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第46話 鯛怪人三兄弟

 日向は最初着ぐるみが歩いてきているのかと思ったが、やけに生々しい、それもマダイ、チダイ、クロダイだ。

 「なんだ、君たちは気持ち悪い。」「気持ち悪いとはなんだぎょ。鯛怪人三兄弟に向かって。」

 「ここは淡水水族館だぞ。鯛は場違いだ。」「クロダイは川にもいるぎょ。場違いではないぎょ。」

 「キャッ、日向さん、怖いわ。」

唯がここぞとばかりに抱き着く。鯛怪人たちは鮮度の良さそうな澄んだ目で唯を見て言う。

 「好みだぎょ。我々とお茶するぎょ。」「いやです。日向さん、やっけてください。」

 「酷いぎょ。見た目で差別するぎょ。」「男は見た目です。」

鯛怪人たちは涙する。日向はその姿を見ても同情する気になれない。魚に人間の手足が生えていて気持ち悪いし、生臭そうだ。

 「君たち、もう帰ってくれないか。退治はしないから。」「色男が我々を見下しているぎょ。」

マダイが殴り掛かる。日向は余裕でかわす。マダイはこぶしが空ぶるとバランスを崩して、足がもつれて転ぶ。

 「マダイ兄、大丈夫か。」「あいつ、なかなかやるぎょ。」

今度はチダイとクロダイが日向に立ち向かっていく。日向は触りたくないのでかわすだけだ。チダイとクロダイはバランスを崩して自爆する。

 日向は、鯛怪人はどう考えても大きな魚の体に人間の足2本では無理があると思う。立って歩いていることが不思議なくらいだ。

 その時、唯がぼそっと恐ろしいことを言う。

 「鯛の刺身おいしいわよね。塩焼きもいいわ。」「ななななな、我々を食べるつもりだぎょ。」

鯛怪人三兄弟が青くなる。

 「今日はこの辺でやめてやるぎょ。次はただでは済まさないぎょ。」

鯛怪人たちは走って逃げ出す。日向が思わず注意する。

 「走ったら危ないぞ。」

ぼてっ、鯛怪人たちは転んでしまう。そして、パタパタもがきながら立ち上がる。

 「お前なんか、嫌いだぎょ。」

鯛怪人たちは涙を流しながら逃げていく。日向と唯は二人きりになる。

 「唯さん、疲れました。帰りませんか。」「でしたら、どこかで休みましょう。ホテルがいいですわ。」

 「いえ、真直ぐ帰りましょう。」

日向はドキドキする。ホテルで二人きりになったら、何が起きるかわからない。

 帰り道、コミュニティバスはラブホテルに乗り付けるが日向の必死の抵抗で唯と運転手は諦めることになる。

 唯はその代わりに日向にキスをせがんだ。日向はまな板の上の鯛の気分になる。

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