第9部 ハンゾウの名と青き蛇
……?
「ゴブ・ハンゾウ……?」
日本で有名な忍者、服部半蔵さんだろうか?
だけど異世界の人であることは間違いない。
「うむ、いかにも。異世界の魔法と日本の忍術、そして我らゴブリン族の誇りを兼ね備えたのが拙者ゴブ・ハンゾウでござる」
「笑わせてくれるぜ!」
「なーにがゴブリンの誇りだ!雑魚に生まれてそんなに嬉しいかヨォ?」
「サツキ殿、彼らの為にも拙者とダブルスのペアを組んでいただけないか?」
「勿論、僕はこういう事は基本的に断りませんから」
(相棒、試合だよ)
癖っ毛の多い髪を結び相棒を呼ぶ。
「そうと決まれば」
「試合開始だヨォ!」
ダブルス
サツキ&ハンゾウ
vs
アオダ&ダイショ
サーブの交代無し
サーブ権 アオダ&ダイショ
試合開始!
したが、ここまで弱いとは思わなかった。
4 ー 8
サーブ権固定
明らかにこちらが優勢だ。
「やべぇよどうするよダイショ?」
「奴ら思ったより強いヨォ!」
「流石の腕前でござるな、サツキ殿」
「いえ、そちらこそ」
(素早い動きかつ、ドライブマン。まさに俺たちと相性抜群ってわけだな)
「確かに指示や作戦通り動いてくれるのはこちらからしても助かるよ」
「そういえばサツキ殿方から聞こえるもう一つの声、そちらもサツキ殿でよろしいか?」
「あー、じゃあ僕は黒サツキ」
(俺は赤サツキって事で)
「ダイショ!あのサーブからいくぞ」
「わかったヨォ!」
アオダがサーブを上げるが明らかにボールのトスが低すぎる、これは流石にルール違反である。
いわゆるフォルトだ。
異世界卓球にもなぜかこのルールが適用されていた。
「速いっ!」
ボールはフォア側に来たが、急に打たれたので焦ってロビングで返してしまった。
「もらっだヨォ!」
「まずい!」
ハンゾウのいるバック側とは反対の方向にスマッシュが打たれた。
ハンゾウはボールを取ることができず、空振りに終わる。
「すまない、サツキ殿」
「大丈夫点差はあるから」
(おい!テメェら!フォルトだろ今のボールは!)
相棒は流石に起こっていた。
「俺たちはワルだが流石にルールを破るわけがないだろ?」
「そうだヨォ!大体取れねえからって難癖つけんなヨォ!」
「そうだそうだ!証拠見せろ!」
しかし彼らはとぼけるかの様に誤魔化した。
「見苦しいでござるな。相手にしない方がいいでござる」
「絶対に許せねぇあの野郎!ルールを守って楽しく卓球だろうが!」
(あぁ。スイッチ入っちゃった)
「お主の特性は拙者にはわからんが、しばらくは赤い目のサツキ殿がこの試合に出る事になるのでごさるか?」
(まあそうだね。ハンゾウ、できるだけ相棒をサポートしてやって)
「承知した」
5 ー 8
アオダがラケットを横に構える。
「あのサーブを取る方法、わかったぜ相棒!雷の力を貸してくれ!」
(わかった。ハンゾウはできるだけ下がって)
「わかった」
ハンゾウがシュッと後ろに下がると、避雷針に雷を落とすかのように魔力をラケットに込めた。
今度はバック側に転がってきた。
「絶対に返す!」
(相棒!今だ!)
ボールの着地地点スレスレにバックハンドを構え、爆発するような雷の魔力を解き放つ!
「ライメイチキータ!」
フォア側に銃弾のように飛び込むボール。
勿論、この技は止められなかった。
5 ー 9
「決めるでござるよ!」
「ああ、さっさと終わらせるぜ!」
「まずい!俺らが負けちまう!」
「弱者倒して稼いだレートが消えちゃうヨォ!」
アオダがサーブを構えたその時だった。
シュパッとナイフがアオダペアのフォア側に卓球台に刺さった。
「な、なんだぁ!」
「あ、危ないヨォ!」
「試合はそこまでにしな!」
聞き覚えのある声が木の上から聞こえた。
そしてこのナイフ、あの人だろう。
「貴様、何者だ?拙者は貴様が南西側の木の影から見ていた事などお見通しでござるよ」
「お前ニンジャだっけな?中々やるじゃねぇか、だがこのレートハンターの俺ほどじゃないな!」




