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21話 パルマの思い出

 パルマの家の中は酒瓶で埋め尽くされていた。

 中々酷い有り様だ。これはどうしたものか。


 とりあえず酒瓶を全て纏めて家の前に放った。酒瓶を片付けたらゴミの九割は片付いてしまった。


 あと残っているのは床に転がっている鎧と剣だけだ。

 ずいぶんと立派な装飾が施された剣だ。それに鎧も兵士が着ているような粗末なものとは違う。

 鎧と剣なんてよく見たことは無いから分からないが、かっこいいから安物では無いだろう。

 これは後でおじさんに届てやるか。


 片付いてしまうと、昔と何も変わらない部屋になった。家具はパルマが住んでいた頃のものをそのまま使っていたようだ。

 懐かしい我が家だ。

 パルマが俺のために拾ってきた子供用の椅子もそのまま残っている。


 パルマが元気だった頃はいつも食卓の椅子に座って酒を飲みながら煮豆を食べていたな。

 俺はパルマの膝に座らされて酒をつぐの

が日課だった。俺が酒をつぐとパルマは嬉しそうに笑って煮豆を口に詰め込んでくる。

 あの煮豆は不味くて嫌いだったが、パルマが喜ぶならと我慢して食べたものだ。

 今にして思えば、本当に愛情を持って育てられたのだ。パルマは家にいる間片時も俺の傍を離れず色々な話をしてくれた。

 どこそこの旦那が娼館に通いつめているとか、どこそこの奥さんが旦那に呪いをかけただとか、人を食う化物の話とか、宇宙の真理だとか、およそ子供に聞かせるような話ではなかったが。

 元々話好きな性格だったのだろう。この世界に産まれたばかりの俺にとっては何もかも新鮮な話で楽しく聞かせてもらった。

 中でもお気に入りだった話は英雄オッドの冒険譚だ。


 英雄オッドは富も名声も手にいれたいけ好かない男だった。オッドはこの世界を滅ぼさんとする闇の魔女シカバを倒しに行った。しかし、シカバの美貌に惚れてしまったオッドは、シカバに付きまとい行為をするようになる。

 オッドの求愛をあしらい続けるシカバにオッドは言った。我が愛を信じられぬと言うならお前の魔法で我が心の内を覗くがいい、と。

 シカバはオッドの心の内を覗いた。そこには二十三人の女性がいた。地元の娘、旅先で出会った女、旅仲間の女剣士……

 シカバは魔力でオッドの下半身を封印し、そのまま百年生きる呪いをかけて姿を隠した。


 俺とパルマはオッドの下半身が封印される度に手を取り合って喜んだものだ。


 昔を思い出していると、少ししんみりとしてしまった。パルマ、この家は俺が守ろう。

 今や事故物件だがな。

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