第三話 一夜
やっと、物語性出てきた。(?)
僕たちはあれから、宮廷に向かった。長い道のりを歩いてようやく宮廷に着く。赤い提灯があちこちと揺れていて、ここが国中心なのだと思わされる。
『あ、そういえば自己紹介するのを忘れてたよ』
宮廷に着くまでの道のりで、その子供は『しまった』という文字が顔に浮かぶ。
その子供の名前は瑶璃というらしい。
僕たちも軽く自己紹介をした。
そして今ーーーーーーーーーーーー。
(……いろいろあって、疲れたなぁ)
もう空は光が沈んでいる。 朱色の柱の影が落ち、 行き交う者の足音もどこか静けさを感じた。
僕たちの石畳を踏む音が鳴り響く。すると、遠くで、交代を告げる鐘が低く鳴った。
「そういえば、瑶璃が用意してくれた部屋って……」
僕は言葉を止める。
やがて、建物が見えてくる。中庭からは、桶に水を汲む音や、誰かの小さな笑い声が聞こえてきた。
「僕たちが住んでいた所よりも豪華……」
入口の脇に立つ見張りの軍に軽く会釈する。そのまま建物の中へ入ると、ひんやりとした空気が肌を撫でた。
廊下の両脇には行灯が並び、コオロギの鳴き声が静寂を包む。
いくつかの扉を通り過ぎ、奥で足を止めた。
木の扉に掛けられた札には、見慣れた自分たちの名前。
「ここだな」
「みたいだね」
星蘭が先に扉を開ける。
中は簡素だったが、きちんと整えられていた。左右に寝台が一つずつ、間に低い机。筆や簡牘も揃っていて、生活に困ることはなさそうだ。
「……同室なんだな」
「まあ、その方が楽でしょ。今までもそうだったんだから、今更だよ」
そう言いながら、星蘭は自分の寝台に腰を下ろす。
僕も反対側に座り、薄い寝床に横たわる。
「おみず......」
机の上の湯呑みに手を伸ばした。喉を通る冷たさが心地いい。
暫くすると、誰かの足音が聞こえた。
「食事をお持ちしました!」
思ったよりも元気な声が扉の向こう側から聞こえ、驚く。
「どうぞ」
戸惑いながらも、返事をすると扉を開けて下働きの人が入ってきた。
「今日から補助係を務めます、梨花と申します!」
勢いよく頭を下げるその姿に、思わず少し気が抜けた。
彼女の手元から鼻を擽るいい匂いが流れてくる。一方、星蘭はというと……。
(あー……目がキラキラしてる)
さっきまでの真剣な顔はない。食事の事となると、いつも嬉しそうに目を輝かせて、沢山食べる。
この光景に僕は心が落ち着いた。緊迫した気持ちはもうなかった。
梨花は机に並べて、一礼した。
その食事を見て、僕は首を傾げる。
「お粥はないんだね」
星蘭も気づいたようで『確かに』と呟いた。お粥は平民でも食べる。出ない事はないはず。なのに、今こうして出ていないのは......。
「それはその......お米の貯蔵がないからです」
梨花はそう言った。僕が思っていた通り、米不足が原因だったらしい。星蘭は小さく呟く。
「米不足か……」
「でも、天候は悪くなかったはずだよね……」
僕は腕を組み、首を傾げる。
「はい。噂では、盗まれているとの事で......」
「盗まれてる……?」
「はい……民家からも、米だけが狙われているそうです」
「米だけ……」
米が消えるのは、ただの食糧問題じゃない。戦争や飢餓状態の時に困る。
「国が管理している貯蔵庫は大丈夫なの?」
「それは分かりません……噂ではその話は聞きませんでした」
盗まれている場合、公に知られてしまうと民がパニックに陥る。だから、盗まれていないとも限らない。
「まぁ、仕方ないよな」
「結構、大問題だけどね。窃盗犯は捕まったのかも分からないのに」
梨花は『また後ほどお持ちしますね』と言い、扉を閉じる。
星蘭の箸がカチ、と音を立てた。
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