VOL139 「冬のアメリカ大移動旅 後編」
ー前回からの続きー
外国の美しい街並み、雄大な風景を
眺めながら自分で車を運転する。
コンバーティブルカーの屋根を開けて
風を感じながら次の目的地へと
進んでいく時はまさに
「ああ俺は自分だけの力で今こうして
異国を突き進んでいるぞ!!」
という達成感がサイコーだ。
でも毎回何年かぶりとなる海外での
レンタカーの運転は俺にとっては
難しいことで緊張する。
初めての車、知らない道で、
地図だけを頼りに運転しながら、
英語での地名の案内板や
見慣れない標識が過ぎ去るまでの
ほんの数秒の間に確認して
判断しなければいけないのだ。
'94年当時は当然ナビなどもない。
もしハイウェイの分岐点や
降りる場所を間違えた場合は
その後の軌道修正にさらに
タイヘンな労力と時間が必要となる。
左ハンドルでの運転では何回も
間違えてウィンカーを出すつもりが
ワイパーを動かしてしまう。
さらにアメリカなど日本とは逆の
右側通行では左折する時に混乱する。
極めつけはラウンドアバウト。
日本ではほとんど存在しない、
駅前のロータリーを大〜きくした
ような信号機のない交差点のことだ。
進入した後、案内板を確認して出る
タイミングを失うと
コメディ映画のようにグルグルと
周回し続けることになる。
今回マイアミからキーウェストまでの
ドライブはひとりじゃなく同級生の
宮西と一緒だから必死に地図や案内板
を確認しながら運転しなくていいし、
ひたすら海の上のハイウェイを
真っ直ぐだからいつもより遥かに
ラクチンなのだ。
唯一の気がかりはマイアミ周辺での
レンタカーへの銃撃事件の注意喚起。
とにかく他の車から声をかけられても
絶対に止まるな!!と。
とても2月とは思えない暑い陽射し。
車のラジオから流れる明るいDJの
トークとラテン音楽を聴きながら
走り出す。
左右に拡がる蒼い海と次々と
通り過ぎるトロピカルカラー溢れる
小さな島々を眺めながら走っていると
この平和な空間でそんな恐ろしい
事件が起きることが信じられない。
突然、後ろからサイレンの音がっ!
茶色い車の屋根の上に赤色灯が光る。
あちゃー、覆面パトカーか。
「絶対止まらない」はずが、、、。
LAでは車、ローマではスクーターで
駐車禁止の切符を切られたけど、
走行中に止められたのはこの時だけ。
路肩に停めると、刑事らしい茶色の
スーツにサングラスを着けた
30歳くらいの男が窓越しに免許証を
見せるように言ってきた。
英語がわからないナゾの東洋人を
装ってなんとかごまかせないかと
するけど全くムダだ。
無表情な彼は極めて事務的に手早く
書類作成をして違反内容を告げる。
「速度オーバー17キロと
車線変更時のウィンカー不履行」。
17キロ、ってキビシイなあ。
すいてて必要ないやろから
ウィンカー出さなかったけど
それも違反とは。
去り際に「Have a nice day.」
と言いやがる。
チクショー。
でも、こういうことを公にしては
ダメかもやけど、海外での過去3回の
違反で罰金を支払ったことはない。
約50の島々が連なるハイウェイの
最終地点、アメリカ最南端
キーウェストに到着。
その場で宿を決めて荷物を部屋に
置くとすぐに外へ。
気温は30度を少し越えている。
作家ヘミングウェイが過ごした島か。
ストリートパフォーマーが鳴らす
スチールドラムの音と南国の木々が
気持ちを高揚させてくれる。
宮西も楽しそう。
2$ほどだったか、道端で売っている
何種類かの生フルーツで作る
トロピカルスムージーが
めちゃくちゃおいしい!
道行くひとや店に佇むひとは
アロハシャツに短パンなど
夏の装いでリラックスしている。
スムージーがあまりにもうまくて
また別の店でも買う。
モーテルにはプールがあって、
夜はライトアップされている。
夜にプールに入るのは初めてだ。
南国やなあ。
翌日、マイアミでレンタカーを返し、
飛行機でニューヨークへ。
着陸前に窓からマンハッタン島全体が
白く見えている。
なんてことだ。
マイナス5℃以下でこの時期たまたま
ニューヨークは豪雪に覆われていた。
なんとハドソン川が流氷で
埋め尽くされているではないか!!
わずか数時間で40℃近く低い世界へ。
街中ではかかとの部分が持ち上がる
クロスカントリータイプのスキーで
移動するひとがけっこういる。
大都会の平地でスキーかあ。
雪かきされた大量の雪が
路上駐車した車の上にまで
積み上げられている。
前回来た雪がなかった3月とは
違う街みたいだ。
折り畳み傘を買いみぞれの中を歩く。
寒い。
あまりに大きい気温の高低差で
少し体調がよくない。
宮西は昔からビートルズの大ファン。
セントラルパーク内にこの街で
銃殺されたジョンレノンのために
設置されたメモリアルモザイクを
目指す。
普段ではないほどの大雪なのだろう、
テレビ中継車の前で
ニュースレポーターの女のひとが
カメラの前でマイクを持っている。
こっちに手を振って
話しかけてきたから俺らもこの日
ニューヨークでテレビに
映っていたかもしれないな。
このあたりのはずだけど
あたり一面が雪一色でモザイクは
見えず、宮西と雪を掘る。
同じようにしている若い白人が
ひとりいた。
しばらくしてやっと雪の下から
「IMAGINE」の文字が現れてきた。
これかっ!
ここが世界中からジョンレノンの
ために集まってきて花を添えたり、
イベントを開いたりする特別な地点。
宮西は大満足していた。
ブロードウェイミュージカル
「クレイジーフォーユー」と
「ガイズ&ドールズ」を観る。
前回の「キャッツ」も凄かったけど、
今回は大掛かりな舞台装置や
カラフルで華やかな世界観が
素晴らしかった!
2回目のニューヨークを満喫。
夏と冬をまたぐアメリカ旅は
内容盛りだくさんだった。
マイアミ周辺はサンフランシスコ
ほどじゃないかもだけど
ゲイが多いらしいとあとで聞いた。
キーウェストで二人で歩いていたり、
ましてや夜にプールにいた俺らは
そう見られていたのかもしれない。




