3話:誕生日プレゼントは、◯◯です
ここまでついてきてくださったそこのあなた! そう!あなたのことです★
大変人格者なのか、はたまた、観察意欲の鋭い方とお見受けいたします。
今日はサクッと本編どうぞです★
「葵ちゃん。今日は誕生日だったね。
僕からの贈り物だよ。どうか、その爆発寸前の神経を少しでもリラックスさせてほしいと思ってね。……教育的観点からも、君の精神安定は優先事項だから」
葵は思わず息を呑む。
箱山晴という男が、自分の個人的な記念日を認識していたという事実に、微かな高揚と期待が混じる。
差し出されたのは、
箱山の冷徹なイメージとは対極にある、
甘ったるいほど可愛らしい包装紙に包まれた箱。
(……何よこれ。珍しいじゃない。この男も少しはまともな神経してるのね)
葵は期待を隠しきれない指先で、丁寧に包みを開いていく。
リボンが解け、包装が剥がれる。
そこには重厚なガラス瓶が一つ。
「……ふん、アロマオイル?
それとも高級な紅茶かしら。
まあ、感謝して受け取ってあげるわ」
カチリと蓋を開ける。
鼻腔を突くのは優雅な香りではなく、無機質で乾いた錠剤の匂い。
葵の手が止まる。
その中身を見て、彼女の表情が硬直した。
「カルシウムのサプリメントだ。
まあ、医学的根拠は著しく乏しいけど、カルシウムはイライラに効くという典型的な民間療法を耳にしてね。
君のその無意味な怒りの感情を抑制するには、まずは物理的な補給が必要だと判断したんだ」
葵は冷めた眼差しで切り返す。
「先生に一瞬でも常識人としての可能性を見出した自分の判断力、これもう医療機関で検査してもらうレベルの重大な欠陥だわ」
シニカルな笑みでその言葉を受け流している箱山は眼鏡の奥で、無機質な好奇心を宿した瞳を葵に向ける。
「さあ、飲みたまえ。
次の授業では、君の『イライラ』が少しは知的な議論の邪魔にならないことを期待しているよ。
……あ、もちろん定価で購入したから、今月の授業料にオプション料金として上乗せしておくからね」
―後日談―
なお、イライラはサプリメントの摂取前より増加したことが実証された。
エビデンスは、香坂葵の握りしめた拳であった。
この度は家庭教師コメディをお読みいただきありがとうございます!明日も12時10分に次話を更新します。
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なお、夜は20時10分に毎日更新している別作品で『告解者』という完全シリアスなサイコサスペンスも書いておりますので、もしよろしければお読みいただけると嬉しいです★




