第十一話 恥な作戦
ちょっと面白くなってきましたよ。
とある宮廷の一角で、緊急会議が行われた。
僕は調査してきた書類を読み上げる。
「以上が、調査の結果です」
今まで調べてきた事、分かった事。
全て包み隠さず伝える。
丸い机に次期皇帝、丞相、大尉、御史の順番に座っていた。
「そんな事が起きていたとはな。困ったものだ」
そう発言したのは、丞相様だ。赤茶色の髪に、癖毛。肩にかかるぐらいまでの長さであった。
丞相様は湯呑を掴んだまま、水面を見つめている。
「そもそも、原因は大尉の問題。大尉府がどうにかすれば」
冷酷な雰囲気を纏っているこの人は、御史様。腰まである銀髪は光を受けて、淡く光っていた。
「……」
御史様の言葉に対して、言い返す言葉が見つからないのか黙り込む李明――――基、大尉様。
そこで、瑶璃は助け舟を出す。
「これは、大尉府だけの問題じゃないよ」
瑶璃は真剣な顔持ちで、その場を鎮める。すると、ピタリと言葉が沈んだ。
「さて、まずは拉致されている少年の話だね」
瑶璃は足を組んだまま、言葉は続く。
「報告通りその少年は洞窟に居る。敵の人数は、思ったよりも多い。その数、二百人」
「二百人……? 戦争の場合だと少ないが、米を盗むだけでその数はちょっと多くないか?」
丞相様は腕を組み、疑問を口にしていた。それに対して、御史様は口をはさむ。
「あれでしょ。この国が弱体した所で、攻め込むつもりなんだよ」
「最初の突撃隊みたいな感じか」
瑶璃はうん、うん、と頷くだけで、二人を微笑ましいという感じで見ている。この感じからすると、かなり気に入ってる幹部なのだろうか。瑶璃は振り向き、にやっとした表情で振り返って、僕たちを見た。
「丞相と御史って、君達二人に似てると思わない?」
「思わないです」
僕は間髪入れずにそう答える。瑶璃は『えぇ~?』と納得いっていない素振りを見せていた。
星蘭は苦笑いをするだけで何も言わない。
僕たちの会話を聞いていた丞相様と御史様は、僕たちを見ている。
「あぁ、噂の月華って奴か。確か、未来視を持った貴重な存在だと聞いたが……」
丞相様は眉を潜め、僕を見る。何かを探るような瞳であった。一方、御史様は――――。
「…………」
黙り込むだけであった。丞相様はまだ言葉を続ける。
「血縁関係で、未来視を持った奴はいたか?」
「血縁関係、ですか?」
「そうだ。普通、能力というのは血縁関係で受け継がれる。未来視を持った一族は途絶えてしまっているはずなんだが……」
血縁関係で未来視を持った人は、居たのかどうかも分からない。だって、そもそも僕は……。
顔を伏せて、僕は申し訳ないと思いながらも口にする。
「僕は……家族を知りません」
時が止まったような感覚に襲われる。誰もが黙り込み、口を閉ざした。そんな中、僕は言葉を続ける。
「小さい頃の記憶がないのです。いつの間にか、寺院に拾われていました。寺院に居た人達が僕にとっての家族です」
『そうか』とそれ以上、丞相様は何も言わなかった。
そんな沈黙を破ったのは、瑶璃だった。
「会議のお題が逸れてしまったね。もう時間もないし、早くしよう」
この話に終止をし、本題に戻る。
「まず、軍を使うのは勿体ないと思うんだよね」
「正気? 軍を使わないと倒せないに決まってるでしょ」
瑶璃の言葉に、直球で言うあたり……御史様は怖いもの知らずなのかなと思う。
「うーん。ここで軍を消費する事が敵国の狙いかもしれないよ? だから、なるべく軍を使わない方針で行きたい。それと、敵を殺すんじゃなくて、捕虜で」
嫌な顔をする御史様。『もう好きにすれば?』と言葉を投げ捨てて、窓の外を眺めている。
瑶璃はまだ言葉を続ける。
「実は、もう事前に作戦を立てといたんだ~」
嬉しそうに星蘭から紙を貰う。
「その名も~神からの罰作戦!」
「よし、撤退だ。撤退」
ガタン、と丞相様は椅子から立つ。これは僕も同情する他ない。
『待って待って』と急いで、瑶璃は丞相様を止める。御史様は項垂れていた。
「分かりませんよ。ネーミングセンスが最悪なだけかもしれないですし……」
(え。それ、遠回しに悪口言った? ていうか、遠回しじゃないじゃん。ド直球悪口じゃん)
三府の代表者たちは、度胸がすごいんだな、と思い知らされる。ここで初めて発言した大尉様。少し場の空気が和んだからなのだろう。
丞相様はふーっと息を吐き、椅子に座りなおす。
「そうだよな。うん。作戦が良いかもしれないもんな」
丞相様はもごもごと口を動かす。瑶璃は満面の笑みを浮かべていた。
「作戦はね――――」
その作戦に僕は青ざめる。
「え、待ってください、待ってください」
慌てて止めに入るが、三府の人達は納得している。なので、作戦は決行となってしまった。
星蘭は僕の肩をポンと置いて、慰める。
僕は頭を抱え、地面の影は光によって伸びた。
(む、無理でしょ! こんな作戦!)
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次の話は、ぶっ飛んでいますよ〜!




