第11部 デビルロンギヌスvs魔剣グラム
「カイザー!テメェに予選を勝ち抜ぬかせるわけにはいかねぇよ」
「なるほど、何を願うかなどお察しなのだな」
「ええ、恐らくあなたは亡き父親の願いである全世界の支配を叶えるはずですわ!」
「勘付かれていたか…。まあいい、知られてしまったなら生きて帰すわけにはいかんな」
「ああ、上等だ!俺がここに来たのは魔王様に貴様を潰すよう命じられたからな!」
アスタロトvsカイザー
5点マッチ
1セット先取
サーブ権アスタロト
試合開始!
ハンゾウとジェイド、そしてゴブリン達と別れた僕は今日もランキング上げのために他のプレイヤーとの試合に励んだ。
(そういえば相棒、お前はなんでこの大会に出ようと思ったんだ?)
やっぱり聞かれたか…。
実は人格が同じ身体にあってもお互いの思考は分からないらしい。つまり隠し事もできるということだ。
でもここまでくると僕と相棒は心を1つにしているようなものだ。お互いなんとなくの考えも分かる。
「相棒が言うこと聞かなかったからでしょ」
(お前は俺の操り人形か?頭のいいお前が俺の言われたままに行動しているだけのはずがないだろ?)
すぅっと風が吹くと前髪を上げ、空を見上げた。
「えっと、ローランちゃんのことなんだけど、何か最近ちょっと暗い顔してたんだ。ローランちゃんの事はよく分からないけど何かしら悩みがあるんだと思う。だから、僕はローランちゃんの願いを叶えてあげたいと思うんだ」
(それが世界破壊とか世界制服だとしてもか?)
「ローランちゃんは魔王だけどそんなことはしない。僕は愛してないけどローランちゃんは僕を愛してくれた。だから僕はローランちゃんを信じてる」
(そうか、相棒らしくていいじゃん。俺はそんなところを気に入ったのかもな)
「ユキムラサツキ、ヤツがこの大会で優勝すれば世界は破滅の未来を迎える。とはいえ、行動といい性格といい、世界の破壊を目論む人間とは思えんな」
「なんだお前、サツキに興味があるのか?」
「いや、何故か俺の予知でヤツが世界を破壊する未来が見えてな」
「なるほどねぇ。見たいものは好きなだけ見えるが見えたくないものも見えちまう。超能力って案外辛いもんなのかな」
「そこまで深刻なほどでもない。というかそんなこと考えてたら今頃俺の精神はズタボロだ」
「ま、ここにいるのも別にいいんだけどお前を5日目の団体戦のチームのメンバーに招きたいんだけど…」
「断る」
「ああ、そうか。まあ無理に誘う事はないが、お前はこれからもサツキをセンリガンとやらで観察していくのか?」
「別に観察してるつもりはない。監視だ、監視。別にアイツに好意があるわけでもない」
「サツキは意外と怒ると怖いし、卓球はめちゃくちゃ強いからな。喧嘩は売るなよ」
「そうか……頭に入れておくよ……」
「ま、何かあったら連絡くれよ!」
「おう…」
0 ー 2
まだカイザーは神器である魔剣グラムを召喚しているがまだ使っていない。魔剣は地面に突き刺さっている状態だ。
だがその実力は神器が無くとも王者の強さを誇っていた。アスタロトが劣勢だ。
「その程度か?悪魔?」
「俺ははじめから本気だすアホじゃねぇよ」
やべぇサーブも何も通用しねぇ。
デビルロンギヌスも工夫しないと返されそうだな。
(アスタロトが苦戦していますわ。噂には聞いていましたがあの魔剣グラム、今はまだ使っていませんが壮絶な力を秘めているに違いありませんわ)
カイザーがフォアサーブをバック側に繰り出す。
アスタロトは下回転と見てバックドライブをかける。
だが、カイザーはそのドライブ回転を余裕の表情で返した。
(恐らくあれはほぼ無回転の強打だが後ろに下がっていてよかったぜ)
「もらった!」
「やはりこれが狙いか…」
アスタロトは深く体を捻り、右腕に魔力を集中させた。
「これで決める!デビル!ロンギヌス!」
全身の遠心力と魔力でボールに回転をかけた!
そのボールは敵の心臓部を刳る槍のようにフォア付近へと着地した。
しかしボールは高く上がった。
「ロビングか?」
「まさかそんなはずでは?!」
「フッ、甘いな」
カイザーがスマッシュしようとしたそのとき、高く上げられたそのボールは緩やかに旋回していた。
「くッ!届かない!」
「おいおい、そんなロビングも取れねぇのか?」
「お、おのれ!」
「ボールが落ちてきますわ!」
旋回したボールは何倍も重力が入ったかのようにスピードを増して落ちてきた。
まさに隕石そのものだ。
「着地すればこっちのものだ!」
「まずいですわ!あの高さから着地すればスマッシュの餌食ですわ!」
「これだからプライドの高いヤツは自分に甘々なんだよ!」
なんとボールは卓球台にバウンドすることもなく音も無く静止した。
1 ー 2
サーブ権 カイザー
「な、なんだと!?」
「明らかにおかしいですわ!」
「何を今更、特に神器使いや非科学的な天使がそれを言うか?」
「悪魔もそれに相当すると思いますが……」
「ならば…」
地面に突き刺した剣を引き抜いた!
「この剣の力見せてやろう!」
「出たな化け物ソード…」
「グラム…どれほどの力なのでしょう?」
カイザーは魔剣グラムを空の背中の鞘に納め、サーブを構えた。
その為の鞘なのだろう。
一応、神器は魔力でできているので異世界卓球では使用可能である。
フォアサーブをバックショート付近に繰り出す。
アスタロトはツッツキで様子をみる。
フォア付近に転がったボールをカイザーはドライブで返した。
「次はこちらから行かせていただこう!」
「し、しまった!」
「典型的な3球目の動きですの!」
ラケットを放り投げ、魔剣グラムを顔の横に構える。
魔剣グラムに力を集中させ、思いっきり振り切った!
「カイザァァァ!ブレイクゥゥゥ!」.
魔剣グラムのスイングによる風圧がアスタロトを襲う!
「うぉぉ!くっ、これが魔剣の!力か!」
その風と共にボールが閃光の如く、コートを貫いた。
「うわぁぁぁぁぁぁ!」
「大丈夫ですの!?」
風が止むとバタンと空中に飛ばされたアスタロトは地面に叩きつけられた。
1 ー 3
サーブ権アスタロト
「如何かな?我が必殺技は?」
ラケットを一切離さなかった右腕を押さえ、アスタロトは立ち上がった。
「まだまだ……だな!この俺を倒してから、王者を名乗りやがれ!」
今日の一言
「これだからプライドの高いヤツは自分に甘々なんだよ!」




