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そんな平和な生活も、あっという間に1年が過ぎ、お兄様の卒業式。
在校生として参加させていただきました。
本当に厳かで粛々と進められ、先生方や保護者の方々が、心から卒業生を祝福していて、自然と涙が頬を伝って。
お兄様の卒業証書授与に見せた、晴れ晴れとした笑顔に、感動しかなかったわ。
私も、悔いないように、卒業まで全力で青春を謳歌し、努力する事を誓います。
学年末の休みが終わり、楽しい学園生活再びと穏やかに過ごしていたのに、なんだか、皆んなに心配されている気配がする。
教室に入ると、何かを言い出しにくそうに、周りから気遣われてる。
そして、友人から、フォスター王子が、男爵家令嬢とかなり親しくして、添い遂げたいと公言していると聞いた。
えっ。嘘。
最近、全く会っていないけれど。
あんなに辛い、めんどくさいフォローに耐えてきたけれど。
うつむいて、肩がプルプル震えだす。
クラスメイトは、皆、私の頑張りを知っているので、フォスター王子を批判したり、涙を流している令嬢もいる。
口の中の肉を、ぎゅっっと噛む。
耐えろ。耐えるんだ。
この機会を逃すんじゃない。
このままだと、笑顔がこぼれてしまう。
そっと、一筋、口内の痛みから涙をながす。
儚げで虚な表情をつくる。
みんなが、私の味方だって、声を上げてくれた。
でも、お願い。皆様どうか邪魔しないであげて。
我が国のフォスター王子は高尚なお考えをお持ちなのです。
そっと見守りましょうと、儚げに声をかける。
教室の後方で爆笑している、ユング王子とだけは目を合わさないようにしよう。
さぁ。これを利用しましょ。
尻拭い同盟は、密やかに暗躍する事にした。
そして迎えた、フォスター王子の代の卒業式。
フォスター王子、私のエスコートを断り、傍らにはクリクリピンクのお目目のふわふわベージュの髪の男爵令嬢と会場入りをした。
2人共遊び歩いたせいで、昨日まで補習だったらしいけれど、まぁ、ここにいるって事は、通過したのね。
あーあ。
そこで、やらかしてくれた。
フォスター王子は、卒業証書授与のために壇上へ登り、中央に来た瞬間、くるりと観客席の方へ向き、私を指差し高らかに声をはりあげた。
「悪質なステファニー・クラランスとは婚約破棄し、マーガレット・ウララ男爵令嬢と婚約を結ぶ事を宣言する。」
一瞬の沈黙。
そりゃそうだろうよ。何言っているんだ。
オマエだけの卒業式ではない。
雰囲気も丸潰れ。
国王と王妃は、壇上横の目立つところのお席で参列されていたので、2人揃って呆けているのが見てとれた。
会場の空気もお構い無しで、キンキン声をあげながら、フォスター王子が叫ぶ。
「おい、分かったか。」
はぁ?おいコラ、お前が分かってんのか。いい加減にしろ。
私は、背筋を伸ばして、スクッと立つ。
「婚約破棄ですか?
そちらの有責で婚約を白紙にもどすと言う事でよろしいでしょうか。」
「はぁ?こちらの有責?そんな訳あるか。
オマエみたいな悪辣なヤツは、オレの横に相応しくない!
ここにいる皆が証人だぁぁ」
「婚約破棄。喜んで、えぇ、喜んで承ります。
卒業生皆様の貴重な時間をいただき、申し訳ございませんでした。
ただ、私の名誉のため。この場で悪質、悪辣とおっしゃる意味合いだけ、教えてください。」
フォスター王子は、鼻をフンッとならし、
「オマエが、オレのマーガレットをいじめて、最悪な事に、階段から突き落とし殺しかけた事はわかっている」
フォスター王子が、オマエと言う度、国王の後ろで警護している、宰相の父のこめかみがピクピクし、王と王妃もビクビクする。
お父様、参列者の保護者様達も、かなり怯えてましてよ。
気を取りなおし、
「フォスター王子、では、私がウララ男爵令嬢をいじめたり、階段から落としたりしたという、証拠はあるのですか?」
「マーガレットが泣いて、オレに訴えてきた。それが証拠だ」
マーガレットも、壇上に駆け上がってり、フォスター王子に縋るように抱きついた。
そして、可愛いのかよく分からんが小さくプルプル震え泣きながら、ステファニー様が怖いと言う。
なんじゃそりゃ。オマエが怖いわ。
「フォスター様、ウララ男爵令嬢。私はそのような事はしておりません。
それに、この学園は、あらゆる公共の場に、陰ながら見守る監視役様がいらっしゃるのですよ。
そして、当然、いろいろな行いが報告されております。
ウララ男爵令嬢、監視役様からの報告で、ご自分で数段落ちていたと伺っておりますが、いかがですか?」
マーガレットは、きょときょとしだす。
ウララ男爵夫妻は、直感で娘が嘘をついている事が分かり、真っ青になって震えている。
フォスターが、また叫ぶ。
「オマエが嫉妬に狂ってしたんだろ。王妃なんかに相応しくないぃぃ!」




