専用武器
次の日、俺達はフェインに集められた。理由は武器を渡す為だろう。俺はどんな武器がくるだろうかとワクワクしていた。やっぱ個人的には刀がいいな、とかひそかに思っている。やっぱり俺も男なので剣とか銃には憧れてしまうのだ。因みに昨日は色々考えすぎて全然寝れなかった。自分で遠足に浮かれてる小学生か! など突っ込みをいれてみたりした。
そんなこんなでリビングに着いた時にはみんな既に集まっていた。
「みんな集まったな、じゃあお前達に完成したばかりの武器を渡すぞ」
俺はワクワクしながらその言葉を聞いていた。
「まずは火月と竜樹」
「はい!」
俺はテンションが上がってるのを隠せずに返事した。
「お前ら二人はこれだ」
そう言ってフェインは俺達の手の平の上に何か小さい物を置いた。
「お前達二人は武器を使うよりも素手の方がいいだろう、てことで武器はナシだ!」
……なんだそれ? 納得できない。俺のワクワクを返せ!
怒る気持ちよりも残念な気持ちのが大きかった。それは姉ちゃんも同じだったらしく、凹んでいるのが見て分かった。
「……じゃあこれ何?」
姉ちゃんが少し不貞腐れたように言った。
「お前たちの力をパワーアップさせるためのアイテムだ」
手渡されたものを見ると、俺の手の上には単三の電池、姉ちゃんの手の上には青い色をしたライターがのっていた。
「竜樹のそれは電撃を今まで以上の量を扱えるようになったり電圧をあげたりする効果を持っている。肌身離さず持っていろよ」
フェインにそう説明されたけど、どう見てもただの単三電池だ。
「そして火月、お前のそれは―――その前にライターぐらい使えるよな?」
フェインの奴、自分でライターって言っちゃった。
「うん、大丈夫」
姉ちゃんはそう言って火を点けた。でもその火の色は赤でもオレンジでも青でもなく、白い色をしていた。
「一回消してからもう一回点けてみろ。今度は好きな色を思い浮かべながら」
姉ちゃんはその言葉に従って火を点ける。
「お……」
今度は青い色の炎だった。
「それはお前の思い浮かべた色の炎が出てきてな、色によって炎の効果が変わる。勿論お前が出す炎でその炎の量を増やすことができる」
……なんか俺のより高性能じゃないか……?
「因みに白い炎は伸縮自在、青は冷たい炎って感じだ。後は自分で調べろ」
俺もああいうのがよかったな―――とか思ってみたり。
「言い忘れてたが竜樹、それを持ってるだけで多少なり電撃の操作がしやすくなるはずだ。だから火月のやつみたいのがいいなーとか思わないように」
「はーい」
俺はテキトーに返事した。
「次は翼、お前にはこれだ」
フェインはそう言うとどこから出したのか、ソラスの身の丈くらいの大きな斧を地面に置いて、右手で支えるように持っていた。それは全体的に灰色をしていた。
「これは『風斧』と言ってな、翼専用の武器だ」
フェインはそう言って蒼井さんにそれを手渡した。
「―――おもッ!」
それを受け取った右手は重さのあまり、地面すれすれまで下に下がってしまっていた。
「それは人間では振り回せる者はほとんどいないくらい重い。大体八十キロくらいだな」
「は、八十!?」
蒼井さんが目を丸くしながら、驚いたように言った。俺も驚いた。
「でもお前が風を使えばそれは楽に持ち上げられるぞ。あとそれの刃の裏側あたりに三枚くらいの羽が扇風機みたくなってるとこがあるだろう? お前が風を使うことでそれが回って威力やスピードが上がる」
蒼井さんは頷きながら持ち上げたり、振り回したりしている。試しに俺もそれを持ってみたが持ち上げることも、勿論振り回すことも出来なかった。
「うん、ありがとう!」
蒼井さんは気に入ったのか、満足そうにそう言った。
「あと持ち手の端っこの部分にボタンがついてるだろ。押してみな」
蒼井さんはそれに従ってボタンを押す。
「わっ!」
すると風斧は手のひらサイズにまで小さくなった。
「持ち運びするのにあのサイズだと面倒だからな、小さくするボタンだ。重さも五百グラムにまでなる。元のサイズにするにはもう一度ボタンを押せばいい」
便利だなーと思った。みんな同じことを思ったみたいだ。
「うん、ありがとう」
蒼井さんは気に入ったのか、満足そうにそう言った。
「最後に海香だな、お前にはこれだ」
そう言ってフェインは海香の手の上に柄が水色のナイフを渡した。
「これは魔法の威力の底上げと、魔法は基本的に遠距離がメインだから敵に近づかれた時のためのものだ。魔法は色々な属性があるからこっちで固定しないでお前が好きな物を自由に伸ばせるようにした」
海香はその言葉を聞きながらナイフをまじまじと見つめていた。
「あとは……忘れてた、竜樹」
フェインはそう言うと俺に拳銃を渡してきた。
「……なにこれ」
「お前用の武器だ」
それは真っ黒なボディに黄色いラインが入っていた。
「お前のしょげた顔が見たくて隠しといた。いや~いいもんが見れたぞ」
フェインが満足そうにそういうのを見て俺は少しイラッとしたが、それは抑えてこの拳銃の説明を求めた。
「それはお前の電撃を流すことによって拳銃内で弾が生成され、それを打つことができる。それだけでも十分な威力だが、その弾を撃つときに拳銃に電撃を流し込めばその弾が電撃によって超高速で撃ちだされることになる」
なんだか結構すごそうだ。若干沈んでいた俺のテンションがあがってくる。
「つまり簡単に言うと超電磁砲が撃てるってこと」
すげえぇぇぇ!!
