第13話 狩猟 2
街に戻ると、早速冒険者ギルドに行き、角ウサギの肉10匹分の納品と、ゴブリン10匹の討伐報酬を貰った。
角ウサギは、血抜きの状態を誉められた。
角ウサギ10匹で、500モル、ゴブリン10匹で1000モルの報酬で、金貨1枚、銀貨5枚の報酬を受け取った。
今回の報酬は、ギルドガードに入れずに、そのまま受け取った。
宿の銀毛の山羊亭に帰る途中に、菫が見付けたという店に寄ってみた。
そこは、獣、魔物の毛皮、革を専門に手掛ける、その名もビーストといった。
「すみません!!魔物の毛皮の買い取りをお願いしたいんですけど!!」
菫が、魔物や獣の毛皮や革で、一杯の店内に声を掛けると、
「いらっしゃいませ、毛皮、革の専門店ビーストにようこそ!」
ハートマークが、付きそうな声と共に店の奥から、現れたのは、ピンクの前掛けをした、筋肉ムキムキの大柄な、おっさんだった。
「アラまあ、可愛いお客さん達!本日は毛皮の買い取りですって?」
「ええ、ハイ、角ウサギの毛皮10匹分なんですけど・・・・・」
固まってしまった、菫の代わりに、霞が対応する。
「角ウサギの毛皮ね!拝見するわ、フムフムこれは・・・・・」
おっさんは、人が変わったように、真剣な眼差しで角ウサギの毛皮を査定していく。
「かなり大きな成体で、上手に血抜きしたうえで、解体したのね。
毛皮に、血や内臓の臭いが移らずに上手に下拵えしてあるわ、満点よ!!
1匹に付き、20モルで買い取るわ!
10匹分で200モルね!!」
と言って、おっさんは銀貨2枚をカウンターの上に取り出した。
「やったです!!
冒険者ギルドなら解体料金が取られるところを、200モルの稼ぎです!!」
漸く、硬直から立ち直った菫が、2枚の銀貨を手に跳び跳ねる。
「冒険者ギルドねぇ、アソコも悪い組織ではないんだけど、こういうサービスが駄目なのよね」
おっさんは、渋く葉巻を吸いながら、おネェ口調で会話を続ける。
「確かに、依頼掲示板に掲示された依頼が全てでは無いわ。
でも、新米の坊や達に、そこまで気付けっていうことの方が酷じゃない?」
そこまで、言っておっさんは葉巻を灰皿に押し付ける。
どうでも、良いが商品の前で、葉巻を吸って臭いが移らないのだろうか?
「その点、貴方達のチームは、バランスが良いわ。
それは誇って良いことなのよ、また何か仕留めたら持ってらっしゃい。
特別にタダで解体してあげるわよ」
そう言って、おっさんに見送られて、セイメイ達はビーストの店内から出た。
「不思議な気配の御仁でした」
霞が、汗を拭いながら言う。
「確かにおかしな人だけど、敵じゃないよ?」
菫が、銀貨を夕陽に照らしながら言う。
「菫その金は、セイメイの物です返しなさい」
霞が、菫に注意する。
「ベーっ!!分かってるよ!小姑霞!!」
「誰が小姑ですって!!」
「良いから、帰るぞ、2人共」
宿に帰ると、以前に訪れたガンツの店から、荷物が届いていた。
セイメイ用に調整した白鉄製の鎧と鎖かたびらが漸く届いたのだ。
部屋に戻り、箱から取り出して、着込んでみると違和感無く装着でき、金属製にしては軽い特徴も健在だった。
「白鉄って名前なのに、黒色なんですね?」
菫が、感想を言う。
「自分で、黒色にして貰ったんだよ。これなら夜でも目立たない」
「セイメイには、お似合いだと思います」
霞が、感想を言う。
「これで、自分が前衛をして、骸武者達と共に、敵の敵意を集めている間に、霞と菫が遊撃するという手段が取れるな」
「精進します」
と霞。
「私も!私も!」
と菫。
「明日は、ゴブリンの討伐をメインにやってみるか?」
「やるやる!!また、私の鮮やかな体術を披露しちゃうよ!?」
と菫。
「では、私も負けていられませんね」
と霞。
「じゃあ、明日はゴブリンの住みかの有る森を目指すから、早めに休もうか」
「お休みなさい、セイメイ」
「失礼します、セイメイ」
菫と霞は、自分達の部屋へと帰って行く。
初めは、セイメイと同じ部屋で良いと2人が言っていたのだが、セイメイが断固として反対した為、このような部屋割りになった。
「いくら、骸くノ一でも、女の子なんだからな。線引きはしないと」
セイメイは、そういうと愛用の日本刀の手入れを済ませると、床についた。
一方、菫と霞の部屋では・・・・・。
「セイメイって、私達の事女の子として見てくれて居るのかな?」
「分かりません。時折、視線が向くのは感じますが、それが男女のものかは」
「私達、セイメイに求められたら、応えること出来るのかな?」
「それも、分かりません。
第2の人生を授かって1週間足らず、情報が少な過ぎます。前世の記憶も。
菫、貴女は覚えていますか?」
「私も、さっぱり。でも、今の方が幸せなのは確かだよ?」
「私もです。それならば、今の主であるセイメイ殿を守っていきましょう」
「そうだね。悩んでも、しょうがないよね。お休み!!」
「はい、お休みなさい」
主従の悩みは、尽きないのであった。
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