東条豆子の手紙 2
豆子、豆子や、かわいいのう。
豆子、豆子や、かわいいのう。
おじいさま。わたくし、おじいさまからそれは深い寵愛を受けました。
どうやら、わたくしが生まれるまえに亡くなられたおばあさまとわたくしが瓜二つだとおっしゃるのです。
写真を拝見しましたが、失礼ながら、わたくしの方が整った顔立ちだったかと存じます。わたくし、その気になればいわゆるアイドルグループにも入れたと思いますの。街を歩けば、たくさん殿方にお誘いを受けましたし。やだわ、また横道ソレ之介。おほほ。閑話休題でございます。
あれは中学校に上がった時です。そう、夏休みに、高校球児の方々が野球をされておられる大会で、珍しくハンケチをお持ちの方がいらっしゃいました。たいそう爽やかなお顔で、いつも熱心に拝見しておりますた。ともすればあの方がわたくしの初恋だったやもしれません。
ハンケチの方が勝ち鬨をあげた一週後くらいでしたかね、もう夏休みが終わりの頃でございます。
おじいさまが、いつものようにわたくしにかわいいのう、かわいいのうと仰っておりました。その頃にはわたくしももう飽き飽きしておりましたし、早く今日の分の宿題にとりかからなければ、と思っていたところでした。(わたくし、夏休みの宿題はきちんと一日ずつこなすようにしておりました)
すると、おじいさまが「そろそろいいだろう」とかなんとか言いやがって、わたくしの脚に汚い手を伸ばしてきやがりました。
なんだろう、気持ち悪いなあ。気持ち悪い。でも、うちは年長者の言うことは絶対ですし、何か抗議すればまたおかあさまから「慎みなさい!」と怒られます。
まったく、あの女は口を開けばレデイーがどうのと言いやがりますが、娘がクソジジイに何されたかさっぱりわかってないんです。
早く終わってくれないかなあ、と思っておりましたが、脚と尻と、胸のあたりを左手で触りながら右手が激しく動いていましたわね。
元気なジジイだわ、と感情もなく見ておりましたら、きったねえの飛ばしてましたわ。
そそくさと拭き取って、誰にも言っちゃあいかんぞと言いました。
はあ、と思いました。もちろん家族には言いませんでした。家の中では年長者が絶対ですもの。
でも、家の外では別ですので、警察に駆け込みましたわ。
そうしたら、一応クソジジイは議員だかなんだかやってたクソ過去があるとかでなんかうやむやになりましたね。
そしたらクソババアがわたくしがスカートを履いてたから云々カンヌン、いやお前が買ってきたやつだろそれって話なのですがね。まあ、真夏の夜の夢で終わりました。
クソジジイが存外長生きしたので、高校生の頃に殺しておきました。




