出会い③
『お前さ、この街の保安官に加わらないか?
目にも止まらぬ速さで盗賊の腕を撃ち抜いたって聞いた。そんな腕があれば保安官だって務まるだろ。』
少し驚いた表情を見せたメアリーだったが、すぐに落ち着き口を開いた。
「いや、この生活が合ってるんだ。一つの街にとどまりたいとは思わない。」
『でも一人でこんな生活してたらいつ殺されるかわからないぞ。今回は運が良かっただけかもしれない、殺されなかったとしても若い女は…』
「わかってる!」
トニーの言葉を最後まで待たずに言葉を続けた。
「心配は今までもたくさんされてきたし、同じ言葉を何回も聞かされてきた。でも、困っている人を何にも縛られず自由に救えるのはこのやり方しかないんだよ。」
トニーは正直、今の仕事に嫌気が差していた。盗賊とのイタチごっこ、リーダーとしての責任、業務の多さ。
将来が簡単に想像できた。街の好みの女性を嫁にして子供を育て、身体が動くまで保安官を務め、ゆっくり老後を過ごす姿が。
それに不満はないが面白味もないと思っていた。
『わかった。そこまで言うならもう止めない。』
トニーは満面の笑みで口を開いた。
そして続ける。
『俺も一緒に行こう!』
「はぁ〜!?」
「はぁ〜!?!」
メアリーと共に声を上げたのは、長身のトニーより少し背丈の低い茶髪の男性。
「何言ってるんですか!トニーさん!!あなたがいなくなったらここが無法地帯になってしまう!!
正気になってください!こんな素性のわからない女に付いていくなんて!!」
もう涙目でトニーにしがみついている。
『落ち着けウェイン。お前は俺のサブとして今までやってきた。教えれる事は全て教えたつもりだ。』
「ですが…」
トニーは優しくウェインの手を離させる。そして微笑んで目を見つめる。
『俺がいるとどうしても甘えが出て成長が途中で止ままるだろう。これはお前にとってもいい機会だと思う。
お互いのためにも、この選択肢が一番いいと思うんだ。』
ウェインは涙を拭いながらその言葉を飲み込み、それ以上何も言わなかった。




