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核戦争から二百年、人類に嫌われるグールの俺だが、なぜか少女にだけ懐かれたので最後まで面倒を見ることにした  作者: R666
第四章

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第18話 一矢報いる

「グオオオオオオッ!」


 ミュータントは荒々しく腕を振り上げ、近くに落ちていた瓦礫を掴み取ると、全力で大介へと投げつけた。


 瓦礫は勢いよく空を切り裂きながら飛んで来るが、大介は冷静に動きを見極めてステップを踏み、軽やかに交わしてみせる。


「へっ、単細胞だな」


 軽口を叩きながら大介は、さらに飛んで来る瓦礫を確認した。

 次の一撃は、より重い混凝土の塊で先程よりも早い速度で飛んで来たが、彼は散弾銃を素早く構えて一撃を放つ。


 その瞬間、瓦礫は粉々に砕け散り、破片が四方八方に飛び散った。

 

「もっと楽しませてくれよ、緑野郎」


 そう言いながら彼は、瓦礫の破片を踏みつけつつ、悠然と足を進める。

 その態度が更にミュータントの怒りを煽ったのか、次第に瓦礫が尽きるとついに相手は大介へと突進を始めた。


 その巨体が動き出すと、床が鈍い音を立てて、揺れるような錯覚すら覚える。

 

「グオオオオオオッ!」


 雄叫びを上げながらの突進は、まるで暴走するトラックのような迫力だ。

 それを正面から見据え大介は、散弾銃の弾倉を再確認しながら、不敵な笑みを浮かべる。


「緑の単細胞を殺るのに知恵は必要ねぇ」


 その言葉と共に大介は、自ら敵へと向けて走り出した。

 その動きは大胆かつ計算されたものである。


 突進するミュータントの拳が振り下ろされる直前、大介は姿勢を低くしてスライディングを試みた。

 ミュータントの股下を潜り抜けるように滑り込むと、その間に散弾銃へと弾を素早く装填する。

 

「必要なのは少々の銃火器と圧倒的な戦闘技術だ」


 その言葉が響くと同時に大介は、スライディングからスムーズに立ち上がり、散弾銃を敵の顔面へと突きつけた。


 ミュータントは直ぐに振り返ったが、その目と鼻の先には散弾銃が、ひたりと突きつけられている。

 冷たい金属の感触がミュータントの肌に触れ、わずかに緊張感が走った。

 

「さて……お楽しみの時間だ」


 不敵な笑みを浮かべて引き金に指を掛ける。


「や”れ”る”も”の”な”ら”……や”っ”て”み”ろ”!」


 その瞬間ミュータントは、理性が欠けた粗雑な言葉で、最後の抵抗を試みた。


「へっ、言われなくても特注の鉛玉をプレゼントだ。感謝して受け取ってくれよな」


 軽口を叩きながら大介は、散弾銃を強固に握り締める。

 その声音には不敵さと自信が溢れ、彼の戦場での熟練ぶりを思わせるようだ。


 ミュータントは大介の言葉を聞きながらも、巨体を揺らして更に一歩前進して、銃口を顔面の中央に自ら申し付ける。


 そしてミュータントは、徐に巨大な腕を振り上げて咆哮を上げた。

 それは見るからに、露骨な挑発行動である。


「おいおい、そんなに吠えたら喉が枯れちまうぞ。まあ、今のうちに声を出しておけよ。もうすぐ永年に、お喋りできなくなるからな」


 大介は散弾銃の弾倉を確認しながら、相手に負けじと挑発を返す。

 その間にも彼の目は、ミュータントの動きを鋭く追い続け、緊張感の中に冷静さを保つ。

 

 そして大介は引き金を引いた。

 一瞬の轟音が部屋中に響き渡り、弾丸がミュータントの巨体な頭部を正確に捉えた。


 次の瞬間、頭部はまるで挑発したかのように四散し、血肉と骨片が飛び散る。

 鮮血が壁や床に飛び散り、辺りは一瞬にして凄惨な光景と化した。


「ほらよ、受け取ったな。これが俺からの餞別だぜ」


 笑みを浮かべながら大介は呟く。

 その目は何処か冷酷でありながら、達成感のような光が宿る。


 ミュータントの巨体は、頭部を喪失した瞬間に、崩れるように床へと倒れ込んだ。

 その振動が床を震わせ周囲に響く。


「ああ、やっぱり大の字で倒れるんだな。教科書通りだぜ」


 皮肉めいた言葉を吐きつつ、大介は散弾銃を肩に担ぐ。

 だがその直後、大介の頬に何かが掠めてゆく。


 ミュータントの砕かれた細かな骨片が高速で、壁や床にぶつかり跳ね返る事で飛び散り、その一部が彼の頬に小さな傷をつけてゆく。


 じわりと血が滲み出し、大介は思わず手で触れて確認した。


「おいおい、まじかよ?」


 大介は驚いたように呟き、手のひらに付いた血を見つめる。

 

「あの単細胞、死して尚も一矢報いろうってか? はっ、やるじゃねぇか!」


 一瞬だけ声を高らかに上げて彼は笑う。


 その笑い声は、緊張から解放された者特有のものであり、どこか狂気じみてもいた。

 

「気に入ったぜ、兄弟。まさか最後に傷をつけてくれるとはな!」


 そう言いながら彼は、散弾銃を再び構え直す。

 その目は倒れたミュータントの死体を冷酷に見据えていた。


「でもな、俺に喧嘩を売った奴には、もっと特別な仕置きが待ってんだよ」


 低く囁くように大介は言いながら散弾銃の引き金を引く。

 轟音が再び部屋を揺るがした。

 大介は立て続けに弾丸を撃ち込み、ミュータントの死体を容赦なく粉砕してゆく。


 血肉が更に飛び散り、床や壁を汚染する。

 死体は次第に形を失い、もはや何が原形だったのかすら、分からなくなっていく。

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