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私の平穏の日々と騒々しい世界たち  作者: ガゼルにしむりゃ
組織に追われる異様者達
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転移返しと候補、そして返答待ち

 足手まといはすぐにでも飛んできそうなので私もスピードを上げながら詠唱を使う。

 敵を倒すのではなく、転移を阻害するのだ。

 転移の途中で阻害された場合、どこか知らない場所へ飛ばされるか、元の場所に戻されるかの二つの種類があるが、あの転移は幸いな事に後者、元の場所に戻す場合は勢いよく弾かれるが、多少けがをする程度なので大丈夫だ。

 見れば探知した転移の道筋に乗って高速で移動する足手まといの残滓がある。

 そこに向かって転移返しを唱えて送り返す。

 残滓が焦って揺れるがもう一度転移し直すほどの力はないようで全員送り返されていった。

 まあ、転移返しを受けてなお転移が出来るのなら相当な腕で、そんな存在はこの世界に存在していないという事は、世界の破滅に抗えず、私の力に頼り切りな所でわかるが。


「いや~危なかったね、ある意味破滅より厄介な奴、足手まとい、邪魔なゴミとか来てほしくなかったからね」

「ゴミ、とかは言いすぎだとは思うがまあ同感だな」


 ソゥヲバーリュが安堵の息を吐く。

 仲間を心配して飛び出してきた奴らにはすまないが同感だ。

 今、ここでリモーピョに死なれてしまっては困るのだから。

 リモーピョは貴重な救世主候補だ。

 あれを鍛えて、破滅に抗う者に仕上げる事も今回の私達の目的で、そのためにはリモーピョに実践の経験を積ませなければならないのだ。

 たとえ苦しもうとも、世界の破滅に立ち向かうためにはその程度の苦しみは必要経費だ。

 私が救ってしまったせいではあるモノの、私を偶像に祭り上げてその力だけに縋り付いているのみのグァットジーイルは甘いし弱い、そして愚かだ。

 結局は他人の力より磨き上げてきた自分達の力が重要なのだ。

 そのために自立を促さなければいけない。

 リモーピョが敵を倒したのを見て、私はリモーピョの元へと飛んだ。


                      ・


「グァッ!? グァットジーイル!? それはどうしたのですか!?」

「敵の抵抗が激しくてな、少しやられてしまった、なんとか傷を負わせたら逃げて行ったのだがいつまた奴らが出てくるかわからんな」


 私の無くなった左ひざから下を見て、リモーピョは思惑通り動揺していた。

 というか思惑通り以上に動揺して、私の足の下に跪き、舌を伸ばしてくるのを止めるのに苦労をした。


「すみませんでした、唾をつけておけば直るなんておばあちゃんの言葉を思い出してしまって」

「い、いや、落ち着いてくれたならいい、それよりこれからあの敵以上の敵が出てくるとなると私では荷が重いかもしれないな」

「そ、そんな」


 リモーピォの絶望した顔に心が痛むが、これはこの世界達のためでもあるのだから私は耐えた。


「だがリモーピォ、ひいてはこの世界の人々の力を合わせれば何とかなるかもしれない、いいや、必ずできる」


 そして私はこの世界の人々が戦う意思を持つ方にまずはリモーピォの意識から変える為に言う。


「そも私では私の住む世界以外の世界の破滅を止めるの難しいのだ、やはり世界に適応した体を持つ者の方が力を存分に振るえるし長期間戦える、私の力を当てにするよりは世界の者達の力を高めることが先決だ、もちろん、私も戦うがこの世界達に住む一人一人の抗う者達の力が世界を救うのだよ、本来は」

「わたし達一人一人が……ですか」


 頼みの綱である私の言葉にリモーピォはうつむく。

 心から過去の私を信じているリモーピォにこの言葉はどうとられるのか、とられようによってはまた苦戦する事になるがまあ問題はない。

 リモーピォ以外の世界を救うに足りる力を鍛える事ができる者もいるであろうから。

 世界に向かって飛びながら、黙ってしまったリモーピォの言葉を待った。

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