第4章 : シャーロット・宮島による幕間劇と物語…2
◆◇◆
「入って入って……」
水着を買いに行ってから二日後、私は旅行の準備のために、友達をうちに招待した……。
Hi〜〜私、シャーロットです。今日もまた、友達に会える一日……正直、日本に引っ越してきてから、退屈だと感じたことなんて一度もない……。
優しい友達に出会えて、色んな人と知り合えて、生まれ育った国や、これまで引っ越してきたどの土地とも違う、珍しい活動をたくさんできた……。
見たこともない食べ物、見たこともない文化、そして色んなこと……。
最初は、日本人はあまり私たちみたいな外国人と仲良くなりたがらないって聞いていた……。でも実際は、全然そんなことなかった……。
最初のうちは寂しかったし、日本語もあまり流暢に話せなかったけど……友達はいつも助けてくれた……。
あとになって、彼らが私を助けてくれたのは、私が可愛い顔をしてたからだって分かったりもしたけど……それでも、周りの人たちに気味悪がられる前に、心から親身になってくれる友達のグループがいたことは、本当によかったと思う……。
「えっと……ここ、家……だよね?」
「うん! This my home 〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
なんでみんな、うちの前でそんなに緊張して固まってるのか、よく分からなかった……。
「もう、いいから……早く入って……」
私は九依奈ちゃんの腕を引っ張って、家の中へ引き込んだ……。みんなは物珍しそうに、家の前の庭を右へ左へと見回していた……。
「これ、あんたの家の花畑?」
「うん……前に話したことある花畑だよ……見て……綺麗でしょ……」
「そ……そうだね……」
理紗っちみたいなおしゃべりな子でも緊張しちゃうんだ……実際、みんな緊張しきっていた……。唯一、真司くんだけが、うちの花畑の写真を撮りに行っていた……。
しかもボディーガードの人たちとも一緒に写真を撮っていた……。あら……みんな快く撮らせてあげてる……。
「どうしたの?……今日は遊びに行くんだから、そんなに緊張しなくていいよ……」
九依奈ちゃんは軽く咳払いをしてから、本音を打ち明けた……。
「あのね……私たち、わくわくはしてるんだけど……正直に言うと、あんたの超豪邸を見て、どうしていいか分からなくなっちゃってるだけなの……」
「What!?」
ちょっと待って、ちょっと待って……どうしていいか分からないって……これはただの家であって、豪邸なんかじゃないんだけど……。
「そうだよそうだよ、シャルちゃん……だって、あんたお嬢様なんだもん……緊張しちゃうよ……」
え?……。
「はは……もう、まったく……その気持ちは分かるわ……」
明るい女性の声が響いた……。
「お母さん!?」
「まあまあ、シャルちゃん……うちは他の家とは違うわよ……そんなに緊張しなくていいの……うちの仕事は、別に危険なことをしてるわけじゃないんだから……」
お母さんがそう言うと、みんなほっと胸を撫で下ろした……。
「こんにちは……おばさん……」
彩葉ちゃんが挨拶をした……でもお母さんは指を振って止めた……。
「おばさんなんて呼ばないでちょうだい……まだそんなに歳とってないもの……アメリアって呼んでいいわよ……」
「そんな、いいんですか?」
衣乃ちゃんが恐る恐る聞いた……。
「いいのよ……ヨーロッパでは、名前で呼び合うものだから……」
「じゃ……じゃあ……改めまして、こんにちは、アメリアさん……」
お母さんはそれを聞いて、たちまちにっこり笑った……。お母さんは美意識がとても高い人なの……気にしないで……。
「こんにちは、アメリアさん……」
みんなが親しげにお母さんに挨拶をした……子ども好きなお母さんは、心底誇らしげな満面の笑みを浮かべた……。
カシャッ……ポラロイドカメラの音がまた鳴った……。
真司くんだった……。
「あら……こっそり撮ったの、坊や?」
「あっ……すみません……その、アメリアさんとシャーロットちゃんが、ちょうど写真映えする位置にいたので……つい……」
