第二十六話 朧月
どんどんセリフとセリフの間が多くなるwwwいつもの書き方になってしまった。こっちの方がいい?
宵闇が迫る。僕たちは一階層上の楼閣で上から見下ろす。星蘭や彗蓮、かくいう僕も瑶璃から一歩離れた位置に立っていた。護衛の立場として常に警戒心を持ち、目を凝らす。
「あ、始まったみたいだね」
瑶璃の言葉の通り、宮女たちが水を打ったように静まり返っていた。同時に燈明が一斉に灯り、ほんのり紅い色が広がり、暗い場所を染めて、幻想的な印象を与えた。
(匂いがする……)
甘い香りが夜風に乗って、鼻先に漂ってきた。冷えた夜風は、頬を掠める。
「これより、詩の披露会を始めます」
丞相様の言葉で、催しが始まった。他国との外交を深めるために、開催された一つの行事。
普通なら皇帝が開始の合図を出す。だが居ないため、丞相様が進行を進めている。瑶璃が進めればいい話だが、他国の人が黙っていない。
「皇帝が病で伏せられているのだろうか?」
「さぁ、分からぬな」
ひそりと話し合う役人の姿が目に入った。ざわりと揺れる場を丞相様は咳払いをする。
「それでは、これより各国の才子佳人による、最初の一節を詠み上げていただきましょう」
その厳かな声で会場のざわめきはピタリと止んだ。皇帝不在の異常事態の中でも、その堂々たる威厳で圧していた。
だが、僕は眉を中心に寄せる。
(この匂い、おかしい……)
鼻腔をくすぐる甘い香りは夜風が強まるにつれて、濃くなっていく。合図として放ったお香にしては何か変な感じがした。
横目で彗蓮を見ると、何かに気づいたのか青ざめている。いつでも、武器を抜けるように懐に手を入れていた。一方、星蘭は極限まで呼吸を浅くしている。このお香の正体が何であれ、危険だという事には気付いたらしい。
(なんだろう……頭が……)
頭の芯から痺れるような朧気な感覚。袖で口を覆っても、あまり意味をなさなかった。
隣に立っていた彗蓮はこの異常事態を瑶璃に耳打ちをする。
「瑶璃様。このお香、ただの百歩香ではありません」
「そう。でも、ボクは何ともないんだけど……」
「予測ですが、これは特定の人物を狙っての行為です。誰かが能力を使っております」
彗蓮と瑶璃がひそやかな声で言葉を交わしていた。流石というべきか、彗蓮はすぐさまに原因を突き止めている。科学ではあり得ないと判断した故の結果なのだろう。
彼の言う通り、他の役人たちは何も影響を受けていないように見える。
楼閣の下、暖かな色を纏う燈明に照らされた庭園の中央へ一人の男が歩みでる。巻物を広げて、読み上げていた。
「カササギ橋は上界とつながっている。千の秋を越えて、今夜は霊的な集いが一つになる。 夜明けに星塔に雲が集まり、喜びに満ちた雰囲気を―――――」
詩の披露会が始まっていた。次々と各国の代表が詠み上げていく。淡々と詠み上げる者もいれば、感情をこめて謡う人も居た。
(煙の発生源を止めないと……)
そう思った時には、もう視界の端がぐにゃり、と崩れる。何とか手の甲に爪を食い込ませ、意識を戻した。
そうこうしている間に、瑶璃が謡う順番が来る。上から庭園に向けて詠みあげる。
「月は霞み、星はかすんでいる。南へはカラスやカササギが飛んできて、天に秋の約束を密かに数えている。 錦の塔は素朴な男の家には届いていない―――――」
瑶璃が詠み終わると、感嘆の声と大きな拍手が庭園に響き渡った。皇帝の代理として、堂々たる見事な朗詠。他国の使節団は美しさに息を呑んでいた。
「持ち堪えられる?」
蚊が鳴くような小さな声で、そう聞いてくる瑶璃。星蘭はまだ動けるようで、首を縦に振る。彗蓮は少し顔を顰めていた。
瑶璃の声でさえ、遠く歪んで聞こえる。
「大丈夫か? 月華……」
星蘭の手が優しくそっと背中に添えられる。彼の言葉だけは何故か、歪んで聞こえなかった。温かい手に僕は少しだけ眉を下げる。
「平気……。それよりも、お香の発生源……を見つけないと」
途切れ途切れの言葉を何とか言葉を紡ぐ。星蘭の手のおかげで、辛うじて視界の輪郭を保つことが出来ていた。けれど、このままここに居座るのは無理があるかもしれない。
「これ以上、ここに居るのは悪手だね。ボクの出番も終わったし、ここから少し離れよう」
瑶璃が優雅に袖を広げて、周囲に怪しまれない程度の自然な動作で楼閣の奥へと歩き出す。僕たちもそれに続いたが、一歩踏み出すだけで、足元がぐらつく。膝が崩れ、濃い影が地面に映った。
「……あ……っ」
小さな声が漏れ、倒れそうになる僕の身体を、星蘭は素早く支えた。ほとんど彼に体重を預けるような形になってしまい、申し訳ない気持ちが募っていく。
薄暗い回廊へと非難し、壁に体重をかけた。
「無理しなくていいからな。呼吸をゆっくり整えろ」
僕の冷えた身体に星蘭の体温が広がっていく。
星蘭は低い声でそう囁き、安心させる為に隣で支えてくれていた。お香の煙はもうない。けれど、鼻腔にかすかに残る甘い香りの残骸があった。
「やはり、お香そのものが原因ではないです」
彗蓮は顎に手を当てて、そう口にした。それに対して、瑶璃は言葉を返す。
「多分、意図的に送り込んでいるんだろうね。庭園の死角からかな?」
「はい。恐らくそうかと。ですが、どうして瑶璃様や他の役人たちは無事なのでしょう……まるで―――」
彗蓮は、唇をぎゅっと紡ぐ。けれど、すぐに息を吸った。
「まるで、『能力者』を狙っているみたいだと思いませんか?」
『能力者を狙っている』―――その言葉に、僕たちは目を合わせた。もし、そうなら能力者しか感知できない波長を忍ばせている可能性が高いとの事。
「実例があるんです。数十年前、同じ出来事があったと書物に書いていました。その犯人は……」
彗蓮は真剣な眼差しを持ち、言葉を続けた。
「お香を使って、意識を朧気にさせる能力を持つ一族です」
瑶璃は眉を上げた。何か思う事があるような雰囲気を纏っていた。
「朧月一族……」
星蘭が呟いたその言葉は影に溶けていく。
今の書き方が本来の私の書き方ですね。
こちらがいいですという方、いたらメッセージ欲しいです。逆に嫌だという場合も素直に言ってください!
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