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取り調べ

「やっと来てくれたか。待ちくたびれたよ、ハリソン」


レコーダーのスイッチを入れる。


「8時0分、開始。アレクサンダー・ハーヴィー、あなたには黙秘権がある。しかし、後の法廷で取り調べに答えなかったことが不利に働くことがある。そして、あなたの発言は証拠として提出される可能性がある。いいね?」

「わかったよ」


「何人殺した?」

「さっき言ったじゃないか」

「8か9人。それ以上か?」

「9人じゃないのか?」

「なぜ殺した」

「なに、最初からしようとした訳じゃないよ」

「それならなぜ殺した?」

「殺すつもりなんて最初からないよ」

「自主が頭によぎったことはあるんじゃないのか?」

「あったが、そんなことできなかった。私がいなくなれば猫達はどうなる? みんな飢えて寒い外に凍えて過ごし、人間の自分勝手な行動で最後は終わりだ」


「どんな人を狙ったんだ」

「露頭に迷っている人を助けただけだ。家で温かい食事と寝床を用意して一晩泊める。それだけだ」

「死体が家から出てくるのはなぜだ?」

「死体ではないと言ったじゃないか」

「被害者が冷たくなってできたのはなぜだ」

「わからないな、みんな朝になると寝袋を持っていなくなるんだ」


「凶器はなんだ」

「知らない」

「お前が殺したんじゃないのか?」

「殺してなんかない。ただ一晩泊めてあげただけさ」

「この2年間何の仕事をしていた?」

「企業秘密だ」

「この2年で出た行方不明者は5人だ。お前が関係しているんじゃないか?」

「何か…情報とかあればわかるかもな」


「…M 24を提示。最近行方不明になったリック・ソーントンだ。何か心当たりは?」

「顔だけじゃわからないな、私は顔で覚える性質じゃないから」

「彼は学業において優秀な成績を残した。この国に渡ってきてから消息が絶たれている」

「彼の好きなものとか知らないのか? そんな話興味ないよ」

「酒はウイスキーを好んだとか」

「メガネしてたか?」

「いや」

「じゃあ知ってるかもな」

「知っているのか!」

「落ち着けよ。さっきから一方的な質問ばっかで楽しくないじゃないか? 思い出すのに時間が欲しいしひとりにしてくれ」

「あと4人──」

「時間をくれって言ってんだ。思い出すのも大変だってわからないのか?」

「わかった。早く寝て明日の朝またここに来てもらう」


 レコーダーのスイッチを切る。


 リジーが席を立つ。「何か思い出したことがあればノートをお渡しするのでメモか何かしてください」

「わかったよ」


 取り調べ室からでてやっと深く息を吸うことができた。


「肝がすわってたわね。ハリソン。これからここに数年間の行方不明者を調べなおさなきゃいけないわよ。いける?」

「ああ、いけるさ」

「徹夜なんてしたくないから早く取り掛かりましょう」

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