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私の平穏の日々と騒々しい世界たち  作者: ガゼルにしむりゃ
組織に追われる異様者達
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疲労回復と忠誠心、そして想定外

「うっ……ううふぅ、どぎついの食らった、ガゼルは少し加減を覚えようか」

「加減はちょうどよかっただろう? よく回る口がいつも以上に回っている」

「それを言われると何も言えないよ」


 ビリゥヴァの中に収納していたソゥヲバーリュは私の詠唱によって元気になり、腑抜けたことを言わずに私の横に並んで飛んでいる。

 その顔がうっすら赤らんでいるのは健康になった証であり、血行が良くなったのだ。

 何故か詠唱による回復が終わった後から機嫌を少し悪くして私に文句を言ってきたが意味不明だな。


「彼女がいる身で他の女性を背中で喘がせるって結構やばいと思わない?」

「私はお前を女性だと思った事は無い」

「だろうね、そうだろうね、ああ! ちくしょう! でも元気が出たからいいや!」


 怒りで空中を踏みつけた後、いつも通りの表情に戻ったソゥヲバーリュは口に嫌な笑みを浮かべていく先を見る。

 その先ではリモーピョが戦っている、もう、敵を撃破しそうであったので、少し私は速度を上げて近づく。


「ところで我が主人、ビリゥヴァの中にいる時に小耳にはさんだのですが、ドール共に名前を付けてあげたそうで」


 そこまで早く飛べないので私の右の手にしがみつくリーポォから唐突にそんな言葉が送られてきた。

 そういえばアアルを約束した通り、あの未開領域の探索後にドール達に片っ端から名前をつけたな。

 ビリゥヴァの中の道具や生命達の数は膨大なので、こういう風に意思を持った道具だとビリゥヴァ内で会話していたりする。

 ただ、確かリーポォとドール達はあまり仲がよろしくなかった記憶がある。

 どちらも私を主人と呼び、自分達の方が役に立っていると言わんばかりに同時に扱おうとすると競い合い、放っておくと喧嘩を始めるのだ。

 どちらも頑丈で滅多に壊れる事は無いが、原動力は私の魔力、つまりは力を出せば出すほど私が疲れる。


「そうだな、ドール達には名前を付けていなかったから識別ができないし、名前を付けたぞ、それがどうした?」

「喜んだドール達がこちらの方まで来て煽って来て、何故かエラーが出たので」

「エラー、珍しいなお前がエラーとは」


 リーポォは高性能な金属で、機械のような部品の経年劣化によるトラブルなどがなく、というかエラーがでたなんて聞いた事がない、とはいえ長い付き合いではあるのでもしかしたら私のせいで何らかの影響が出たのかもしれない。

 一度メンテナンスに出した方がいいか?


「いやいや、お考え直しを我が主人、大丈夫です、今はエラーは出ていないですしむしろ前よりはるかに調子がいいです、性能の方も主人に拾われてから大幅に向上しました、はっきり言って限界突破です、本来ならこんな姿にはなれるワケがないはずなので明らかに我が主人のおかげでしょう」


 私の意思を読んだのか、私の言葉を先読みしてリーポォが何故か焦った表情で私に顔を近づけてくる。

 目の端の文字が勢いよく増えてどんどん流れていく。

 早い、早い、読み切れるが、それほどまでにリーポォを突き動かす強い忠誠心に関心を覚える。

 そこまでの忠誠を向けられる事をリーポォの目の前でした覚えはないが、私の魔力を受けているのでその力を自分なりに分析してそういう答えを出したのだろう。

 生きてきた時間が長く、その分積んできた研鑽も積んできたのでそれは納得できる。


「ねえ、愛しの道具ちゃんと会話を楽しんでいる所ごめん、想定外が起こりそうだってことをお知らせするよ」

「特に楽しんではいないが……面倒だという事はわかるな」


 ソゥヲバーリュから少し呆れた様子で声をかけられ、私はリーポォから目を戻し、探知の詠唱で脳に映し出された情報を見て、私はため息を吐きたくなった。

 リモーピョと敵が戦っている向こう、リモーピョの仲間らしきグァットジーイルの人間が何人かが世界内から飛びだし、リモーピョの元へと転移していく軌跡が宙に描かれた。

 援軍は嬉しい、リモーピョの敵を早く片付けられるだろう。

 しかしそれは腕が良ければだ。

 明らかに転移の元にいる組織の者達は格下も格下、雑魚の足手まとい。

 助太刀に来て逆に足を引っ張るヤツという事が判明した。

 そういえば成程、ここは敵が侵食している世界の近くであり、また、それに抗う組織のいる世界もすぐそばだ。

 リモーピョが戦っていれば出てくるか。

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