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核戦争から二百年、人類に嫌われるグールの俺だが、なぜか少女にだけ懐かれたので最後まで面倒を見ることにした  作者: R666
第二章

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第8話 住民に協力要請

「我らから逃げられると思うな!」


 歩きながらガトリング銃を撃つナターシャは、大介が隠れそうな場所を次々に破壊する。

 大介は、その攻撃を紙一重で避けながら、雨に濡れて泥が付着した靴底を鳴らし、地面を滑るように軽快に移動した。


 そして薄暗い廃墟内を縦横無尽に駆け回り、兵士たちを攪乱させる事に成功すると彼は、ついにナターシャの隙を突いて彼女の背後に回り込む。


 そのあと背中に装備していたダブルバレルショットガンを静かに手に取り構えると、大介はパワーアーマーの動力部分に狙いを定めて引き金を引く。


 銃口からは大量の火花が飛び散り爆音が轟くと、放たれた弾丸は見事にパワーアーマーへと着弾し、ナターシャの動きが大きく鈍る。


「く”っ”……! この程度で我を止められると思うなぁぁぁあ!」


 攻撃を受けて大きくよろめいて倒れそうになるが、彼女は尚も立ち上がりガトリング銃を構えた。

 しかしナターシャがガトリングに手を掛けたと同時に、大介は素早く別の瓦礫の影に身を隠すと音を殺すように移動して、別の物影へと身を潜め再び兵士たちの攪乱し次の攻撃の機会を伺う。


 そして彼は物影から顔を覗かせて状況を瞬時に把握すると、まずは彼女以外の邪魔な者たちを片付けるべく、マグナムピストルをホルスターから引き抜く。


 そのまま大介はマグナムピストルを構えて照星を兵士たちに向ける。

 すると兵士たちは、この薄暗い環境と彼の隠密行動に完全にやられたようで、表情を強張らせながら銃口を至る方向に突きつけて周囲を警戒していた。


 けれど、そんな兵士たちの動きは格好の的であり、大介はマグナムピストルの引き金に人差し指を添えて力を込めると、早打ちの要領で自らの視界に映る全員の心臓に目掛けて鉛玉を撃ち込む。


 その圧倒的な早業は本当に刹那の出来事であり、まるでカウボーイのような所作が非常に鮮やかだ。

 そして腹部を撃たれた兵士たちは、次々に手から零れ落ちるように銃を放すと、口から血を吐き捨てながら苦悶とした唸り声を漏らし、その場に倒れていき廃墟内には戦闘の痕跡だけが残される。


「さて、邪魔者たちは退場したな。これで俺と、お前の一騎打ちなわけだが……次の一手はちゃんと考えているのか? ブリキの女王よ」


 物陰から身を出して堂々たる姿を晒すと、大介は冷ややかな笑みを浮かべながら、マグナムピストルの回転弾倉(シリンダー)から空薬莢を全て排出し、そのあと懐に手を忍ばせて新品の弾を取り出すと、それを一個ずつ丁寧な手作業で装填していく。


「……まだだ、まだ終わりではない! この街から生きて出られると思うな! V.R.Lだけではない! 貴様は、この街の住民すらも、敵に回すのだ!」


 周囲に転がる部下達の死体を見渡してナターシャは、自身の部隊が壊滅的な状況である事を察したように拳を握り固めるが、それでも声を張り上げるとパワーアーマーが稼働する機械的な音が重く鳴り響く。


「……聞けッ! この街の住民たちよ! 今現在、この街では非常に危険なグールが暴れている! 貴様らの大事な店は破壊され、街の至る物が無造作に崩壊してゆく。このままでは、この街はグールの手に堕ちる! そうすれば愛する家族、友人たちすらも失う事になるだろう! ゆえに! 我らVRLに力を貸して欲しい! この街を守る為に! さぁ、武器を取れ住民たち! グールを殺せッ!」


 ヘルメットに手を伸ばして右耳辺りに触れると、ナターシャは音声通信機能の回線を街のスピーカーに接続したのか、次の瞬間には彼女の声が増幅されて街中に響き渡る。


 すると彼女の演説が住民の心を射止めたのか、すぐさま至る所から老若男女問わず、物々しい叫び声が一斉に上がった。


「俺達の街を破壊するな! さっさと出て行け!」

「グールもV.R.Lの連中も消え失せろ! どっちも出て行け! 今すぐにッ!」


 住民たちの声が何処からともなく聞こえてくると、銃を所持しているようでバリケードの影から一発の銃弾が飛び、それは大介の足元を掠めてゆく。


「くそっ、住民まで敵に回るとはな。だが……V.R.Lの連中も敵として見られている事は実に幸運」


 そう呟きながらも大介は素早く身を翻し、近くのドラム缶の影に隠れた。


 しかし彼は言い知れぬ一つの気配を察知して、すぐさま視線をとある方向へと注ぐと驚く事に、少し離れた位置に何故か怯えた様子のアンナが物影に身を潜めていたのである。


「住民たちが怒り狂ったように武器を……。ど、どうするんですか! グールさん! あの人達も殺すんですか!」


 両手で自身の頭を押さえつつ周囲を見渡しながら彼女は、今現在の状況を把握しつつ大声を出して大介に話し掛けた。


「おま……一体いつの間に……いや、今はどうでもいいことか。それよりも、お前はそこで大人しくしていろ。絶対に一歩も動くな。俺は今度こそ、ブリキ人形を片付けてくる」


 アンナの突然の登場に大介は目が丸くなると言葉が詰まるが、それでも冷静な声色で指示を出すとダブルバレルショットガンを取り出し、新しい弾を装填して構えるとドラム缶の影から飛び出し、数多の瓦礫を越えてナターシャに迫る。


 だが、そこへ突如として散弾銃をコッキングするような軽い音が響く。

 大介は、その音が聞えた方へと意識を向けると、そこには驚く事に先程マグナムピストルで胸を撃たれた筈の葛葉が、何故か起き上がり少し離れた位置で散弾銃を構えていた。

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