第14話 ケセフの怒り。
なんか真面目パートが連続してる!
ふざけたいのに!!!(いいよ、別にふざけなくて)
あ、葉ちゃん視点に戻ってますよー。
でっかくなった甲虫(?)が、
角をぴんっぴんに尖らせてすごい速さで近づいてくる。
それなのに、俺は自分の危険にも気付かずに、まだ呑気に『うぇぁっ!近づいてくるぅ!きもいきもいでかいきもいでかいぃっ!!』としか思ってなかった。
あまりのショックに足がすくんでいると、突然甲虫(?)が見えなくなって、代わりに美しい月光のようなサラサラの銀髪が見え、俺の隣には爛々と映える太陽のようなウェーブのかかった赤髪が見えた。
あまりの美しさに甲虫(?)のことを忘れ、見とれてしまいそうになった。
だが、時を置かずに自分の存在を見せつけるかのように奴からの俺だけに向けられた、狂気の淵から滲み出るような常軌を逸した『殺意』を感じ、現実に引き戻された。
背筋が凍り、全身の細胞が身の危険を警告するように震え、立って居るだけでも限界だった。
が、ヴェル師匠がなにか小さな声で呟いた後には、
奴からの殺意は軽減され、温かく安心するオーラが俺を包み込んでいた。
俺はヴェル師匠へ感謝を述べようと、視線をヴェル師匠に向けようとしたが、それは叶わなかった。
なぜなら、先程とは全く異なる息ができなくなるほど高密度の圧力を感じたからだ。
その力の出処は目の前にいるケセフだった。
恐らく、ケセフがいつも抑えている神力を放出しているのだろう。
なぜ、急にそんな神力を放出しだしたんだ?威嚇か?
あの甲虫(?)もケセフの神力を感じたのか、ケセフの少し前で止まった。
「....お前さ、葉ちゃんのこと殺そうとしてるだろ。
そんなこと僕が絶対に許さないよ。」
いつものハツラツな声とは違う、底冷えするような声が熱帯雨林を凍り付かるように響いた。
直接向けらていない俺でさえ、さっき甲虫(?)から向けられたものと同等の『殺意』を感じる。ヴェル師匠のオーラがあるのに、だ。
どうやら、ケセフは甲虫(?)が俺を殺そうとしていることに対してブチギレているらしい。
ケセフが奴の目の前までゆっくりと近づき、右腕を胸の辺りまで持ち上げ、横に広げる。
それと同時にケセフの右側に何十本もの剣が空中に出現した。この剣からはたった1本でも、太陽並みの恐ろしい神力を感じた。左腕も同様の動作を行って、ケセフの周囲には何十いや、何百もの剣が出現した。当然、全て剣先は奴に向けられている。
ケセフはその後投げ払う動作を行なった。
それに応じて、全ての剣が奴に向けて弾丸のように飛んで行った。
凄まじい轟音と土煙が上がり、視界が遮られる。
数秒後、突如土煙の中からどうやってケセフを避けてここへ来たのかわからないが、奴の角が俺を縦に真っ二つにしようと振り下ろされた。
が、ヴェル師匠のオーラのお陰で頭に当たる十数センチ上で奴の角は金属の衝突音のような音を立てて弾かれ、奴の身体がひっくり返った。奴は焦ったように体勢を直そうと10本ある足をじたばたさせ、藻掻いている。
「ッチ...どうして当たっていない?どうやって避けたんだ。」
ケセフがそんなことを呟きながら、氷のように冷たいサファイアブルーの瞳で奴を睨み、ゆっくりと近づいてくる。
そんな彼の後ろには、隕石が落ちたかのような巨大なクレーターがあった。
ケセフの神力がどんどんと増幅している。
俺は神力に当てられ、ヴェル師匠のオーラがあってなお、膝を付き、滝汗が流れ、肩で何とか呼吸をしていた。
そんな様子に気がついたのかヴェル師匠が俺の肩を担いで、ケセフと奴から少し離れた位置に連れていってくれた。
「すまない、翠少年。この星ではこれ以上、ワタシの神力を君に纏わせることはできないのだ。どうにか耐えるか、ここを離れるか決めてくれ。」
「ハアッハアッ...こ、ここにっ...居させて、っください...俺はっ...大丈夫です....!!」
あんな状態のケセフを置いてここを離れることは俺にはできなかった。
ちーっと、おおごとになってきやしたね。
御用だ!御用だ!スットコドッコイ!!
(おかしくなっちゃったんだね。)