俺のテンションはかなり上がっていて蒼井さんから「興奮しすぎ」と注意を受けた。
「ありがとぉぉぉぉぉぉ!!」
「わかったから落ち着け」
フェインに制された。
俺達は全員一度グラウンドに行き、それぞれ渡された武器を使ってみた。各々少し離れた場所で使ってみる。
俺は渡された拳銃で少し離れたところにある岩に向かって普通に弾を撃ってみた。するとパン、という乾いた音とビリビリッとした音が聞こえ、すぐにその岩に穴が空いて貫通した。
たった一発で分厚い岩が貫通する程の威力だとは全く予想してなかった。その後も何発か撃ってわかったのは、この拳銃は連射機能は高くなく最高で三発までしか撃てないという事。三発撃った後はまた電撃を流して弾を作らなければならない。一秒あれば弾は三発分作れるみたいだ。
次に超電磁砲を撃ってみることにして、三十メートルくらい離れた別の岩に狙いを定める。大きさはさっきと同じくらいで、俺の胸のあたりくらいまでの高さで人の体よりも少し厚い。
俺はトリガーを引くのと同時に電撃を拳銃に流す。フェイン曰く、流す電撃の量によって威力が変わるらしいのでまずは五割くらいの力で電撃を流してみた。
ビリビリビリッと音がした後、銃口のあたりが明るくなり目で追えない程の速さの弾丸が電撃を纏って発射され、岩の半分くらいが焦げた跡を残して消え去った。
「…………」
俺は驚いて声も出なかった。とんでもない威力だ、もし本気で撃っていたら岩がすべて消し飛んでいたかもしれない。よく見るとその後ろ側に有った木々にも焦げた跡がついていて、何本か折れている。威力はとんでもないが、五割の力で撃ったにも関わらず、俺の体力は半分近くも持ってかれていた。今の俺だと多分全力で撃ったら一発で体力が全部持ってかれてしまうだろう。これからの俺の課題は体力をつけることだな。
「くっさ!!」
突然姉ちゃんの叫ぶ声が聞こえたので俺はそっちに行った。
「どしたん?」
俺がそう言うと姉ちゃんはライターから紫色の炎をだし俺に近づけてきた。
「くっさ!」
あまりの激臭に俺は顔を逸らしてしまった。
「紫色の炎は…臭い。何の臭いかわからないけど……」
姉ちゃんは自分の鼻をつまみながら言った。姉ちゃんはその火を消すと今度はオレンジ色の炎を出して、自分の炎で大きくして近くのベンチにその炎をくっつけた。
「オレンジ色の炎はくっつく。白いのほどじゃあないけど伸びるよ、大体五メートルくらいかな。因みに白いのは伸びすぎて測れなかった」
なかなかユニークで面白くて戦闘の幅が広がって便利だな。
「竜樹はどう? 慣れた?」
「何とかね。それより蒼井さんと海香の方も少し気になるよ」
俺達は海香と一緒にいる、蒼井さんの方に行ってみた。
「どう? 慣れてきた?」
姉ちゃんがそう聞くと蒼井さんは持っていた風斧を置いてから答えた。
「威力はすごいね、スピードは僕の成長具合でどうにでもなるし…いい武器だよ」
蒼井さんは満足そうにそう言った。
「私のも最初は地味だなって思ったけど、魔法の威力が今までの比にならないくらい上がっててびっくりしたよ」
海香も満足したのか笑顔でそう言った。
みんなそれぞれ渡された武器やアイテムに満足しているみたいだ。
俺達はみんな家に戻ると、玄関でフェイン達が出迎えてくれた。
「おう、戻ったか。これから忠告をするぞ。お前達には強力な武器を与えたが、それで戦いに気を抜いたりはするなよ。自分たちは弱い、と常に心に思って精進してけよ」
「あぁ、分かった」
全員うなずく。
「あと、武器やアイテムに頼りすぎるなよ、もしもの時も自力で生き延びる力を身につけろ」
もう一度みんな頷く。その後俺達はリビングに行った。みんながソファーに座ってからアリエスが口を開いた。
「お前たちはいつ出発するんだ?」
「明日か明後日くらいには」
ボルクが答えた。
「どこに?」
今度はフェインが聞いた。
「雲空島ってとこ」
今度は俺が答えた。
「「どこそれ?」」
フェインとルイが声を合わせて言った。前にボルクが幻獣でも知ってる奴は少ないって言ってたけど、上位の幻獣のフェインとルイが知らないってことは本当にあまり知られてないんだな。
「お前達はこれからどうするんだ?」
俺はフェインの顔を見て言った。
「俺達はこれからルイと一緒に行くことにしたよ。あんなことがあっちゃほっとけないからな」
フェインは少し照れくさそうに言った。
俺達はその日は各自、荷物をつめたりして過ごした。




