第26話・パンツがない
マイは肩幅に広げた脚の付け根の、“つるつる”で“ぷにぷに”の双丘を、その真ん中を縦に走るスリットにあてがわれた両手の親指に“くにっ”と左右に押し広げられ、その内側に潜む種皮から“ちょこん”と顔を覗かせながら“ぷくっ”と膨らむ新芽も、その下で艶かしく開く2枚の花びらも、そして花びらの内側の最も敏感な粘膜の、新芽のすぐ下にある針で突いたようなちっちゃな穴や、ツルギに見られて恥ずかしいのか“きゅっ”と閉じたままマイの息づかいに合わせて“ひくっ、ひくっ”といやらしくヒクつく湧泉口、更にはその後ろで“きゅっ”と閉じるすぼみまで、その全てをツルギに晒しながらそこを拭いていた。
「ね、ねぇツルギ」
恥ずかしくて逸らしていた視線を戻すと、自分のそこを凝視するツルギと目が合った。
「なに?」
「もう終わっていい?」
こちらを見つめるまっすぐな瞳に、自分のそこを見つめられていることを改めて思い知らされたマイは、恥ずかしさのあまりすぐに視線を逸らしていた。
「拭き終わったの?」
「うん。だから、いい?」
「うん、いいよ」
その口ぶりから彼女はあまり納得はしてなさそうだったが、ツルギが触手をほどくと、マイは大慌てで彼女の上から飛び退き、そのまま衣装ケースの前にダッシュして、何やらゴソゴソ捜し始めた。
それは照れ隠しとか、少しでも早く話題を変えたいという気持ちも勿論あったが、マイにはちゃんとそうする理由があった。
「ハニぃ、なに探してるの?」
「パンツ」
「え!?なんで?」
「なんでって、履いて寝るから」
「なんで??」
ツルギはワケが分からないといった様子でマイに問いかける。
「いつも履いてないのに、なんで寝る時は履くの?」
「う~ん、気持ちの切り替えかな」
ツルギに背を向けたままマイが言葉を続ける。
「切り替え?」
「パンツ履いてない時って、待機中とか戦闘中とか、いつ死ぬか分からない極限の緊張状態の中にいるでしょ?
だから部屋に帰ってきて、お風呂に入ってパンツを履くとホッとするというか・・・今日も無事生きて帰ってこれたことを実感できるんだ」
「ふ~ん」
「ツルギ、下着の替えは?」
「ないよ」
「だよね。ちょっと待ってて、パンツの買い置きがあるはずなんだけど、よかったら履く?」
「えっ!?いいの?」
「サイズが合うといいんだけど・・・」
「ありがとうハニぃ、すっごい嬉しい」
だが、
「あれ?」
「どうしたの?」
「1枚しかない」
マイはケースの中身を全部床に撒き散らし、1枚のパンツを握りしめて呆然としていた。
「いいよ、それはハニぃが履いて」
「え!?でも」
そこまで喋ったマイの唇を、ツルギは人差し指でそっと押さえ、
「ダイジョウブ、私はいつも裸で寝てるから」
と、笑顔で答えていた。
するとマイはその手を握り、
「じゃ、じゃあ、私も裸で寝る」
と、顔を耳まで真っ赤に染めながら呟いていた。
「え?え!?ハニぃも、な、なんで???」
ツルギは、しどろもどろになりながら、そう聞き返すので精一杯だった。
「だって、ツルギだけ裸で寝させるなんてできないよ」
決意の眼差しで見つめられ、
「は、ハニぃがそれでイイなら、そ、それはそれで、い、イイんじゃない?」
ツルギはもうろれつが回らないぐらいの、ワケガワカラナイ状態になっていた。
「じゃ、じゃあ、我が家のベッドにご案内します」
マイはそう言うと裸のままツルギの手を引き、ほんの数歩あるいてベッドの前に立っていた。
マイが先に寝転がり端へと移動する。
が、ツルギはどうしていいかわからないといった表情で呆然と立ち尽くしていた。
「ツルギも来て」
そう言いながらすぐ横の、ベッドの空いているスペースをぽんぽん叩く。
「う、うん」
ツルギがぎこちない動きで横に寝転がると、マイが掛布団を掴み、彼女と自分にそれを掛ける。
ツルギは枕に頭を埋め、掛布団を鼻まで被っていた。
(は、ハニぃの匂いがする!!)
