後処理とこれから、そして我が娘
未開領域を抜けることに成功した私はそのまま飛び続けた。
その場にとどまっていては私達に続いてドラゴンが出てきた場合に襲われるからだ。
ついでにこれから少しの間滞在する場所まで行く。
この身体を器にしまうまで時間がかかるので、その間滞在できる世界に、というワケだ。
「ついに、わたしは出られたのね、外の世界に……」
「そうですよ! エヂィペンさん! ようこそ外の世界へ!」
エヂィペンが感動に声を震わせて、涙を世界の狭間に落としていく。
ココココ子は満面の笑みでまるで自分の事のように喜んでいる。
喜んでもらって何よりだ、ただ、ココココ子はうるさいので耳元で叫ばないでほしい。
「あの、お父さん……いや、ガゼル」
エヂィペンがココココ子の元から私の方に移動し、腕にしがみつき、しっかりと言葉が届くように私の耳元に口を寄せた。
「何だ?」
首を動かし、見ると、エヂィペンは涙を流しながらも満面の笑みを浮かべた。
「ありがとう、わたしをあの世界から連れ出してくれて……」
「どういたしまして、だが、ここからお前は新しい世界へと踏み込んでいくんだ、油断はするなよ」
エヂィペンがとっておいたお礼を受け取って私も笑顔でそう返した。
その時、未開領域への入り口が消えていくのを感じた。
あの世界はもう誰にも見つからないだろう、無くなったのだから。
・
「これからどこに行くんですか? ガゼルさん」
「ああ、知り合いの所だ、私はそこで身体を元に戻るまでは暮らす、お前はどうする?」
「う~ん、そうですね、わたしも一緒に行っていいですか?」
「ああ、いいぞ、というかお前にはまた教育をしなければいけないと思っていたからな、好都合だ」
「うへぇ、お手柔らかにお願いします」
「わたしはどうなるのかしら?」
「エヂィペンにも私の教育を受けてもらう、外の世界はそんなに早く順応できる程甘くないからな」
「そうね、わたしもお手柔らかにお願いするわ」
そのような話をしながら私達は目的の場所に向って飛ぶ。
そうだ、初希に連絡しなくてはな。
あっちの世界と私の住む世界の時間の流れからして一週間位は家を空ける事となる。
心配をかける訳にはいかないからな。
書置きを送っておこう。
無声詠唱で私の部屋の座標に、急ぎの用で家を空けるという内容の書置きを召喚する。
今の私の身体をもってすればこの位は造作もない。
さて、後は、今から行く世界で世話になる知り合いに連絡するのみだ。
ああ、いい加減に休みたい。
この身体に戻ったから疲れはないはずだが、普段の生活リズムのせいか寝たいという気持ちが強い。
教育はそれからだ、それと、ドラゴンのブレスを受けたのでビリゥヴァのメンテナンスもしなければいけない、久しぶりにあいつの元にもいかなくては。
それに大きな気配をを封じ込めたこの肉体をどこかに預けなければならない。
ああ、ココココ子に付き合ったためにいろいろ厄介な事になったな。
それでも、娘の笑顔を見れて悪い気はしないモノだ。
「そういえばお父さん! 今回は付き合ってくれてありがとうございます! 言い忘れてました!」
相変わらず馬鹿でかい声が私の耳に響く。
それだけ感謝の気持ちがあるなら、今度から探索で危険がないようにみっちりと厳しく教育しても文句は言われないだろう。
まったく、阿呆な我が娘は手がかかるが可愛いモノだからこまるな。
「何かわたし今嫌な予感がしたんですけど、ガゼルさん変なこと考えてないですよね? ちょっと、なんか言ってくださいよガゼルさん、ガーゼールーさぁーーーん!!」




