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核戦争から二百年、人類に嫌われるグールの俺だが、なぜか少女にだけ懐かれたので最後まで面倒を見ることにした  作者: R666
第二章

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第2話 バトルフレーム

「ね、ねぇ……本当に大丈夫なんですか?」


 大介の元に小走りで近づくと彼女は小声で尋ねる。


「大丈夫も何も、こういう奴らとは慣れたもんさ。どこでも似たような反応だ。まっ、生きてりゃぁ、そのうち分かる。この世の理屈ってやつがな」


 アンナと一度も視線を合わせる事なく、彼は冷めた口調で淡々と答えた。

 そして彼女は大介の背中を凝視すると、何を考えていたのか口を閉ざす。


 そのあとアンナは静かに室内を見て回り始めると、その間に大介は棚に並べられていた使えそうな物を、適当に手に取り僅かに吟味したあと次々に鞄に詰め込んでゆく。


 そして鞄が最初の頃と比べて二回りほど重たくなると、大介は白髪の老人に必要な額のお金(ピンバッジ)を支払いアンナと共に店を出た。


「これって本当に何かに使えるんですか?私から見たら、ただの玩具にしか見えないんですけど」


 建物から出て僅かに歩みを進めて立ち止まると、アンナは彼が購入した品物(鉄球の物体)の一つを、自身の手の上で遊ばせながら半信半疑の声を漏らす。


「さあな、試してみないと分からん。だが……なにも無いよりはマシだ」


 荷物を整理しながら簡潔に答えると、大介は彼女が手のひらで遊ばせていた物を横から取り、それを鞄に入れた。


 ――だが、その時。

 突如として低く唸るような轟音が上空から響いてきた。


 その音は徐々に近づいてきて、大介たちの傍に聳える建物全体が、大きく揺れる程の振動を伴う。

 すると先程まで外で楽しそうに談笑していた住民や、イモリの串焼きを販売していた屋台の店主たちは、一斉に動きを止めて不穏なざわめきが一瞬で広がる。


「な、何の音ですか? これは……?」


 表情を強張らせるとアンナは徐に顔を上げて空を見るが、太陽の影響で目を細めながら轟音の正体を把握しようとした。


 けれど彼女は動揺しているようで、左手だけは自然と握り拳が作られて小刻みに震えている。

 

「……ちっ、厄介だな。あれは”V.R.L”が所有するメスプレイだ。戦闘用の航空機――大抵は面倒事の前触れだ」


 轟音が響き渡る方向を、冷静に見極めながら、大介は一つの可能性を考えた。

 そして『V.R.L』とは、高度なテクノロジーの発見、収集、そして管理が最優先事項の組織である。


 その目的は、一部の過激な勢力が技術を武力として利用する事を防ぎ、旧日本全体の安定を図る事だ。

 特に原子力兵器やロボット工学など、大規模破壊の危険を孕む技術に対して、極めて敏感に反応する。


 この使命を果たす為にV.R.Lは、巨大な武力と最新の装備を駆使しているのだ。

 それから団地のような建物内で、優雅に午後の時間を過ごしていた街の住民たちも、外の異変に気付いたようで誰もが窓から外を覗き込んで困惑した様子を晒す。


 空は雲が全て横に流されていき完全に捌けると、日光の陽射しが一際増して強く降り注ぐ。

 だが、そんな眩い陽射しを遮るように現れたのは戦闘用の航空機、その名もメスプレイである。

 

 漆黒色に塗装された、その機体は金属的な光沢を放ちながら、街の上空を低空飛行で旋回し、建物と建物の間に生まれた狭い空間へと降下してゆく。


「……なんだか嫌な予感がしますね。私の生物的本能が、そう言ってます……」


 低い声色でアンナが呟いた。

 その声は明らかに恐怖が滲み出ている。


「予感なんかしている暇はねぇぞ。さっさと俺に付いて来い」


 彼女を手で促したあと大介は、すぐさま近くの建物へと走り寄ると、その裏手に存在する狭い路地へと向かう。


 彼の顔には冷静さが保たれているが、その目には警戒の色が浮かんでいた。

 そして二人は無事に路地へと入り身を隠す事に成功すると、大介は僅かに顔を覗かせて周囲の様子を伺う。


 暫くしてメスプレイのエンジン音が完全に沈黙すると共に、外の騒音が急に静寂へと変化した。

 誰もが息を呑み、状況を見守り続けている。


 そんな中、機体から降り立った影が数人、街の広場に姿を現した。

 一際目を引くのは、黒いパワーアーマーを纏う女性である。

 

