番外編① 小さい頃の話
ちょっとシリアスすぎたので、息抜き。私も息抜き
沢山の書類を横目で流しながら、事務処理をしていた時。無遠慮に、勢いよく扉が開かれる。
「二人とも~! ちょっと、お話しない~?」
満面の笑顔で、そう口にしたのは、瑶璃だった。
小さな丸い机に、僕、星蘭、瑶璃の順で座らされる。僕は口角を無理矢理上げながら、瑶璃の襟を掴んだ。
「米騒動のせいで、溜まっていた書類でいっぱいだからさ……また今度にしてくれる?」
声を荒げなかっただけで偉いと思う。断ったのにも関わらず、瑶璃は『襟を掴むとか度胸あるね』と嬉しそうな色を見せていた。
(こいつ……っ)
「ちょっと、星蘭もなんか言ってよ!」
「えぇ~」
頭の後ろで手を組みながら、星蘭は曖昧な返事をする。書類片付けをしたくないという雰囲気が溢れ出ていた。
(サボりたいだけじゃん……)
「まぁまぁ、息抜きも大事だし? ボクの遊びに付き合ってもらうよ~!」
そう言って、木でできた札が懐から出てくる。全部で十本。それを僕の前へと広げた。『一本、引いて』との事だった。
おずおずと一本引くと、根本の部分に何か書かれている。
「……小さい頃はどんな子供だったか? はぁ?」
僕は迷惑そうに眉をひそめる。何となく察していた。親交を深めたいという理由で、頑張って絞り出した結果なのだろう。
「そのお題を元に、一人ずつ答えてもらうよ!」
「ていうか、瑶璃はまだ子供じゃないか……」
星蘭の見事なツッコミに、瑶璃はへっちゃらだった。
「今のボクの身長は、四尺五寸。まぁまぁ、大人に近いからね?」
むっとした表情を浮かべて、星蘭を横目で見る。そう言葉にする瑶璃は若干、声が低かった。
「って事で、月華は小さい頃どんな子だったの?」
目を輝かせながら、前のめりになる彼に。僕は少し引く。そもそも自分でどんな子だったかなんて、そう簡単に出るわけがない。
「小さい頃の月華は、泣き虫だったよ。泣くなんて日常茶飯事みたいな感じでさ~」
星蘭は笑いながら、僕の代わりに答える。けれど、あまり嬉しくない。何だか、自分の失態が晒された気分だからである。
「ち、小さい頃なんて泣くのが、仕事みたいなものじゃないの?」
「それにしては、いつも目が赤く腫れていたけどな~」
僕の言葉に追い被さるかのように、星蘭はそう口にした。瑶璃は面白そうに目を細めていた。
「そういう星蘭だって、いつも涙目だったよ。転ぶ度にそうだった」
「……そりゃぁ、痛いからなぁ」
「へぇ~。月華は泣き虫で、星蘭はやんちゃだったんだね」
『今とあまり変わらないね』と溢す瑶璃に苛立ちを覚える。用意されたお茶は、まだ湯気が立っていた。まだ、全然時間が経っていないのだと思い知らされる。
「僕たちの話はもういいとして、瑶璃はどうなの?」
「え? ボク? ボクは生意気な子供ってよく言われてたよ」
『今もそうじゃない?』と言えるはずもなく、無難な返事を返す。星蘭もそう感じたのか、お茶を啜って誤魔化していた。
みんな、なかなか見てくれなくて、、涙




