の住宅、錦鯉が、中世・室町時代なのになぜかあったりする突っ込みどころはあるものの、『犬夜叉』は刺さる要素が余りある。

          ノート20180502

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