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第14話 ゴブリン討伐

 陽が昇ると同時に、セイメイ達は出発の準備を始めた。

 目指すは、ゴブリンの巣窟と呼ばれているアマンダバーの森である。

 セイメイは白鉄(しろがね)製の鎖かたびらを着込み、鎧をその上から装着した。

 兜は視界を遮る為に、移動中は被らないことにした。


 左腰に愛刀を帯刀すると、軽くストレッチをする。

 ガンツの店で試した通り、スムーズに動くことができた。

 ガンツの見立てと、調整は確かだったようだ。


 (かすみ)と、(すみれ)の部屋を訪れると、扉をノックした。


 「(かすみ)(すみれ)出立の時間だぞ」


 その音に、弾かれるように2人が反応する。


 「はい、只今!!」


 「すぐに、伺いまする」


 5分もしない内に、2人が姿を現す。


 「本日は、ゴブリンの巣窟に向かうとのこと」


 これは、(かすみ)


 「我らの本領をご覧にいれます」


 これは、(すみれ)


 「それは良いが、その格好で向かうのか?」


 セイメイは、問う。


 2人共に、寝間着姿だった。


 「「これは、お見苦しいものを!!直ちに着替えて参ります」」


 2人揃って、応えた。


 身体つきが、はっきりと分かる寝間着姿に、セイメイが悶々としたのは、セイメイのみの秘密である。


 城塞都市メルキを出発して、約2時間。

 セイメイ等は鬱蒼とした森を訪れていた。


 「これが、アマンダバーの森」


 「言い知れぬ、闇を感じますな」


 (むくろ)くノ一の2人は、そんな感想を述べるが、セイメイにはただの森のように感じられた。


 「お前達も、何か感じるか?」


 セイメイは、骸武者(むくろむしゃ)足軽髑髏(あしがるどくろ)に、念を飛ばすが、帰って来た答えは、


 「「しかり!!」」


という、肯定的な答えだった。


 ふ~ん?という思いから、アマンダバーの森に立ち入ったセイメイ達であったが、その思いはすぐに裏切られることとなる。


 「何なんだよ。このゴブリンの数は!!」


 セイメイは、何匹目かも分からない、ゴブリンを切り捨てた後に、愛刀にこびりついた血糊を、和紙でぬぎとる。

 いくら、神からの贈り物とはいっても、限度が有る。

 血糊にまみれた、和紙を投げ捨てると、セイメイは、状況判断に努めていた(かすみ)に声をかける。


 「次の群れは、いつ頃到着する?」

 

 「15匹程が後10分後に会敵します」


 「そんなにか!?」


 1匹1匹は、大したことの無いゴブリンといえど、数がまとまれば、厄介者となる。

 セイメイ達は、既に50匹以上のゴブリンを討伐していた。


 「いくら、ゴブリンの巣窟とはいえど、数が多過ぎる。これは、魔物氾濫(スタンピード)の前兆では無いのか?」


 セイメイは、そう考え始めていた。


 「次の群れ、会敵します!!」


 (かすみ)が、大声で注意を促して来る。


 次の瞬間、セイメイ達はゴブリンの群れと、接敵していた。





 セイメイ等が、討伐したゴブリンが200匹を超えた頃、(かすみ)が、セイメイに提案して来た。


 「セイメイ、ここは、足軽髑髏(あしがるどくろ)達を犠牲にしてでも、離脱すべき場面です」


と。


 セイメイは、その案を即座に棄却した。


 「妖怪(あやかし)とはいっても、今まで、一緒に戦って来た仲間だぞ、それを」


 気が付くと、足軽髑髏(あしがるどくろ)10体が、セイメイ達を取り囲んでいた。


 「お前達、まさか、そんな・・・・・・」


 初めて、足軽髑髏(あしがるどくろ)達から、念話が飛んで来た。


 「行って下さい。ここは何とかします」


 「殿の為に、殿(しんがり)を務めるならば、本望!!」


 そんな念話ばかりが飛び込んで来た。


 「ゴブリンごときの為に貴様等を失うことになろうとは・・・・・無念!!」


 



 セイメイは、足軽髑髏(あしがるどくろ)達に殿(しんがり)を任せ、城塞都市メルキに帰還した。

 城塞都市メルキの冒険者ギルドは、セイメイ達の遭遇したゴブリンの異常な数から、アマンダバーの森で、魔物氾濫(スタンピード)が、発生していると判断して、アマンダバーの森を一時立ち入り禁止として、十分な数の冒険者を揃えて、侵攻した。

 その頃には、セイメイと足軽髑髏(あしがるどくろ)達のパスは切れていた。



 セイメイは異世界に来て、始めて同郷の仲間を失ったのであった。

 

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