「あら、私まで撮ってくれたの!? 見せてもらってもいい?」
「どうぞ……」
お母さんは子どもみたいに目を輝かせていた……私はこういうお母さんの性格には慣れっこだけど……友達はというと、微笑ましそうにみんなでニコニコしていた……。
正直、私のほうが恥ずかしくなってしまった……。
「Oh! すごいじゃない……とっても素敵に撮れてるわ……ねえシャルちゃん、この坊や、写真撮るのすごく上手なのね……」
「……そう……ですね……」
お母さんが私を手招きした……私は少しおどおどしながらも、真司くんのほうへ歩いていった……。
ああ……ああ……。
My god……目の錯覚かな? でも今日の真司くん、いつもよりかっこよく見える気がする……。
なんていうか……金髪の男の子とポラロイドカメラって、どう見てもすごく相性がいい気がする……。
「わあ……本当に綺麗ですね……」
「でしょ?……」
私は彼の顔を見た……そして一瞬、彼もこちらを見た……目が一瞬合った……私は思わず、自動的に目をそらしてしまった……。
それを見た真司くんはにこりと笑って……それから……カシャッ……もう一度、私の顔を撮った。
「シャーロットちゃんって……可愛いね……」
「え?……えっと……um……w……well……」
振り返らなくても分かる、友達がみんな手で口を覆っているのが見える……絶対、心の中で叫びまくっているはずだ……。
彼のこと好きだなんて言わなきゃよかった……ああもう……これは絶対、しばらくからかわれる……。
シャッ……写真がカメラから出てきた……彼はそれを私に差し出した……。
「……ありがとう……」
適当に撮った写真かもしれないけど……その構図は、誰にも比べられないくらい美しかった……。
これで、写真の世界に収められたのは二回目だ……。彼が私を撮ってくれた最初の人ではないけれど……それでも、彼に撮ってもらえて、心の底から嬉しかった……。
「さあ、どうかな……あなたたち、娘の友達なのね……車はもう用意してあるわ……そろそろ時間よ……」
スーツを着終えたお父さんが、ちょうど家の外に出てきた……みんな普通に挨拶を交わした……。お父さんとお母さんは正反対の性格をしている……お母さんは明るくて元気いっぱいだけど、逆にお父さんは物静かで、必要なことしか話さない……でも、とても優しい人だ……。
「はい……」
今回は友達をたくさん連れてきた……今日遊びに行くメンバーは、私、お父さん、お母さん、九依奈ちゃん、彩葉ちゃん、真司くん、洋くん、理紗っち、それから衣乃ちゃんだ。
まあ……ちょっと大人数になっちゃったから、ワゴン車で行くことになった……。
みんな、そのワゴン車が高級ブランドだと気づいて、また体を強張らせた……でも、乗らなければ遊びに行けないし……。
私の隣を歩いていたお母さんが、そっと耳打ちしてきた……。
「シャルちゃん……あのカメラを持ってる坊や……もしかして、こっそり気になってるんじゃないの?」
「はあ!?……お母さん何言ってるの!! 私、彼のこと全然気になってなんかないから……」
お母さんはまた、意味ありげな笑みを浮かべた……。
「はいはい……気になってないなら、それでいいわ……でもね……あの子が将来、うちの婿になったら、それはそれで素敵かもね……」
「お母さん!!!」
◆◇◆
白浜ビーチ近くのとある食堂にて……。
「西尾くん……携帯……」
店主の息子である浩太くんが、私に携帯電話を渡してくれた…。
「ありがとう。もしもし……」
『こんにちは、西尾くん……シャーロットです』
電話の相手は、知り合いだった……。
「ああ、どうしたの?」
『白浜ビーチに、清美ちゃんと一緒に来てるって聞いたんですけど』
「うん、清美の親戚の仕事を手伝いに来てるんだ。それがどうかしたの?」
『私たちもそこに行くことになったんです……メンバー全員で……』
「え!?……マジで?」
『はい……たぶん夕方には着くと思います。近くのホテルに泊まる予定なので……もしタイミングが合えば、夕方に会えるかもしれませんね……』
「ああ……じゃあ、また後でね……」
『また後で……』




