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〜異世界卓球〜 混沌の章   作者: 不滅のピン太郎
第2章 魔王杯予選編!
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第21部 ジェイドの逆転大作戦

20分前…。

ジェイド、サイト、アオダ、ダイショは煙のような壁を前にして立ち止まっていた。

その中では殺し屋ニャリル・バナティアとユキムラサツキが死闘している。

だがあまりにも一方的な試合だった。

彼女の神器である黒式の火薬の匂いを嗅いだジェイドはサツキの危険を感じ、残り3人にサツキを救うための作戦を立てる…。




そろそろ日が沈みそうな頃、サイトはパイロキネシスで火を起こす。

マジかよ、みたいな顔をしながらも2人は寒さをしのぐため焚き火に近づく。

そして4人はその周りに座った。

盗賊2人はいつもの勢いを失い、しゅんとしていた。


「おし、まずアオダ、ダイショ。お前らに()()()はってのがあるんだよな?」

ギクッ!と言いたげな顔をして肩をすくめる。

図星なのだろう。

「な、なんでお前が」

「俺たちのヘビースプリングを知ってるんだヨォ」

ラップ口調でお馴染み、ダイショのヨォも元気がない。

「ま、お頭さんから聞いたんだよ。ジャンプとラップは一丁前ってな」



「へっぷしゅん……誰かがアタシの噂してるのか?」


盗賊2人はやったやったと涙を流し、土下座した。

サイトはまたか、と呆れる。

「お前らの盗賊団は土下座ばっかしてんのか?」

ジェイドは謎の箱を片手に2人を笑う。

「コイツらの土下座はそこらの劇団じゃできないレベルだ。コイツら単体は弱いが大将はめちゃくちゃ強い」

アオダは地面につけた顔を上げる。

「姉貴の強さ知ってんのか?」

「ああ、革命前だが死ぬかと思った。それ以来会ってないな」

「んな強いのかよ。そのドランてやつは」

するとその言葉に反応するかのようにダイショが顔を上げるとアオダに視線で合図を送った。

すると、アオダは親指を咥えるとブーッと音を出す。

「ヘイヨォ、テメェら姉貴の事、めちゃくちゃ舐めてる事、姉貴にチクれば暴走!防火か確認しとけよコートォ!」

アオダの出している音はベースとなる音でダイショのラップをサポートしている。

サイトにとっては聞いたことのある音だった。

「……姉貴の炎はマジヤベェ。泣く子も泣くぜスゲェ!姉貴の炎は断然、骨すら灰だぜ、オゥイェヤァ!」

サイトはぼーっと聴いているとプルプルプルプルプシューと終わりを告げる音が聞こえ、我に返った。

パチパチと手を叩くジェイド。

思い出したかのようにサイトは立ち上がりダイショのほうを指差す。

「お前、異世界のほうの人間だろ?なんで俺たちの音楽文化があるんだ?それは明らかにラップとボイスパーカッションだろ」

少し黙りこむと2人は立ち上がる。

「いや、なんというか、俺たちの民族の音楽でさ…」

「それがたまたま日本国と同じだったんだヨォ」

サイトははぁ?となりながら疑う。

「……んな偶然が…いやコイツらの言ってることは本当だ…」


「まさか俺たちの音楽が日本国の文化だったなんて思っちゃいなかったぜ」

「でも俺たち、盗賊から脚を洗わねぇヨォ!」

「何でだ?お前らなら芸人くらいはできるぞ。ヘビー盗賊団よりはよっぽど給料がいい」

すると2人は拳を上げる手を広げた。

「俺たちはな一生をかけて自由を手に入れたかった」

「詳しい過去は言えねえけどヨォ…俺たちの理解者はヘビー盗賊団のみんなだヨォ!」


「なるほどねぇ…」

相槌を打つジェイドにサイトは彼の肩を叩く。

「おい、それでその手に持っている箱はなんだ?」

ヘヘッと笑いながら箱を差し出す。

「開けるんじゃねぇぞ、コイツはサツキを逆転させる為の鍵が入っている」

