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〜異世界卓球〜 混沌の章   作者: 不滅のピン太郎
第2章 魔王杯予選編!
29/84

第15部 絶対に死ぬんじゃねぇぞ!

前回までのあらすじ

魔王杯予選の真の会場はバーチャル世界だった。

その世界は火山が燃える都市グランフレイム、蒼く光る海の都市ジ・オーシャン、自然が溢れる都市ヘルフォレスト、そして中央に位置する都市アナザーキングダムの四つに分かれ各プレイヤーは上位16位を勝ち取るため日々卓球に明け暮れていた。

7日間という限られた期間の中、ユキムラサツキは5日目に行われる団体戦に出場するため出場資格である各地域の上位を目指しレートハンタージェイドとともに激戦区である中央都市アナザーキングダムへと向かう。しかし、門の前に待ち構えていた暗殺者ニャリル・バナティアにサツキはニャリルの一族に伝わる逸話の1つにある厄災の双子と同一人物であり自分が殺すべき相手ということを宣告された。

殺害も略奪も認められるこの世界において黒のサツキは勝てるはずがないと悟った。その上、ニャリルは多くのプレイヤーを殺めていた。

だが赤のサツキはその現実が受け入れられず感情的になりニャリルの勝負を受けてしまった。











試合開始!


ニャリル・バナティア

vs

ユキムラサツキ

5点マッチ

デュース有り

サーブ権 サツキ



「余に挑んできた事は褒めてやろう。だがここで貴様の命は終わりだ」

可愛らしい顔に似合わずかなり残酷な言葉を使うこの少女、ニャリルバナティア。

彼女の一族は獣人の首狩り族であったが神を信仰している族の1人である。

ユキムラサツキは偶然にも彼女の知る予言の逸話に登場する厄災の双子だった。

その双子は彼女にとって絶対に仕留めるべき相手であった。

彼女の殺意は草食獣を狙う龍の様だった。


赤のサツキはいつも通り顔の横でラケットを構えた。

相手の方を向く。

(何処に打つべきか。ニャリルは只者じゃない事は分かってる。けど……ん…?)

彼女はラケットはおろか何も持っていなかった。

「どうした?怖気づいたか?」

あまりにも驚いていたのでニャリルはクスッと笑った。

「お前、丸腰でどう戦うんだ?!」

「やれやれ…貴様などラケットなど使わずして倒す。それだけだ」

余裕なのだろう。

そう思い赤サツキはボールを高く上げる。

しかしここでサツキは違和感を感じた。

病気にでもなったかのように身体が重い。

視界が少し歪んでいて立ち眩みしたように脚が縺れる。それと後に気付くが明らかにボールが落ちていくのも遅い。重力とは…(哲学)

「……ぅぅ」




1 ー 0

サーブ権 サツキ

「どうした?小娘、いや厄災の双子……」

僕は気がついたようだ。だが身体(カラダ)はまだ重い

よく周りをみるとジェイドさんの姿も見えない。

ただ見えたのはニャリルと1対0と表示されているストロークカウンターのモニターだけである。

「行くぞ!相棒!」

天高くボールを上げる。

しかしまた僕らをあの感覚が襲う。

(っ相棒!だ、駄目っ……ぁぁ)



2 ー 0

サーブ権 ニャリル

「おいおい貴様ら、まともに立つ事も出来ぬか」

煽られながらも必死に立とうとするが身体は鉛のように重くてほとんど動けそうにない。

(ぼ、僕……し、死んじゃうのかな…)

「………ッ!」





生徒のほとんどが帰ってしまったその日の放課後。

僕は……自殺を試みた。

「は…ハヅキ…」

「馬鹿野郎!」

僕の親友は近くにあったナイフで首吊りに使おうとした縄を切った。

「ハヅキなんで…部活は…」

「それとこれとは別だ別」

「……」

僕が言えた事じゃないが彼女も女の子だ。こんなとこ目撃したら悲鳴でもあげると思ったが素直に止めてくれた。

「それよりなんで自殺なんて考えた?成績も優秀だし卓球部だって楽しいだろうし、親も友達も良い奴なんだろ?」

「……ハヅキ…ごめん。やっぱ死ななきゃ駄目だ」

「なんでだよ!?何一つ嫌な事ないだろ?」

「僕…勉強はできるかもしれないけど他の奴に比べてみれば別だ。僕の他にもできる奴は沢山居ると思うしもっと凄い奴は努力無しで100点取る奴だっているんだ」

「……」

何故か僕の親友に対してはポロポロと涙の雫をこぼして本音を吐いてしまう。

「卓球だって同じさ。みんないいとこがあって無個性な僕はその辺の道で躓いて置いて行かれちゃう。僕には1番なんてない。個性もない。けどハヅキは男女関係無く仲良しだし、卓球はめちゃくちゃ上手い。

だからねハヅキ…もうハヅキとはダブルス組めない……」

「……んでだよ」

「何にも無い僕なんて何の価値も無い…….こんな僕がハヅキと一緒でいいのか……ハヅキにはもっといい友達がいるのかなぁって……怖くて…怖くて….…もう死んじゃえば楽になれるかなって……」

ふと暖かな感触が唇に触れた。

顔を上げると僕の親友がいた。

「お、お前の事……好きだ…だから…だ…だから….……」











「貴様らはこの幻の中で息絶えるのだよ」

思い出した。気がする。遠い記憶が。

夢かもしれない。だけど。

「ふぅ…はぁはぁ……」

なんとか立ち上がる事ができた。

(あ、相棒……)

「相棒!」




「絶対に死ぬんじゃねぇぞ!」


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