第十三話 支えがあるから
いやぁ、ここまで長かったよ。
馬から降りる。ひらりと袖は舞い、トンと足を地につけた。
洞窟から少し離れた所で、僕たちは洞窟を遠目で見る。霧が漂っていて、湿っぽい。洞窟から流れてくるカビ臭さや冷気。ひやっとして、肌を刺した。
「作戦通りに開始する。まずは、月華と星蘭。それと護衛として、軍を数人。先に洞窟に向かって」
普段なら大尉様が指示をする係だ。だが今、大尉様は息子を人質にされている。それも相まって、心はかなり擦り減らしているはず。
それを見越して、瑶璃が指示を出している状態だった。
「他の軍は洞窟の外に出てくる敵を捕らえて。三府もここで待機し、ボクを囲うように」
その言葉だけ。僕は不安が募る。だって、今から向かう洞窟には二百人もの敵が潜んでいる。しかも、洞窟の外には敵が百近く構えている状態。
僕は恐る恐る瑶璃を見た。
「……瑶璃」
「どうしたの?」
「敵を全員、倒すだなんて無理なんじゃ……」
「倒さなくてもいいんだよ」
僕は重たい首を傾げる。倒さないとなると、どう勝つつもりなのだろう。
「敵が自らひれ伏す程の実力を見せつければいい」
はっきりとそう言った。風さえも圧するようなその言葉は重みを感じる。彼の金色の瞳は、自信に溢れていた。未来が視える僕よりもずっと、自信に満ちている。
「じゃあ、頑張って。応援してるよ!」
トン、と背中を押され、僕は前を向く。星蘭も笑みを浮かべて僕の手を握った。
「月華ならできるさ」
そう言って、ニカッと笑う。その言葉に僕は不安の気持ちが和らいだ。
僕も握り返す。
「僕の親友として頑張ってよね」
そう言って、一歩踏み出す。凸凹した石の上で僕たちはゆっくりと洞窟へ向かった。
カッ、カッと靴が鳴り、始まる時が――――迫り来る。
文学寄りって言われました。
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