第11話 口寄せ 2
衣服の問題は、意外と早くに解決した。
セイメイの宿である、銀毛の山羊亭の女将に相談すると、宿に宿泊しており還らぬ人となった女性冒険者の遺品の衣服を格安で譲ってくれることになったのだ。
こうした宿に遺された品々は、宿代の補填の為に宿の物になるが、そうした品があふれかえっていたのだ。
宿の女将は、霞と、菫を連れて宿の1階にある物置に入り浸ってしまった。
セイメイは仕方なく、同じく1階にある食堂で、ぬるい麦酒をちびちびと飲んでいた。
骸武者と足軽髑髏は、宿に併設された小屋の中で待機している。
管キツネは、相変わらずセイメイの服の中をごそごそしている。
まるで、猫にじゃれつかれているようで、悪い気はしなかった。
そうこうして、1時間程が経過しただろうか、女将が霞と菫を連れて物置から出て来た。
2人共、街で見かける女性冒険者のようになっており、違和感なく、周囲にとけ込んでいた。
「セイメイ、どうだろうか?」
霞が、上目遣いでこちらを見て来る。
「良く似合っているよ」
セイメイは、感想を述べる。
実際に、薄い水色を基調とした服装の上に革鎧を着込んだ、霞を見て冒険者だと思わない者はいないだろう。
「セイメイ、私は、どうですか?」
菫も、また服装の感想を求めて来る。
「菫も、綺麗だよ」
菫は紫がかった黒い服装の上に革鎧を着込んでいた。
彼女の黒髪に相まって良く似合っていた。
「兄さんも、羨ましいねぇ、こんな別嬪さんを2人も連れて。
2人には、それぞれ数日分の着替えも用意したよ。
占めて銀貨5枚500モルってところだね」
「少し安過ぎませんか?」
セイメイが、女将に尋ねる。
「良いってことさね、嬢ちゃん達に活用してもらった方が服も喜ぶってもんだ」
「何から何まで、すみません」
セイメイは、女将に頭を下げた。
女将は、きょとんとして、大声で笑った。
「何だかんだ言って、これ等は、冒険に行って帰って来なかった者達の物だ。
そういう品は、引き取り手が少なくてね。
こちらも、助かるぐらいさね。
貴方あの娘達を危険な目に合わすんじゃないよ!!」
「それは、確約しかねます。我々は冒険者なのですから」
「それでもさ、危険を見る目を養うのも、大事さね」
「分かりました」
セイメイは、女将にそう返事をすると、霞と菫のところへ向かった。
「ねぇねぇ、セイメイ、この服を買うのにも、お金使っちゃったんだよね?
私、冒険者ギルドで依頼を受けて、その代金を払いたい!!」
菫がまくし立てるように言い寄って来た。
「セイメイ、私からも希望します」
霞も、同意見のようだ。
「2人共、冒険者ギルドのことは、女将さんから聞いたんだね?
大丈夫だよ。お金には余裕がまだある」
「でもでも、自分の食い扶持は自分で稼ぐみたいな!!」
「使役される、式として、セイメイに負担をかけるのを気にします」
2人は主人であるセイメイに、負担をかけた気になっているらしかった。
「分かったよ。じゃあ3人で、ギルドで依頼を探して、それから、皆で依頼を受けようか?」
「はい、それで構いません」
「皆って、骸武者や足軽髑髏達も行くの?
私達って、初めての顔合わせだね」
「菫、もう少し、言葉遣いに気を付けなさい」
「はい!!」
霞は、菫の良いお姉さん役だな。
冒険者ギルドの依頼の掲示板に行くと、昼前だが、結構依頼が残っていた。
すると、以前にも受けた角ウサギの肉の納品依頼がまた有り、1匹50モル、10匹の納品という依頼だった。
この依頼で、服の代金が払えると2人に説明すると、2人共この依頼で良いということだった。
ついでにゴブリンの討伐依頼を見てみると、1匹100モルと2倍になっていたが、そんなにゴブリンが多いのだろうか?
見つけたら、積極的に狩って行こう。
ギルドで、角ウサギの肉の納品依頼を受けると、セイメイ達は、宿に骸武者達を迎えに行き、角ウサギの生息する草原を目指すのだった。
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