「ね、寒くない?」
“びくっ”
枕や布団から鼻孔をくすぐるマイの香りに興奮し“くんくん”していたところを真横から、しかも本人から話し掛けられ、ツルギは思わず彼女の顔を見た。
「大丈夫?」
こちらをまっすぐ見つめるその瞳にツルギは、
「う、うん、ダイジョウブ」
だが、対するツルギは後ろめたさもあってうつ向いたままだ。
その、いつもとは明らかに違う態度に異変を感じ取ったマイが、
「ね?やっぱり寒いんじゃない?待ってて、パジャマ持ってくるから」
そう言って起き上がろうとする。
しかし、そんな彼女をツルギは“ぎゅっ”と抱きしめていた。
「つ、ツルギ?」
突然抱きしめられ、マイが戸惑いの声をあげる。
「こうすれば温かいよ。ね、ハニぃ、朝までこうやって“ぎゅっ”ってしていたい。いい?」
「え!?」
驚きのあまり目を丸くするマイだったが、
「だめ?」
と、甘える仔猫のような瞳で見つめられ、
「じゃ、じゃあ、今日だけね」
と、マイがそれを受け入れた瞬間、
「ありがと~」
ツルギがマイを更に強く抱きしめていた。
「もう。甘えん坊なんだから」
マイもお返しとばかりにツルギを“ぎゅっ”と抱きしめる。
その結果2人の、水々しい果実のような膨らみが密着する格好になっていた。
その若々しい張りと弾力で互いに圧し潰し合いながら、互いを弾き返し合う4つの膨らみが“たわわ”に揺れ、その頂点で“つん”と自己主張する桜色のちっちゃな蕾が、互いの膨らみに圧し潰されるように埋もれながら“こりこり”と擦れ合っていた。
「ぁんっ」
「んんっ」
その瞬間、そこから火花のように弾けた“ぞくぞく”っとする快感に、2人は思わず艶かしい声を漏らしてしまっていた。
「ご、ゴメンナサイ」
ツルギは、思わず漏らしてしまった自分の声に驚いた様子でそう言うと、大慌てでマイから離れ、彼女に背を向けてしまっていた。
「・・・・・・」
そんな彼女を、マイは後ろから“ぎゅっ”と抱きしめた。
「ハニぃ?」
突然そんなことをされ、ツルギが思わず戸惑いの声をあげる。
そんな彼女の耳元でマイがささやく。
「ホントだ、寒くない。ね、ツルギ?」
「な、なに?」
「こうやってツルギのこと、“ぎゅっ”ってしてていい?」
「・・・うん」
ツルギの顔が“ぱっ”と明るくなるのが分かり、マイまで何だか嬉しい気持ちになる。
「ね、ハニぃ」
「なに?」
「あ、・・・あのね」
ツルギの声が急にかしこまるのが分かり、マイも何事かと身構える。
「どうしたの?」
「あ、あのね、あの、ハニぃにお願いがあるんだけど・・・」
「お願い?」
おねがい。
普通に考えれば、それは宿題を見せて欲しいとかCDを貸して欲しいとか、そういうことになるだろう。
だが、ツルギに言われると、どうしてもそれ以外のあらぬことを考えてしまう。
「お願いって?」
「えっと、あのね、その、お願いの前に、私、やっぱりハニぃの方を向きたい。向いてもいい?」
「うん、いいよ」
それを聞いただけで、胸の奥が“どきっ”と脈打つのを感じながらマイはそう言っていた。
「ありがとう」
ツルギは身体“もぞもぞ”とを回転させマイの方を向いた。
「ハニぃ、“ぎゅっ”てして」
頬を赤く染めうつ向いたままそう言うツルギを、マイは“ぎゅっ”と抱きしめていた。
「ハニぃ」
横向きに寝ても形の全く崩れない、果肉のたっぷり詰まった豊潤に実る果実のような4つの膨らみが密着し圧し潰し合いながら互いを弾き返さんと“たわわ”に弾み、その頂点で自己主張するかのように“つん”と尖るちっちゃな桜色の蕾同士も密着する膨らみに埋もれながら“こりこり”擦れ合う。
「つ、ツルギ」
「な、なに?」
互いに見つめ合うその顔が、みるみる赤く染まっていく。
「こ、これでいいの?」
「あ!!えっと、それでね、こ、」
「こ?」
「子守唄を歌って欲しいの」
「え!?子守唄???」
お願いの要領が全く分からず、戸惑い気味にマイが聞き返す。
「サンドラがね、たまになんだけど仕事から帰ってきた後に泣いてることがあって・・・」
「あの司令が?」
「うん。『私がもう少し早く指示を出していたら皆死なずにすんだ』とか言って、自分を責めて泣いてるの」
「あの司令が・・・」
「それでね、泣いてるサンドラを彼女が“ぎゅっ”て抱きしめて子守唄を歌ってあげるの。そうされると落ち着くんだって。・・・そ、それでねハニぃ、あの、その、私にも歌って、・・・だめ?」
マイは、そう言いながら上目使いに見つめてくる彼女の頭を抱き寄せ髪を優しく撫でながら、昔おばあちゃんが聞かせてくれた子守唄を歌い始めた。
やさしい歌声に部屋の中が満たされていく。
どれほどの時間が流れただろうか?