 漆黒の長髪は髪飾りで綺麗に短く纏められ、全体的に気高い雰囲気が漂う。

 その髪は手入れが行き届いており光を受けて滑らかに煌めき、この場所の荒々しさとは正反対の魅惑的な美しさを醸し出している。


 彫の深い顔立ちは、凛々しさと妖艶さが絶妙に融合しているようだ。

 高く整えられた鼻梁と形の良い唇は、彼女の意思の強さと色気を同時に感じさせる。


 戦場で鍛え抜かれたであろう、その肉体は女性的な曲線美と、戦士の逞しさが同居しているようだ。

 肩幅は広く背筋が綺麗に伸びた堂々とした立ち姿。


 深紅の瞳は敵を射抜くような鋭さを持ちながらも、内に秘めた情熱さと気高さを伺わせるようだ。

 さらに日焼けした肌は滑らかで触れたら僅かに弾力を感じさせるような瑞々しさがある。


 それから彼女の頬や首には無数の傷跡が走っており、特に鎖骨の辺りにある傷跡は特徴的だ。

 それと肉体についての詳しい事は、重厚なパワーアーマーを装備している事から、外見からの目視では不明。


 それでも女性の外見的な年齢は二十三ほどで、身長はパワーアーマーの大きさを加算すると二百二十三センチほどだ。


 そして、このパワーアーマーは見るからに特注なのか、通常の兵士が使うものとは一線を画している。

 全体的にダークメタリックな黒を基調とし、細部には深紅のアクセントが入り、肩や胸部には細やかな装飾が施され、自らの地位を表す勲章や紋章が刻まれているのだ。


 さらに全体的に鋭角的なデザインが施されており、猛禽類の鋭い目と翼を彷彿とさせるフォルムが特徴的。


 肩部と背部には、大型のエネルギーフィンが装着されており、移動速度と安定性を高めている。

 そしてヘルメットについてだが、今は外されて腰に掛けられているが、それは滑らかな曲線と鋭いエッジが併せ持つデザインをしていて、顔全体を覆うバイザーには視覚補助機能が内臓されているのだ。


 バイザーは透明度を自由に調節可能で、使用時には赤い光が瞳のように輝く仕様。

 胸部装甲は女性らしい線を損なわないように設計されつつも、強力な衝撃吸収材と耐熱素材が使われている。


 その中央にはパワーアーマーの動力源である、”レジェンドコア”が組み込まれており、透明パネルを通して、その光が淡く輝く。


 両腕には精密な動作をサポートする為の外部フレームが装備されており、特に内臓ナイフと高出力カッターが仕込まれている。


 脚部装甲は厚めで膝部分には、衝撃を吸収する為の追加装甲が施されているようだ。

 さらに足元には強化マグネットが内臓されており、不安定な地形や壁面でもしっかりと踏み止まる事が出来る。


 背中には小型のジェット推進ユニット『レイブンエンジン』が取り付けられており、短距離の高速移動や垂直方向のジャンプを補助するのだ。


 そしてパワーアーマーの背中には専用の武器、漆黒の塗装が施されているガトリング銃が、重々しい雰囲気を漂わせながら装備されており、それは見るからに総弾数は三百発を容易に超える。


 それとヘルベルトのバイザー内部には、高度な戦術H(ヘッド)U(アップ)D(ディスプレイ)が内臓されており、弾薬量と武器ステータス、味方との通信リンク、地形スキャンと環境データ、それらを一括で管理や把握する事が可能。


 それからパワーアーマーとは別名、バトル・フレームとも呼ばれており、それはV.R.Lの象徴的な装備の一つである。


 このアーマーは戦争の頂点を極めた米中戦争時代に、日本の村雨研究所で開発され、最終戦争以前には『P-45』『P-51』『P-60』というモデルが存在していた。


 原子力を動力源とする、このアーマーは単なる防具を越えた『戦闘支援装置』として機能する。

 このパワーアーマーを装着する事で、対象は様々な恩恵を受けられるのだ。


 それは通常の装備では防ぎ切れない爆発や高威力弾頭にも耐え、アーマー内臓の補助装置により使用者の腕力や脚力が強化され、内臓の動力源により長時間の活動が可能で、ガトリング銃やプラズマ兵器など大型兵器も用意に使用可能となる。

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