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ガールライダー☆ 〜凄腕ガンマンの彼女と過保護な死神と真面目な元保安官の裏社会コメディ〜  作者: VANRI


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偽物のお仕事

「ちょっとメアリー、すぐに正体を明かすなんて野暮なことしないでよ」


 モネが扇子で口元を隠し、くすくすと意地悪く笑った。


「あんなに調子に乗ってるんだもの。しばらく泳がせて、もっと面白い目に遭わせてあげましょうよ」


「はぁ!?  なんであんな偽物を野放しにしなきゃいけないのよ!」


 「落ち着けメアリー」とトニーが苦笑しながら割り込む。


「あのバカども、街の連中に『メアリー一味がいるから悪党が寄ってこない』って変な安心感を与えてるみたいだからな。いきなり偽物だとバラしたら、街が混乱するぞ」


「うう……っ」


 メアリーが悔しそうに唸っていると、酒場の中心でニセメアリーが、すっかり味を占めて大声で演説を始めていた。


「ガハハ!  見たか俺の神業を!  よーし、明日はこの街の『銀行の金庫』を警護してやる!  謝礼として金庫の金の半分を貰うぞッ!」


「「「おおーッ! さすがメアリー様!!」」」


 下品に盛り上がるニセモノたち。それを見たフランが目を輝かせた。


「ねえねえ、面白くなってきたね! あいつらが勝手に警護ごっこして、裏で本物の僕たちが本物の銀行強盗を撃退してあげる……なんてどう?」


「なんであたしたちがあいつらの『手柄』のために働かなきゃいけないのよーーーッ!!」


 メアリーの悲痛な叫びが酒場の端っこに虚しく響き渡った。



 翌日。シルバー・クリークの銀行前。

 ニセメアリー一味は、腕組みをして堂々と立ち尽くしていた。

 ニセトニーは相変わらず居眠りし、ニセベイルはハットが深すぎて街灯に頭をぶつけ、ニセモネは竹ほうきを構えてポーズを決めている。


「フン!  俺たち『メアリー一味』がいる限り、強盗なんて来やしねぇよ!」


 ニセメアリーが鼻高々と言い放った……その時。


「ハハハ!  運の悪い奴らだ、全員動くなッ!」


 本当に街へやってきた本物の凶悪な強盗グループが、ダイナマイトとショットガンを手に銀行へ押し寄せてきた!


「ひぇぇぇぇッ!??  ほ、本物の強盗だぁぁぁッ!?」


 腰を抜かすニセメアリー。

 強盗のボスが容赦なくショットガンを向け、引き金に指をかける。


「死ねや、偽善者どもッ!」


 ――ズドンッ!!


「ぎゃあああッ!?」


 悲鳴を上げたのは……なんと強盗のボスだった。


 銀行の屋根の上から、本物のメアリーが放った一弾が、ボスのショットガンの銃身を正確に粉砕したのだ。


(くっそ〜〜〜ッ!!  なんであたしがあいつらを庇わなきゃいけないのよッ!!)


 屋根の上で歯ギリギリさせながら二挺拳銃を構えるメアリー。

その横では、フランが腹を抱えて爆笑している。


「あははは!  メアリーちゃん、最高のツンデレだねぇ♡」


「ツンデレじゃないッ!  あいつらが殺されたら『メアリー一味全滅』とか変な噂が立つから助けただけよッ!」


 一方、路地裏では――。

 強盗の手下が裏口から押し入ろうとした瞬間、暗闇からすっと現れたモネの仕込み刀が一閃!


 ――シュパァンッ!!


「な、なんだ!?」


「静かにしなさい。あっちの『バカな舞台』の邪魔になるわ」


 モネが冷ややかに微笑み、鞘の柄で手下たちの溝おちを突いて瞬殺していく。その横で、ベイルが手下たちの弾帯(バンダリア)を鮮やかにスり落として丸腰にしていた。


「モネさん、裏口は完璧です!」

「ええ、上出来よベイル」


 表の通りでは――。


「え……?  あ、あれ……?」


 ニセメアリーが恐る恐る目を開けると、自分を襲おうとしていた強盗たちが、なぜか次々と屋根からの「謎の精密射撃」や「路地裏からの謎の不意打ち」によって、一人残らず失神して転がっていた。


 何もしていないニセメアリー一味が、ただポカンと突っ立っている。

 それを見た街の人々が大歓声を上げた。


「「「す、すげぇぇぇぇッ!!」」」

「指一本動かさずに、一瞬で強盗団を全滅させたぞ!?」

「さすが本物のメアリー様だ!!  神業だーッ!!」


 状況が飲み込めないニセメアリーだったが、すぐに調子に乗って胸を張った。


「ガ、ガハハハハッ!!  見たか俺の『威圧の気(オーラ)』を!! 俺様にかかれば、強盗なんて一睨みでイチコロよッ!」


「調子に乗るなぁぁぁぁッ!!」


 屋根の上で、メアリーが本気でブチギレて屋根の瓦を叩き割るのだった。



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