「ツルギ?」
マイがふとツルギの顔を覗き込むと、彼女はマイの首元にもたれかかるように目をつむっていた。
そっと彼女の口元に耳を近づけると、そこから聞こえてきたのは、微かに漏れる、可愛らしい寝息だった。
マイの子守唄を聞きながら、ツルギはいつの間にか寝落ちしていたのだ。
「・・・おやすみなさい」
髪を撫でながらそう囁き、マイも寝ようとしたその時、ツルギの顔に無数の傷痕が浮かび上がった。
「え!?なに???」
マイは慌てて掛布団を剥ぎ取った。
「!!」
その目に写ったのは、全身傷まるけで横たわるツルギの姿だった。
ガリレオを元の軌道に戻し帰還した時、リンや皆から全身の傷痕のことを心配されたツルギは、マイにいらぬ心配をかけさせぬよう、クラーケンやフェニックスになるように、自身を全く傷のない姿にさせていたのだ。
「な、なに、これ?」
マイはぐったりと力なく垂れる彼女の両手を掴み見た。
そこには、掌が裂けてもおかしくないほどの大きくて鋭い傷痕が生々しく刻まれていた。
「・・・これって」
マイは、ハーケリュオンの柩の間での彼女の姿を思い出した。
両手のそれは、ツルギを串刺しにしていたホーリーランスの傷痕に間違いなかった。
しかも、掌や肘、肩や胸やみぞおち等に残るランスの深い傷痕だけでなく、マイをかばってブロッケンに全方位から襲われた時の痛々しい傷痕までもが全身に刻まれていた。
「・・・ツルギ」
マイは言葉を失っていた。
プールでブロッケン警報を聞いた時、出撃したかったのは彼女ではなく自分だった。
言わば、自分がツルギを巻き込んだのだ。
にも関わらず自分は意識を失い、その間にツルギは・・・。
彼女は自分を助ける為に脳外科手術を受けていた。
それだけではない。
なぜ彼女は封印されることを受け入れたのか?
彼女なら、目の前に立ち塞がる全てを有無を言わせず蹴散らし、どこかに逃げることなど造作もなかったはずだ。
しかし彼女は串刺しにされ、あそこで封印されるのをおとなしくまっていた。
それはなぜか?
彼女がそれを拒否したり逃亡したら代わりに自分を、マイ・スズシロを封印すると言われたからではないか?
そう結論付けることは難しいことではなかった。
(私をかばって?ううん、私を守るために脳の外科手術だけでなく、全身を串刺しにされて封印されるのを待ってたの?あんな暗くて寂しいところで、たった一人で・・・)
“ぽたっ、ぽたっ”
ツルギの頬に、大粒の雫が何滴も滴り、流れ落ちていく。
それは、マイの目から溢れた大粒の涙だった。
「なんで?どうして私なんかのために」
「・・・ん、はにぃ」
「!!」
ツルギに突然名前を呼ばれ、マイは慌てて涙を拭う。
が、
「私もう食べられない・・・むにゃむにゃ」
ツルギはそう言うと、傍らのマイの掌を枕にするように頬をすり寄せながら可愛いい寝息を立てていた。
「・・・もう、ツルギったら、どんな夢見てるの?」
その、あまりに場違いな仕草と寝言に思わず苦笑する。
そして、ツルギの頬に落ちた自分の涙を拭きながら、ネコ化の牝獣のような、美しくて凛々しいけれど、ちょっと近づきがたい雰囲気がある普段の彼女からは想像できない、まるで仔猫のような寝顔に見とれていた。
「ツルギって、こんな仔猫みたいな顔して寝るんだ」
あまりに可愛らしい寝顔に導かれるように、顔を近付けていく。
「かわいい」
マイはそう言いながら、ツルギの唇にキスしていた。
そして、我に返った。
(・・・え!?えぇ?わ、私、今なにしてるの?)
離した唇を思わず押さえる。
そこにはまだツルギの唇の感触が残っていた。
(え!?え?もしかして私、ツルギにキスした?)
