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核戦争から二百年、人類に嫌われるグールの俺だが、なぜか少女にだけ懐かれたので最後まで面倒を見ることにした  作者: R666
第三章

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第7話 反撃開始

「なんだと?」


 アンナの言葉に、男の顔は瞬く間に赤く染まり、怒りの感情が膨れているようだ。


「聞こえなかったの? あまりにも小さいから、ちゃんと見えなかったって言ってるの」


 そう言いながら彼女は、嘲るような笑みを浮かべる。

 その言葉には怯えを隠そうとする必死さがあるが、相手を煽る効果は充分のようだ。


「てめぇ……人が気にしている事を……よ”く”も”ッ”! ぜってぇ許さねぇ! このクソ女がッ!」


 怒りの衝動が抑えきれないようで、男は腰の拳銃嚢からナイフを引き抜く。

 そしてアンナの左手を強引に掴み無理やり指を広げた。


「ッ”! やめて! やめろってば!」


 抵抗の為に彼女は暴れたが、それは無意味な行動に終わる。

 男は黄色の歯を晒しながら、そのままナイフを振り下ろした。


 皮膚や肉や筋肉維が断たれる音が室内に反響すると共に、アンナの左手の人差し指が乱雑に切り落とされる。

 血が勢いよく噴き出し床に飛び散った。


「う”く”あ”あ”あ”あ”あ”あ”っ”!」


 アンナの悲鳴が再び部屋中に響き渡る。

 その声は痛みと恐怖で引き裂かれていた。


「まだ喋る気にならないのかしら?」


 ジェシカの声は甘やかで、それでいて底知れない冷たさが混ざり合う。


「い、痛み何て慣れましたよ……。これ以上の拷問は無駄です……!」


 乱れた呼吸を繰り返しながらも、辛うじて顔を上げると、アンナは唇の端に苦笑を浮かべた。

 

「あら、そうなの。じゃあ、もう手っ取り早く、モバイルメイドを調べさせて貰おうかしら」


 瞳が鋭く光ると共に彼女は、一瞬だけ唇を引き結び、そして唐突に微笑む。

 しかし、ジェシカの一言にアンナの瞳が僅かに見開かれた。

 彼女は、その反応を見逃さず、満足気に舌なめずりを見せる。

 

「ネオテックス出身なら、持っていないはずがないもの」


 優雅に歩み寄りジェシカは、彼女の身体を凝視して見下ろす。


「んー、この腕に装備されている物が、きっとモバイルメイドね」


 人差し指をアンナの腕に装備されている機械に向け彼女は小さく頷いた。


「……ああ、そうだわ! 良い事を思いついた! 情報を確認している間に、皆で少し遊んであげましょうか。うちの連中(部下)は贅沢にも、使い込まれた娼婦たちに、飽きがきたみたいでね。相当に溜まっているのよ。だから、都合よく使わせて頂くわね」


 モバイルメイドを確認したあと、背筋を伸ばして僅かに考え込む素振りを見せるジェシカだが、次の瞬間には妙案が思いついたと言わんばかりに、満面の笑みを浮かべて仲間思いの事を呟く。


 そして彼女が何処か恍惚とした表情を浮かべながら指を鳴らすと、荒い息を繰り返し目を充血させたヴォイダーたち(全員)が一斉に動き出した。


 薄汚れて武骨な男たちがアンナに近づくと次々に荒々しく手を伸ばし、拘束されて無抵抗状態の彼女の衣服を無理やり吐き取ろうとする。


 だがアンナも、ただではやられまいと全身を捩じるようにして動くが、頑丈に縛られている手足では、どうすることもできない。


「やめろ……! さわるな! 汚らわしいッ!」


 必死に叫ぶアンナの声は、空間に虚しく響くだけだ。

 ネオテックススーツが脱がされ、襯衣や下着が乱暴に引き裂かれると、白く滑らかな肌が裸電球の光に晒される。


 アンナの豊満な胸が露わになると、部屋に居た男たちは下卑た笑みを浮かべ、ジェシカは愉快そうに小さく笑う。


「ふふっ、美しいわね。貴女、こんな素晴らしい身体を隠していたなんて」


 アンナの裸体を眺めながらジェシカは率直な感想を述べると、徐に右手を伸ばして彼女のたわわな胸を鷲掴み数回ほど揉みしだく。


 だが、その光景を全て見ていた大介は、全員の意識がアンナへと集中し、油断している今が好機だとして即座に動く。


 そして次の瞬間――拷問部屋の淫らな雰囲気を打ち破るように、甲高い金切り音を上げて鉄扉が開かれる。


 重たい鉄扉が蹴破られるようにして開かれると、そこにはマグナムピストルを手にした大介が仁王立ちしていた。


 しかし突然の出来事も束の間、次の瞬間にはマグナムピストルから弾丸が数発ほど放たれ、ヴォイダー(ジェシカの部下)たちの眉間を正確に撃ち抜き次々と薙ぎ倒していく。


 そして頭部を撃ち抜かれた男たちは糸が切れた操り人形のように、力なく壁際や床に倒れ込み瞬く間に室内の床は血の池へと姿を変えた。


「よう、くそったれども。パーティーに招待されてはいないが、わざわざ足を運んでやったぞ。感謝しな」


 そんな大介の声は何処か軽薄で飄々としている。

 その態度が場違いな程に冷酷な殺戮を際立たせていた。

 そしてジェシカは突然の彼の登場に、一瞬だけ驚き目を見開いたが、すぐに表情を引き締める。

 

「なっ……よくも……ッ! アタシの部下達を!」


 彼女の声が怒りに震えて、先程までの冷酷さは皆無である。

 

「おいおい、逆キレすんなよ。お前らが先に俺の得物に手を出したんだろ? ……ったく、それこそ躾っつーのが必要だな」


 口元を歪ませながら大介は笑うと、部屋の空気が一瞬で張り詰めた。

 彼の声は皮肉が多く込められており、軽口に聞こえるが、その目は冷酷そのものである。


 大介は片手にマグナムピストルを構え、もう片手で太腿の拳銃嚢からダガーナイフを抜き、軽く回転させながら柄を握り締めた。


 そしてジェシカは、その場に立ち尽くしながらも、冷静を装うように両腕を組む。

 彼女の赤みを帯びた滑らかな長髪(ストレートロングヘア)は完璧に整えられ、金色の瞳には何処か観察の意が込められたものが浮かんでいる。


 さらにジェシカが身に付けている、黒い皮革襯衣(レザーシャツ)の胸元は僅かに開き、引き締められた体が覗いていた。

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