第11部 砂駆ける乙女
第一ブロック
一回戦
ミカエラ・ジェルエンvsドラン・ドラミング
魔王杯本戦。決勝トーナメントが始まった。異種族の者どもがざわめくスタジアムで今試合が始まろうとしていた。
第一回戦はヘビー盗賊団の団長であるドランと天才と呼ばれた天使ミカエラ。
お互いに女の身であるがその力は男にも勝るものがある。お互いに負けられない第一回戦。興奮と熱狂のスタジアムの中、殺戮に飢えた魔王が現れた。
「やあやあ!諸君、いよいよ戦いの幕開けだ!」
ミカエラ・ジェルエンvsドラン・ドラミング
11点マッチ 3ゲーム先取したほうが勝ち!
「サーブはあなたからでかまいませんことよ」
ドランの元へ歩み寄ると指でつまんだボールを台に転がした。
「おう、ありがたくいただいておくぜ」
龍の少女はそういうとボールを拾い上げ、左の掌に乗せた。その時だ。地面が揺れ動き少女はボールを落としそうになる。
「おおっと!」
「何が起きていますの?!」
「ステージチェンジだよ。環境をちょいと変えるだけさ」
魔王がカラフルなルーレットを回すと白い煙が会場を包んだ。
「あの魔王何かしおったな」
「ローラン様ー!ユキムラちゃんがいなくなっちゃったの!」
「何!?それはまことか!」
白い煙が止むとステージは砂の地面となり、天井には人口の太陽が照り付けている。
「魔王ルーレットによって、一回戦のステージは砂漠のステージに決定!」
試合開始!
「…暑い!」
「さあ、いくぞ!」
「天使のあの子、辛そう…」
「お、エルのお嬢さん。観戦とは珍しい」
選手用の観戦席にはアスタロトやアークの他、ハンゾウやサイトなどカイザーやニャリルの暴走を止めるために共闘した者たちもいた。
「あ、ジェイドさん!こんにちは」
「おうおう。そんな前のめりになってまでして観戦したいのか?」
ジェイドは今にも落ちそうなほど前のめりで観戦する少女を引っ張り上げる。
「試合に関心なのは分かるが他の選手の皆様に迷惑かけるんじゃないぜ」
「はーい。って、もう第一セット終わってる!」
エルがモニターの方に
第一セット
7-11
ドラン・ドラミング 1ゲーム獲得!
と書かれていた。
「え?予選二位のミカエラさんが押されてる!?」
「珍しい…のかしら…」
「いや、アイツは苦戦してもあんな辛そうな顔はしなかったぜ。むしろあんなになるまで必死になっているアイツは初めてだ」
アスタロトがそこまで言うのだから彼女は相当苦戦している。皆そう納得した。
「なんでこんなにも苦戦するんですか?ミカエラさんはたくさんの必殺技を持ってるはずですよね?」
「ああ、だが問題はそこじゃない」
「地の利でござるな?」
「流石はハンゾウだな。というかこれはもうミカエラの運が悪かったとしか言いようがなかったな」
「どういうこと!?」
「ごちゃごちゃうるせえぞ。試合見てりゃ分かるだろ?」
少女はまた前のめりになった。
0-4
サーブ権ミカエラ
「せいっ!」
「次はそっちだ」
炎が返球の軌道をミカエラに教える。
「そんなもの必要ありませんわ!」
「どうした、威力が落ちているぞ?砂にでも足を引っ張られたか?」
「くっ…」
(速攻に持ち込めば消耗して逆転。カットやブロックを駆使してロングレンジに持ち込もうものなら速攻を仕掛けるよりも大幅に体力を持っていかれますわ…)
「天使であるミカエラは天上で暮らしていたのもあってこういった荒れた場所での戦いには慣れていない。一方でドランはサラマンダー属の半竜、暑さにも荒れた地形にも適した身体が既に作られている」
「体格や特性の差なんていくらでもありますよ。たかがそれで苦戦するとは…」
「砂。あれが原因だろ?荒野とか地面が固い場所なら人口太陽があってもあれほど苦戦しないはずだ」
眼鏡をかけた青年がそう言うと超能力と思わしき何かで砂をすくい上げた。
ジェイドは「サンキュー、サイト」と礼を言い、指先で砂をいじった。
「ああ、これはひどい。詳しくは言えないがこの砂はあえて踏みしめにくく作られている。魔王がやったんだ」
「それにヨオ!姉貴の必殺技との相性がベストマッチ!」
聞き覚えのあるラップ口調。後ろの席から錆びたゴーグルが光っていた。
「ダイショ!?お前、なんでここに?」
「魔王に許可をもらってここにきたヨオ」
「ダイショさん!必殺技って何ですか?」
「ああ、ダンス・オブ・サラマンダイルか」
「ダンス・オブ・サラマンダイル…?」