そう。彼女は今までに何回もツルギとキスしてきた。
だがそれは、全て彼女からキスされたもので、唯一“ごみ箱”の中でマイからしたのも、「キスして」と頼まれたからだった。
マイが自分からキスしたのは、正真正銘これが初めてだった。
(ど、どうしよう?私、ツルギにキスしちゃった)
頭から蒸気が“ぴゅ~”と吹き出るぐらい顔が熱く火照り、心臓が口から飛び出てくるのではないかというぐらい“バクバク”脈打つ。
そんな心の動揺を必死に押さえつつ、マイはツルギの顔を覗き込んだ。
彼女は、寝息を立てたままピクリとも動かなかった。
「えっと、えぇっと、・・・寝てる、よね?よし、大丈夫。バレてない。
・・・そ、そうだ!!もう遅いし寝よう。うん、そうしよう」
マイは大慌てで、しかしツルギを起こさぬようそっと身体を密着させて掛け布団を頭まで被ると、
「これでよし、っと。ツルギ、おやすみ」
そう言って目を閉じた。
が、
(う~、だめだ~、ぜんぜん寝れないよ~~)
目が冴えてしまって全然寝付けず、マイはツルギの体温を感じながら、目を閉じてただじっとしていることしかできなかった。
が、まさにその時、それは起きた。
彼女の目の前で突然掛け布団が天井まで吹き飛んだかと思うと、次の瞬間にはその身体が拘束され自由を奪われていた。
「!!」
まるで、テーマパークのアトラクションに乗っているかのように身体がデタラメに揺れる。
しかもその身体は、鉛のように重く“ぴくり”とも動かない。
何か“ぬるぬる”する太いものが全身に巻き付き自分を振り回している。
眼下を見下ろした彼女の視線に飛び込んできたのは、クラーケンへと姿を変えたツルギだった。
マイは、突如としてツルギの触手に全身をぐるぐる巻きにされ、天井近くまで持ち上げられていたのだ。
「・・・つ、ツルギ、なにしてるの?これほどいて」
全身を“ぎりぎり”締め付けられる激痛に耐えながら眼下に寝転がるツルギに呼び掛ける。
が、
「・・・あん、ハニぃ、やん」
彼女は目を閉じたままそう呟いていた。
しかも、自らの指を触手化させて豊潤な胸の膨らみを揉みしだき、もう片方の手も触手化し、脚の付け根へと潜り込ませ、何やら蠢させているのが見える。
「え!?ツルギ、私の声、聞こえてる?」
だが、呼び掛けるマイの声に何の反応もなく、
「ぁん、やん、だめ、ハニぃ」
ツルギは甘い声を漏らし触手を動かし続けるが、目は閉じたままだった。
「・・・もしかして、寝ぼけてる?」
そう。ツルギは寝ぼけていた。
「あん、どうしたの?今日のハニぃ、スッゴく積極的」
「え?」
「え?だめ、そ、そんな恥ずかしいこと私できない」
「は?」
「・・・でも、でも、ハニぃがどうしてもって言うのなら、・・・いいよ」
「ちょ、ちょっとツルギ、どんな夢見てるの?私、夢の中でもそんなことしないからね?何させてるか知らないけど」
しかし、そんな抗議が夢の中にいるツルギに届くはずもない。
そして〝ぬるぬる″触手が、彼女の2つの膨らみに吸盤で吸い付きながら巻き付きて揉みしだき、その先端で〝つん″と上向く桜色のちっちゃな蕾を舌先のような触手の先端が突っいたり舐め回したり、圧し潰しながらこね回していくのと同時に、脚の付け根へと伸ばされた数え切れないほどの触手が、〝ぬちゅぬちゅぬちゅぬちゅ″蠢く淫靡な音が響き渡るたび、ツルギの身体がそこを支点に〝びくっ、びくっ″と痙攣するかのように跳ねる。
「・・・つ、ツルギ」
それはマイにとって信じられない光景だった。
寝ぼけているとはいえ、まさかツルギのひとりエッチを見ることになるなんて夢にも思っていなかった。
〝くちゅくちゅくちゅくちゅ″と蠢く触手の音と、ツルギの吐息だけが寝室を満たしていく。
そしてマイに見つめられながら、ツルギはその時を迎えた。
「やん、だめハニぃ、そんなことされたら、私、あん、くふぅ、んんっ、もう、もう、ぁあん、イクぅぅうっ」
それと同時に、ツルギの触手が信じられない程の力でマイの身体を〝ぎゅ~~~~~~~~~~~~っ″と締め付けた。
“バキバキバキバキ~~~~~~~~~っ”
「ほぎょ~~~っ」
「え!?」
