第4部 レートハンター
(いくよ!相棒!)
ピシャァン!
「はぁぁ!」
上から落ちてきた雷をラケットで受け止め、ミドルショート付近で構える。
(新必殺技!)
「ライメイ!チキータァ!」
ボールは雷鳴の如く跳び、バックのエッジ付近で着地した。
「ほう。必殺技ができたようじゃな」
「ああ、魔王さんか。ちょうど完成したところだぜ!」
魔王であるローランを前に赤サツキは満面の笑みで親指を立てた。
ローランは魔王でありながらも赤サツキの非礼のような態度を笑みで返すかのように受け止めた。
(相棒。一応ローランちゃんは魔王だよ。もっと礼儀正しくしてよ……)
「魔王さん本人が言わないからいいじゃねーか、別に」
「よいよい。赤サツキは乙女らしからぬ乙女なところが愛いのじゃ。許すぞよ。勿論本命の黒サツキが1番愛いがの」
黒サツキがえぇと引くが、赤サツキが話を進めた。
「ライメイチキータは雷のエネルギーを生かした必殺技。相棒が出した雷を直で受けるんじゃなくてラケットのゴムラバーの部分に吸収させるんだ。それで雷のエネルギーをラケットに込めることができる。雷の力で速いチキータを更に速く出来るってことだ。こんなもんだろ?相棒?」
(う、うん。よく覚えてたね)
ちなみに二つの意志は彼らの記憶のほとんどを共有させていない。
つまりお互い、過去の出来事の一部を覚えていなかったりする。人格同士でその事を話す事で記憶の共有ができる。
「ユキムラサツキ。ここにいるのか…」
一方で魔王城の近くで中に入れぬかと待つ男が1人。
彼の名はジェイド・マキシマス。
一流の龍殺し屋であり魔物ハンターでもある。
「だが今の俺は、レートハンタージェイドだ!」
レートハンター。つまり高位のレートプレイヤーを倒す者の事だろう。
ジェイドは魔王城の周りをウロウロするが何処にも侵入できそうな所はなかった。
「正面から入るか。おーい門番ー」
「む?貴様何者だ?」
門番に事情を話した。
本来なら追い出されるのは当然だが、ローランの城はむしろ対戦相手を募集しているのだ。
「うむ、なるほど了解した。しばしお待ちを」
「魔王さんによろしくな」
門番が城に入ろうとしたところで門番が何かに気づきこちらに戻る。
「おっと、そういえば名を聞いていないな」
「お、すまんすまん。俺の名はジェイド。レートハンター、ジェイド・マキシマスだ」
「じ、ジェイド!?ま、まあいい。少し待っておれ」
その名を聞いた門番は鎧の中で青ざめ急いで城の中へと入っていった。
「ローラン様!ローラン様!」
門番は扉を開け、大声で叫んだ。
「どうしたヨロ太郎?」
「あ、ヨロ太郎さんって名前なんだ門番の方」
呑気な黒サツキを置いてアスタロトが門番をなだめる。
「おいおい、焦るなんてお前らしくないぞヨロ太郎」
「どうされましたの?」
「あ、あの殺し屋ジェイドが!ジェイド・マキシマスが我が城のチームの1人、ユキムラサツキ殿と一戦交えたいと!」
ジェイドの名を聞くと一斉に静まった。
「対戦はいいですけど、ジェイドさんはそんなヤバい人なんですか?」
「ユキムラサツキ。ジェイドは悪魔すら恐る魔物ハンターだぜ」
「かなり有名ですわよ。私も1度お会いした事ありますけどオーラが全く違いましたわ」
サツキは首を傾げた。
「あ、殺人とかしてないんですね。よかったよかった。」
「そのかわり貴様のレートをいただくぜ!」
油断していたサツキの足元にナイフが突き刺さる!
「あ、危ないじゃないですか!」
(そーだそーだ!怪我したらどうすんだ!)
「平和主義者かよ…」
「まあ分からなくもないですわ…」
「お前、弱肉強食って言葉、日本の人間のくせに知らねぇのか?今の世の中は弱い者でも多少は優遇されるが結局は強い者こそ上に立つ事を許される!」
「まあ、えと。勝負ですよね」
「フン、話が早いじゃないか」
「門番の目を盗んで勝手に侵入しよって……まあ良い!サツキよ!新必殺技を見せてやるのじゃ!」
「はい!」
(おう!)
今日の一言
「お前、弱肉強食って言葉、日本の人間のくせに知らねぇのか?今の世の中は弱い者でも多少は優遇されるが結局は強い者こそ上に立つ事を許される!」 byジェイド




