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〜異世界卓球〜 混沌の章   作者: 不滅のピン太郎
第三章 魔王杯 本戦編!
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第9部 完成!無敵の戦車!

「俺たちなくして!」

「なぁにが異世界卓球だヨオ!」

会場の全員が驚いた。なぜならば、足音を聞き取ったその直後に姿を現したのだ。そこにはボロボロになったマフラーの男とゴーグルをかけた男が腕を組んで入場口の前に立っていたのだ。

「姉貴だけにいい顔させられねえぜ」

「この速さ、まさにライジング!お前ら聞いとけリスニング!俺たち目指すは勝者のキング!メン球かっ開いて見てろよルッキング!最強コンビの俺らのプレイング!」

「グゥゥゥッド!」

二人のコンビネーションは絶好調!場を圧倒した。といっても過言ではない。

「そのいかにも不潔な見た目!」

(そのキレのありそうなナンセンスなラップとめちゃくちゃうまいけど面白みのないボイパ!)

一時の沈黙が会場に漂った。

「誰だっけ?」

「おおおおおおおおおおおい!」

「これで何回目だヨオ!」

悶絶する二人。どうやらサツキは本当に覚えていないらしい。

「アオダ!ダイショ!おめえら、何してんだ?!」

龍の少女が咄嗟に駆け出した。その声を聞きサツキは「ああ!」と手を合わせた。

「姉貴!」

「俺たち決めたんだヨオ!」

二人は咄嗟に決めポーズのようなものをとる。

「俺のランキングは五十六位!」

「俺は三十二位だヨオ!」

(何でダイショの方が強いんだよ)

この騒ぎに魔王が現れないわけがなかった。黒いローブは禍々しい威圧を放っている。会場の雰囲気は次第に緊張感を漂わす。彼がこの場に歩み寄るたび、心臓の鼓動が足音に応えるように聞こえていた。

「つまり何が言いたいんだい?」

「ユキムラのヤツが言うように俺はダイショより弱いかもしれない。でも俺たち二人がチカラを合わせればアスタロトやミカエラは勿論!あのカイザーも楽勝だ!」

「つまりー、シングルスってだけで俺たちバラバラにすんじゃねえってことさ!」

「ほう?」という言葉を魔王が吐き捨てると彼らの目の前に立ちふさがる。彼らは背筋が凍てつくような感覚に襲われた。いまかいている冷汗も凍ってしまいそうだと彼らは感じた。

「じゃ、こうしよう!ユキムラ君と君ら二人が戦って勝ったならば、君たち二人を一人の選手として十六位に格上げしてあげよう。ただし、叶える願いは一つだ」

魔王の言葉を聞くと二人はマッチに火が付くように大喜びした。

「いや、魔王様…なんで僕なんですか?」

「ユキムラ君はギリギリ、十六位だからね」

抗議しようと思ったがもう一人のサツキが語り掛ける。

(相手はアオダとダイショだぜ。俺たちはあいつらと戦って一度も負けたことないだろ?)

「うん、そうだけど…あの二人、気迫がなんか違うよ」

「さあ、試合開始だ!」



ユキムラサツキvsアオダ&ダイショ

「時間ないから十一点マッチの一ゲームでいいかな?」

まったく計画性のない魔王だ。


試合開始!


6ー1

サーブ権サツキ


「なんだやっぱり大したことないじゃん」

ユキムラサツキの眼が赤くなるまでもなかった。

「お、お前!最初っからバスターブレイクぶっぱなしてんじゃあねえヨオ!」

「そうだそうだ!もっと手加減しろ!日本人にはバラエティってのがねえのかよ!」


大きなスタジアムの真ん中に卓球台。他の選手たちは良く見える前の方の席に座っていた。

「あの二人…無謀じゃないかしら」

「ええ、サツキは予選前よりも大きく成長してますわ」

「黒い眼のサツキもバスターブレイクを使いこなせるようになったんだ。あいつに限ってこんなとこで

負けることはないな」

天使と悪魔はやはりサツキが勝てるということを信じていた。

「おめえら、どっちを応援するかは別だがあのバカどもをあんまりナメてもらっちゃ困るぜ」

三人が振り返ると半竜の少女の姿を目の当たりにする。

「あら、ドララガールじゃない」

「ドランだ」と一言で返すと、アークの隣の席に腰かけた。

「一応、あいつらもそのユキムラってやつくらい成長してるさ。ドジや失敗が多くて出世できるような奴じゃないが、あいつら二人にはガッツを感じるんだ」

五点差もついてしまえば、圧倒的に不利という言葉だけでは済まされないだろう。

(一気に決めるぜ、相棒!)

しかし、

「そろそろ頃合いかヨオ?」

「へへへ。俺たちの必殺技を見せてやるぞ、ダイショ!」

彼らは奥の手を持っていた。

「オウ・イエス!」

「あ、あの二人が必殺技!?」

アオダは何度かつま先だけでジャンプした。

(あの動き…何をするつもりなんだ?)

「覚悟しろユキムラサツキぃぃ!」

アオダが3mほど跳躍するとダイショはアオダの着地するであろう場所に移動した。

「合体!!」

「ンだああああああああああああヨオオ!」

まさに合体。というほどでもない。はたから見ればただの肩車だ。安定しているがコレで卓球するのかと驚くサツキ。

「完成!ヘビィチャリオット!」

「肩車じゃん」

「文句はサーブ打ってから言いな」

「そうだヨオ!」

サツキはボールを投げ上げいつも通りのフォームでサーブを繰り出す。

「ヨオヨオ…」

「トゥトゥ…」

なにやら口を動かしている二人。その刹那、ラケットをくるりと回し、バック方面にステップを踏む。

「あの構えは!?」

サツキが気づくころには腕を振りぬいていた。

「ギュゥン!」

(回り込みからのドライブ!)

打球はストレート。この程度なら捉えられる、とサツキは思い、そのまま振り切ろうとする。

「良い回り込みだけど、フォアハンド側がガラ空きだよ!」

(相棒!そいつは普通のドライブじゃないぞ!)

「え?」

気が付くとサツキはラケットを地面に落としていた。コンクリートの上に落ちた音で気づいた。

「一瞬、腕の力が抜けたような…」

左手で右手を押さえながら、アオダたちの方を見る。彼らの顔つきが試合前よりもどこか盗賊らしく見える。彼らの必殺技が真に輝くのはこれからなのかもしれない。











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