部屋にこだまするマイの断末魔の叫びを聞いてツルギは目覚めていた。
その十数分後、マイは培養液に満たされた治療カプセルの中にいた。
そして、恐ろしい形相で見つめる視線の先には、床に膝をつき、頭の上で両手を合わせるツルギの姿があった。
それだけではない。
「で、いったい何があったの?」
カプセルが並ぶ治療エリアを見渡せる廊下にはハルカを筆頭にチーム36の皆が集まっていた。
「全身の骨を砕かれたんですって」
そう説明するアヤに、
「信じられない。いったいどんなプレイをしたらそうなるのかしら?」
エマも驚きの声を上げる。
「そんなプレイがあるか」
そうマイが反論するが、
「アンナさんはその事知ってたんですか?」
何故が聞く耳持たずで、エマはアンナにそう問いかけていた。
「知らなかった。まさかマイにそんな趣味があったなんて」
「ちょ、ちょっと、アンナまで何言ってんの?」
「ね~ね~ツルギちゃん、ホントのところはどうなの?」
「リン、なに聞いてるの?」
「だって、ハニぃがスッゴいから、私もうワケが分からなくなっちゃって」
ツルギがそう言いながら、耳まで真っ赤に染まる頬に両手を当ててデレまくる。
「ツルギまで何言ってんの。寝ぼけたあなたが私の身体を触手でぐるぐる巻きにしてバキバキにしたんでしょうが。だいたい全身の骨を砕くプレイって、どんなプレイよ」
「アンナお姉ちゃん、プレイってなに?」
「いいのよ、アリスはそんなこと知らなくて」
そう。そこにはマイの身を案じたアリスも駆け付けていた。
「ちょっと2人共、何してるの?」
皆の会話をそこで遮ったのはサンドラだった。
「ツルギ、なんでマイをハーケリュオンに連れて行かないの?」
ハーケリュオンのコックピットに入れば加護の力で2人の傷はみるみる間に治癒する。
なのに何故、医療エリアで治癒カプセルに入っているのか?
それは、サンドラでなくても不思議に思える話しだった。
「ハニぃがもうハーケリュオンに乗らないって怒ってて・・・」
「えぇっ、それホント!!マイ、もうハーケリュオンに乗らないの?」
ツルギの口からこぼれた一言にアンナが食い付く。
が、
「何言ってるの?こうしてる間にブロッケンがあらわれたらどうするの?子供みたいに拗ねてないで早く傷を治しなさい。ツルギ、マイを連れてハーケリュオンのところへ行って、早く」
サンドラにそう言われたツルギは、
「は~い」
そう返事すると、マイが入るカプセルの非常ボタンを押していた。
「ちょ、ちょっとツルギ」
が、皆が驚きの声を上げるより早くカプセルが開き、マイは大量の培養液と共に床に押し流されていた。
「ま、マイ~~っ」
アンナが絶叫する中、全身の骨が砕けた激痛に動けない全裸のマイを“ひょい”と肩に担ぐと、ツルギはそのまま軽快な走りでカプセル・ルームを出ていった。
チーム36の皆はそれを〝ぽかん″と見ていたが、
「ま、マイちゃんが拐われたぁ」
リンのその一言で“はっ”と我に返り、慌てて後を追い掛け始めた。
「ま、待ちなさいツルギ、私のマイをどこに連れてくの?」
「え!?私の?」
「い、いや、私のっていうのは親友っていう意味で、・・・って、今はどうでもいいでしょ?そんな話」
そう言いながら追い掛ける先でも、ツルギに担がれながらマイが顔を耳まで真っ赤にして叫んでいた。
「止めてツルギ、降ろして。お尻、お尻が丸見えだから」
そう。ツルギはマイを下半身が前にくるように肩に担いでいた。
そのため、ツルギの顔の横に、マイの丸見えのお尻があった。
「ダイジョウブだよ。そんなぐらいじゃ死なないから」
だが、マイからは、すれ違う人たちが〝信じられないモノを見た″といった表情で振り返るのが全て見えていた。
「大丈夫じゃないよ、もう、私、お嫁に行けない」
「じゃあ、じゃあ、私のお嫁さんになって」
「え!?」
「だめ?だめなら私がハニぃがお嫁さんでもいいよ」
「つ、ツルギ」
「な、なに?」
「・・・ううん、なんでもない」
「・・・」
2人は顔を真っ赤に染めたまま、ハーケリュオンが係留されている貨物倉庫目指して走り続けていた。
〈つづく〉




