犬
太陽は朝の雲をすべて押しのけて地に暖かさをもたらせていた。
窓は外からすべて塞がれており、日光は部屋の中には入ってこなかった。唯一光が入る庭に続く大開口窓は開け放たれていた。
外にいる鑑識官に声をかけた。
「巡査部長ダニー・ハリソンです」
「ハリソンさんとリジーさんですね。お手柄でしたよ」
「いえいえ」
「今庭の調査をしているんですけど、何でしょうねこの家。どこに行っても鼻をつく臭いがありますよ」
「びっくりしちゃいますよね」リジーは警察犬をなでた。
「この犬が言うには何か埋まっているようです。柵の角、草が生えていないところです」
「まだ掘り起こさないよな?」
「何が埋まってるか……一番嫌なものじゃないといいですけれど……」
「この犬は何に特化した犬なの?」
「死体捜査ですね……」
土が露出したところにはスコップが置かれていた。
「どうせすぐ確認することよ……」
「ええ、あと何人かくる予定なので来てくれたら掘り起こそうと思います」
「じゃあそれまでに家の方をしっかり見ておくわ」
リジーは先に立ちキッチンへ向かった。
「ねぇ冷蔵庫の中身は何だった?」
「ああ警察のかたですね。大きい方はただの食材ばかりです。普通の調味料とかパックに入ったやつとか……普通ですね」
「布がかけられている隣のは?」
「被害者の一部と見られるものです。部位ごとに保管されており……異常としか言いようがありません」
「やっぱりか」
「いや! それよりですよ! 彼の部屋を調査しているとデジタルカメラが出てきたんです。これに写真が残っていれば調査はぐんと進みますよ」
「カメラか! それは素晴らしいな」
「中身が出次第すぐ送らせていただきます」
それからというもの、すべての部屋を見て回った。聞いた通りのきれいな寝室やまっさらな部屋を見た。証拠となりそうな物はすべて袋に入れ持ち帰ることにした。
他の人がいろいろ来たとき、ついに庭を掘り起こすことになった。
大男が4人がかりで庭の一角にスコップを突き刺している。と思うと次の一突き、硬い物に当たったかスコップが止まった。
小さいスコップに持ち替え、慎重に掘り出していく。深さは約50cmといったところで当たったので実際に埋まっている場所はもう少し下になるだろう。少人数で掘るのは大変だったのでやっぱり何人か来てから掘るのが正しかった。
「骨です。まだまだ埋まっています」
ブルーシートに一つずつ並べていく。大きい物から小さい物まで、同じ形が出てくることもあれば、どこの部位か検討もつかない形もある。
「ねぇハリソン。もう帰りましょ」
「え、でも」
「大丈夫よ、後ですぐわかるわ」
リジーは僕を助手席に乗せて車を走らせた。リジーがちらちらこっちを見ていたことをふと思うと目の前が暗くなり記憶が途切れた。
席の背は倒され横の扉は開けられていた。
「リジー? ああ何……寝てしまってたのか……」
「顔色が良くなかったわ。どうせ夜もまともに睡眠も取れていないのでしょ?」
「いや、そんなこと……」
リジーがペットボトルの水を投げてきた。
「……もう少しだけ休憩を取らせてくれないか」
「もちろんよ」




