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20話 飲んだくれ

 暖かい朝日の中で目を覚ました。

 起きてすぐにげんなりとした。


 キングサイズより一回り大きいベッド。無駄に広い空間。ゴージャスなインテリア。

 とても落ち着かない。

 昨夜は仕方がなくジョイスの部屋で寝たが、やはりこの部屋の広さはおかしい。

 普通部屋と言ったらこうもっと狭くて手の届く範囲にだいたいの物が揃っているはずだ。

 まるでデパートの寝具コーナーで寝ているかのような居心地の悪さだ。



 「グラルド様。おはようございます。よく眠れましたかな?」


 ホールへ出るとヘライオスが待ち構えていた。


 「いや、まったく。俺は別の家で暮らす」

 「え?王が城にいなくてどうするんですか。警備とかの問題もあるんですから」

 「警備は必要ない。とにかくこの家はダメだ」

 「ちょっと、グラドル様?」


 俺はヘライオスを無視して城を出た。


 どこかに良い家は無いかと、町中をぶらぶら歩いてみた。


 「ちょいっと、そこのお兄ちゃん」


 声がした方を向くと、キノコを買ってくれた怪しいおばさんがいた。


 「あんた、王様になったんだって?いやあ、あたしゃあんたが大成すると思ってたんだよ。あたしの目はたしかだからね」

 「なんだ、おばさんか。この前は世話になった。10バルの恩は忘れてないぞ」

 「……い、いやだね。あたしゃ騙したりしちゃいないよ」

 「なんの話だ?」

 「何でもないのよ。気にしないでちょうだい。そうだ、今度また店に遊びに来てくださいな。あたしゃ占いをやってるんでね、タダで占ってさしあげますよ」

 「そうか。今は忙しいから今度行こう」


 おばさんと別れた。

 町中を散策していると娼館の近くの道端で眠っているジョイスを見つけた。


 酒臭いし香水の匂いがプンプンしている。

 何してるんだこいつ。

 とりあえずほっておこう。


 そのまま娼館の脇道に入りパルマの家へ向かった。


 やはり住むならここだろう。住み慣れた我が家だ。

 家を見ていると赤ら顔のおじさんが出てきた。


 「しゃあおめえ!なに人の家じろじろ見てるら!かもすぞ!」

 「おい、おじさん。俺はここに住みたい。譲ってくれ」

 「ああ?ここを譲ったらおらぁどこで寝んだよ。道端で寝るのか。おおん?バカにすんじゃねえよ。騙されるかってえの!おらぁ酔ってねえど!」

 「そんな事言ってないだろ。俺はこの家に住むから、おじさんは城に住んでくれ。交換だ」

 「城だあ?男は誰だって一国一城の主よ。ここが俺の城だってえの!赤い屋根の小さなお城ってな!」

 「わかった。わかったから、ちょっと来い」


 俺はおじさんを連れてジョイスの元へ向かった。

 それからジョイスを叩き起こした。


 「ジョイス、おはよう。お前に頼みがある」


 ジョイスは混乱した様子でフラフラと立ち上がり軽くえずいてからこっちを見た。

 愉快なやつだ。


 「グ、グラドル殿。これはこれは、わざわざ訪ねて来てくださったのですか。今お茶を用意しまっオエッオロロ」


 まさかこの吐瀉物をお茶だと言うつもりか。


 「ハァハァ、すみません。見苦しいところをお見せしました。今マールを呼びますので。マール!マール!」

 「落ち着け。ここはお前の家じゃない」

 「え?……はあ!どうして、いったいこんな。おかしい、昨夜の記憶がない……まさか薬を盛られたのか。昨夜わたしの身に何があったんだ!」

 「お前の身に何があったのかは娼館に行けばわかるだろ。それより頼みがある」

 「た、頼み?なんでしょう?」

 「このおじさんを城に連れていって住まわせてやれ」


 ジョイスはおじさんをチラリと見た。


 「ああ、何見てんら、この酔っぱらいがよお、おめえ、酒は飲んでも飲んだくれってな、知らねえのか!」

 「失礼な。誰ですかこの男は?わたしは酒など飲んでいなっオエッ酒くさこいつ」

 「酒臭いのはおめえらろうが!んだら!」


 二人の意気はバッチリ合っている。


 「それじゃあ頼んだぞジョイス。おじさんの私物は後で城に運ぶ」


 ジョイスとおじさんは並んでフラフラと去っていった。ジョイスがきちんと理解したのかは怪しいが、まあ大丈夫だろう。

 後ろから見れば朝まで飲んでいた友達同志にしか見えないから仲良くやってくれるはずだ。

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