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ガールライダー☆ 〜凄腕ガンマンの彼女と過保護な死神と真面目な元保安官の裏社会コメディ〜  作者: VANRI


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豪華なクルーズの終わり

 船員たちが涙を流しながら、メアリーたちの元へと駆け寄ってきた。


「どうか早く逃げてください!  救出用の船が下に隠してあります!」

「救命胴衣もつけてください!!  あなたがたは……あなたがたは死んでいい人間ではない!!」


 溢れ出す船員たちの悲痛な叫び。


「私たちは『犯罪者の命などどうなろうと構わない』と言われてここへやってきたんだ……!  なのに……っ!」

「待って……っ!! あなたたちはどうなるの!?」


 メアリーが声を震わせる。船長は力なく首を振り、切ない眼差しで遠くを見つめた。


「私たちは最初から死ぬ覚悟です……。こうして任務を果たせば、多額の借金を帳消しにしてもらえる約束になっている。これで残された娘や子供たちも、貧しさに苦しまずに済むんだ……」


「そんなのダメよ!!」


 メアリーは叫んだ。いつもなら金に目がない彼女が、お金なんかよりもずっと大切なものを守るために、船員の胸ぐらに掴みかかる勢いで瞳を激しく燃え上がらせる。


「どんな理由があったとしても、あなたたちが死んでいいわけがないじゃない!!  あなたたちも一緒に助かるわよ!!」

 トニーも「そうだ!  諦めるんじゃねえ!」と熱く頷く。


 その混乱の中、それまで静かに思考を巡らせていたフランが、冷徹な声で口を開いた。


「なぁ船長……それ、誰に頼まれた?  借金の帳消しも、燃料の調整も、乗組員の選定も……全て『誰か』にプロデュースされたってことだろ?」


 フランの問いに、船長の顔が絶望で歪む。


「ああ……もう間に合わない……ッ!」


 船長が指差した窓の先――濃霧が晴れた孤島の海岸には、びっしりと立ち並び、船へ向けて重火器を構えた無数の黒づくめの男たちが待ち構えていた。

 島全体が、船から降りてくる人間を全滅させるための巨大な「殺戮地帯(キルゾーン)」と化していたのだ。


「フフッ……黒幕のVIP席へようこそ、ってわけね」


 メアリーは恐怖を打ち消すようにニヤリと不敵に笑うと、ポニーテールを揺らして愛用の銃を引き抜いた。


「トニー、下にいるモネとベイルに連絡!  船員さんたちを全員まとめて救助船に押し込みなさい!」

「ああ! わかった!  メアリー、お前らは!?」

「決まってるでしょ!」


 メアリーとフランは顔を見合わせ、同時に凶暴で美しい笑みを浮かべた。


「私たちの命をタダで奪えると思ってるバカどもに、最高に高いお会計を突きつけに行ってあげるわ!!」


 

 数十分後、ドアを蹴破ってモネとベイルが滑り込んできた。


「メアリー、一般市民は一番安全な下の避難用ボート区画に押し込んだぞ!」

「モネさんの指示でバッチリです!!」


 黒いハットの端を誇らしげにつまみながら報告するベイル。その迅速な動きにトニーが「手際良すぎだろ……」と引きつつも安堵の息を漏らす。


 全員が揃い、船内で一番外が見渡せる操縦室のガラス越しに、不気味に迫る島へと視線を向けた。

 フランが目を細め、島で待ち構える重武装の軍勢を見つめながらぽつりと呟く。


「そうか、これは……」

「ええ、アイザックとジークの仕業ね」


 モネがフランの隣へ歩み寄り、同じように冷ややかな眼差しで島へ目をやった。


「誰だそいつら?」


 トニーが銃を握り直し、険しい顔で問いかける。メアリーが窓の縁に手をかけ、不敵な笑みを浮かべながら言った。


「ここらで有名な海賊の兄弟よ。やり口が汚くて荒稼ぎするって評判だったの。でも私たちは陸で、向こうは海だから、今まで直接関わることはなかったんだけどね」

「海賊……!  勝てる見込みはあるのか……?」


 相手が海を割り歩く百戦錬磨の凶悪な海賊集団と聞き、トニーが冷や汗を流す。

 それに対し、メアリーは肩をすくめてポニーテールを揺らした。


「海なら無理でしょうね。荒波や暴風の中で操縦しながら戦うなんて」

「そんな……」


 トニーの顔から一気に血の気が引いた、その瞬間――

「ははっ、そんな間抜けな顔しないで。海なら、って言ったでしょ」


 メアリーはくるりと振り返り、青い瞳を爛々と輝かせた。


「この無人島は陸よ。そしてこの船着場に着いた時点で、この船は建物と一緒。陸なら、建物なら――私たちの方が死線を多くかいくぐってるわ!」


「……!  違いないねぇ、メアリーちゃん!」


 フランが凶悪で可憐な笑みを浮かべ、両手でナイフを滑らせる。


「フン、モネさんの前でカッコ悪いところは見せられねぇ!  陸の戦いなら俺が真っ先に突っ込んで全員叩き潰してやりますよ!」


 ベイルも黒いハットを深々と被り直し、気合い十分に短剣を構えた。モネもざっくり開いた胸元を揺らし、不敵に頬を緩める。


「アイザックとジーク……あの性根の腐った兄弟に、陸での戦い方をたっぷりと教え込んであげるわ」


 死地を前にして、誰一人として怯む者はいない。


「トニー、船員さんたちを逃がす準備を!  モネとベイルは船着場への突撃路を確保!  フランは私と正面突破よ!」

「「「了解!!」」」


 絶望的なキルゾーンへと差し掛かる豪華客船『サンシャイン号』。

 海賊兄弟が待ち構える孤島へ向け、最強の5人による怒濤の逆襲劇がいま幕を開ける!



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