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〜異世界卓球〜 混沌の章   作者: 不滅のピン太郎
第2章 魔王杯予選編!
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第20部 エルフと宴船

唖然としているうちに彼女の目の前に大きな船が現れる。

「凄い……こんな船…どうやって……」

驚いていると40代くらいの男性の野太い声が聞こえてきた。

「おお!客人とは珍しいじゃねぇか!」

「お頭ぁ。もしかしたらヘビー盗賊団の刺客じゃありゃせんか?」

恐らくこの声は乗組員だろう。かなり下っ端の。

「だとしても俺はこの嬢ちゃんを乗せてやる。どんな野郎でも乗りたいやつが乗れる船ってのが俺の船だ」

船長がパチィンと指を鳴らすと船へと続く階段が現れた。

「……?」

話は聞いていたが流石に信用できない。

いつ殺されるかなんて分からない。

「嬢ちゃん乗りな!んなとこいたら風邪引くぞ!」

確かにここにいても盗賊に襲われる。

ここはお言葉に甘えよう。

「し、失礼します…」

恐る恐る、階段を登る。

「おおっ!今日は可愛いお客さんが来たぜ!」

フゥ〜!と囃し立てたり口笛を吹いたりして私を歓 迎してくれた。

中は酒場や劇場とほとんど変わらなかった。

師匠がそういうものが好きだったから知識はある。

一見男達ばかりで暑苦しいと思っていたがどうやらこの船は違う。

男女比がほとんど変わらないのだ。

老若男女問わず皆が酒を飲み、歌い踊っている。

私は乗組員から酒の入った杯を受け取り船長のもとへと向かう。

「エル…奴らはお前に敵意はない。今は少し楽しもうではないか」

私は首を振る。

「師匠、私はまだ彼らを信じたわけではありません。あくまでも私たちはこの区域のプレイヤーの偵察をしているのです」

私は失礼しますと声をかけながら人混みの中を歩く。

というより、この船、小さな町1つ分くらいの大きさだ。でも短時間で海の真ん中辺りから浜辺まで移動できる船なんてニホンのカガクでも難しいだろう。

(エルのやつ、真面目になったのぅ。ただ、少し注意深いというか疑り深いというか……。じゃが、エルも絶対に間違っておるとも言い切れん。疑いなくワシと契約してくれたあのエルは…もっと輝いていた。今のエルは……)


コツンコツンとリズミカルな足音に混じり、タッタッと周りの音とは違う水の滴るような足音で船の上を早足で歩いた。

自然と手元の杯を飲む。

渇いた口内に広がる清涼。そしてピリピリと喉の奥で炭酸が弾ける。

ん?炭酸?

え、まさか…。

「え、コレ炭酸水?!」

私が驚くと周りから笑い声が沢山聞こえる。

でも今まで見てきた馬鹿にする笑いとは違った。

この人たちは私にではなくこの光景を面白がっているんだ。多分この人たちは笑いのセンスがあるし、話し上手なのだろう。

「お嬢ちゃんもそうなるよなぁ。ハッハッハ、この船の水は酒よりうめえ」

「しかも船長お手製」

「その上船長はこの水で数々の病を治したんだとか!」

「いやいや、この水で宝くじを当てたんだとか!」

「いやそうじゃない、この水でドラゴンと仲良くなったなったとか!」

いや最初のほう以外は胡散臭いな。

するとノリノリで踊っていた船長が振り向く。

「おいおい宝くじとドラゴンと病気のやつはウソだ!だがギルードゥオアシスは天国にもねぇ飲みモンだ。今のうち飲んどけ飲んどけ!あ、飲みすぎ注意な」

そういうことか。船長室の方へ向かっていたが、船長は真ん中のステージにいた。

恐らく全方位を見渡せるステージだ。

もう一度言うがあくまで私は偵察のためここに来たんだ。この軍勢が襲い掛かればあのカイザーも苦戦を強いられるだろう。

私は杯を置いて駆け出した。

「エル!それはお前に優しく接している彼らに失礼だ!酒もタバコも喧嘩もない。そんな海賊たちがお前を袋叩きにすると思うか?」

師匠の言葉も分からなくもない。

だけど私は、私は。

「フライウィング!」

広場出ると高く飛び、

風を巻き起こし空へ舞う。

「師匠!私は彼らを恨んでいません。憎んでもいません。ただ私はギルードゥの力を知りたい!そこまで信者や仲間を集め、大切にできる彼の強さを知りたいのです!」

「エル…わかった、お前がそこまでいうのなら止めはせん」

乗組員や他の客人は混乱していた。

騒めく中、ステージへと着地する。

そこには海賊の黒いコートの後ろ姿があった。

「エル…!」

「はい、師匠!」

私が構えると彼は振り向く。

「なるほどな。お前らは俺とぶつかり合って仲良くなりてぇんだな」

「ちょっと趣旨が違いますけど、理屈はそんなもんです」

私が急に敵意を示したというのに客人や乗組員は歓声を上げる。

「嬢ちゃん名前は?」

ちょっと前まで躊躇いや迷いやがあったけど私は少し笑んで胸を張って答えた。

「エルロット、ですっ。姓はありません!」

おおっ?と歓声が静まる。

姓が無いというのは下人や奴隷くらいの身分の者とほぼ同等なのだ。

「ヘヘッ、いい名前してんじゃんか。自分の名前がクソでも胸張って名乗れ。それが出来りゃ一人前の戦士(プレイヤー)だ!嬢ちゃん!」


「いいえ、ありがとうこざいます」


「ま、聞いてたと思うけど…」

ジャランと何処かからギターの音が聞こえた、

「俺の名は、7つほどの海をかけ世界と手を繋ぐ、無法にして平穏な海賊の中の海賊!

キャプテ〜ン!ギルードゥ!」


私は師匠のほうを見て頷くと決闘のコマンドの実行のボタンを押した。




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