サイトにはもう中身は何かなんて分かっている。

アオダとダイショは首をかしげる。

「確か、お前が調べた限り、高度はたった5000mなんだろ?」

ああと頷くサイト。

「で上空には見えない壁がある。それに俺の超能力は万能じゃない。せいぜい飛べたとして2000mだ。そいつを利用するんだろ、ジェイド?」

「ビンゴ、というよりお前はもうテレパシーで分かるんだろ?」

「まあな」と少し笑みを見せながらやれやれと盗賊2人を立ち上がらせる。

「ちょ?!待て待て!」

「急に浮いたヨォ!!」

まあ、結構無理矢理だけど。

そして、今…。


「準備はいいか?」

「勿論だ」

「こっちもいいぜ」

「いつでもOkだヨォ!」


全員補給物資の防御強化のポーションを飲んだ。

アオダとダイショ、ジェイドは一気に飲み干すがサイトは躊躇い、一口飲むと失敗したスープを食べたかのような反応をした。

苦戦しつつも飲みきったサイト。

4人は煙のような壁を前にして横に並んだ。

少しづつ距離を置くと近いほうからジェイド、サイト、アオダ、ダイショという順で位置についた。


「行くぞ!」

全員がそう叫ぶと一斉に飛び上がる。

高さの順でいうとジェイド、サイト、アオダ、ダイショの順だった。

ダイショが宙返りすると脚を上げる。

「アオダ、いつものだヨォ!いや全力でいくヨォ!」

「おう!任せとけ!」

アオダが位置を合わせてダイショの靴の裏を踏む。

「スーパースプリングハイジャンプ!」

アオダとダイショは脚に力を入れ爆発的なジャンプをした。

思いもよらないジャンプでサイトは驚いていた。

「まさかあのバカ盗賊がここまでやるとはな…」

そんなことを呟くとアオダが横を過ぎる。

「ちょっ!まてよ!そこまで跳ぶなんて聞いてねぇぞ」

サイトは加速した。

それを見たジェイドも状況を理解し、魔法を重ね上昇する。

アオダに追いつくとサイトはアオダを踏みつけ上昇する。

「あとは任せたサイトぉ!ジェイドの兄貴!」

「俺は兄貴じゃねぇのかよ」


高度がだんだん高くなるとジェイドが追いついてきた。

それにつれどんどん減速していく。

「おし、サイト頼むぜ」

「ったく、現実世界に戻ったらコーヒー奢れよ!」

「おう!」

サイトはジェイドのほうに手をかざした。

「サイコキネシス!」

ジェイドを宙に浮かせるとそのまま上空に投げた。

「おおおおおおぉ!鳥にでもなったみてぇだ!」

ジェイドは宙返りして脚を上にした。

「やっぱ、壁あったんだな。魔王さんよ、見とけよ見とけよ」

壁を蹴ると錐揉み回転をした。

空中旋回し、片手の箱を落とさないようにする。

恐らくジェイドは着地した3人がジェイドを見ることができるくらいの高度だろう。

「そろそろポーションが切れるころだ。この辺で投げとくか」

煙のような壁の上には渦がありそこへと向かって箱を投げた。

「流石、魔王の作った箱。どんなに圧を加えようと鍵を開けない限り開かないってか」

そこに吸い込まれるように箱は煙の中へと消えた。




なるほどねぇ。

僕が適当に設定した5000mの壁を蹴って、そこから煙を弾くほどの回転により風を生み出し、絶対に壊れない補給用物資の箱と自分たちには防御ポーションを利用して圧によるダメージをゼロにしたってことか。

「おい、魔王!今すぐわらわの愛しきサツキの姿を見せるのじゃ!」

あ、待って!ちょ、揺さぶんないで!

あー!コーヒーが!

「あー!何をやっておる!そんな脆い機械を何故防水にせん!ああ、もうこれではサツキの姿が見れぬではないか」

「ローラン様〜そろそろ城に帰りますよ〜」

……ローランだから許したけど、こりゃ酷い。ま、すぐ直すからいいか。

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