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背後に震えるエリシャを張り付けながら、ディアラは肩をすくめる。
「エリシャは対人恐怖症なんだ。」
「対人恐怖症?」
「一時期よりは良くなったんだが、初対面の相手や、異性、大声を出す相手は特に苦手でな。」
そんなディアラの説明を聞き、その背後で震えるエリシャにガルディウスは納得する。
「見事にバーデルさんは全部該当してますもんね。」
「お前だって二つは当てはまるだろ!」
むっとして言い放つバーデルに、ガルディウスはそっと人差し指を立てる。
「だめですよ、大声出しちゃ。」
ますますディアラの陰で小さくなって震えるエリシャに、バーデルは気まずげに目を泳がせた。
「そ、そんなんで一緒にクエストなんてできるのかよ。」
「懸念は理解できるが、まあ、大丈夫だろう。」
ユハスのそんないいかげんとも思える言葉に、バーデルは眉を寄せる。
「何を根拠にそんなこと……」
「初対面とはいえ、さっきだってお前を治療出来た。エリシャの回復がどうしても必要なほどの重症ならまともに身動きできないから、エリシャも多少は安心して近づけるからな。」
「最悪重症になるまで治療して貰えないってことかよ。」
「エリシャがおまえらに慣れるまではそうかもな。」
あっさりと肯定したユハスに、バーデルは顔を引きつらせる。
「なんでそんな奴をわざわざ用意したんだよ。」
「エリシャの対人恐怖症を改善するために、エリシャが苦手なタイプのおまえとあえて接点をつくった。」
「おまえが人のために?……気は確かか?気持ち悪いぞ。」
酷い物言いだが、自分が善人だとは欠片ほども思っていないユハスは淡々と応じる。
「安心しろ。一重に俺の研究のためだ。エリシャは貴重な研究対象だからな。」
「……まあ、どうせそんなもんだよな。」
苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべつつも納得したバーデルの隣で、ガルディウスは首を傾ける。
「研究対象……それは彼女の特殊な魔法威力上昇についてですか?」
そんなガルディウスの言葉に、ユハスは目を細める。
「本当にいい眼だな。初見でエリシャの特殊さを見抜くか。」
「ええと……原理はまではわかりませんけど。」
「頭は残念なおまえに理解できるはずもない。どうせお前のことだ。エリシャを優秀な魔法使いだとでも勘違いしているだろ?」
「勘違い?」
少ない魔力でより効力の高い魔法を発動させることができるのは、優秀な魔法使いの証しだ。
一般的な小治癒の回復力を魔力の消費を増やすことなく大幅に向上させたエリシャが優秀な魔法使いだと判断するのは当然のことで――けれど、ユハスは言い放つ。
「ああ。エリシャもおまえらと同じ学院の『落ちこぼれ』なのさ。」




