↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おねえさんはエコバックを肩に原付で異世界を爆走中  作者: 浦 かすみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/15

第八話 第一異世界人と接触



 洞窟の暗闇の中、別の明かりが見えた。


 タッチパネルモニターの明かりがついてる!?  


 慌てて覗き込むと、モニターに文字が……


『南西14メートル先に、未確認物体あり、スキャン中……種族、人間』


 人間!?ここへ来て初めての人間だ。


 原付バイクに乗ったまま、ゆっくりライトを南西に向けると、近くの木の根元で何かが光っている。  


 月灯りに反射して……人が倒れてる!?


「ど、どうしたら……」


 原付バイク様が私の嘆きに反応してくれた。タッチパネルが起動した。


『鑑定スキルで生物の身体状態を確認可能』


「鑑定!?そうだ!」


 迂闊に近づく前に、鑑定で遠くから容体確認してからにしよう。


 そろりそろり、原付バイク様で近くまで行ってみた。


 この人……まさか、亡くなってないよね?


「鑑定!」


『名前∶リライ=ルハーダ 24才(♂)LV025 体力0500

 筋力0343 魔力0202 判断力0129 瞬発力0549

 スキル∶火属性魔法LV3 身体強化LV3(隠蔽) 剣技LV3

 ユニークスキル∶経験値譲渡(隠蔽) 幸運(隠蔽)

 特殊スキル∶探索 アイテムボックスLV2

 状態異常∶脱水症状あり、空腹状態あり、貧血状態あり』


 す……すんごい濃い内容のステータスを持ってる人だ。


 それはともかく、リライ=ルハーダさんは脱水症状おこしてんじゃん!


 バイクを降りると、忍び足で木の根元に近づいた。


 「大丈夫ですか?」


 「……」


 気絶してるのかも?


 近づいて肩を軽く叩いてみた。


 「大丈夫ですか?」


 リライ=ルハーダさんは、薄っすらと目を開けてこちらを見た。


 「み、水……」


 水!?じゃないけど、ミネラルたっぷりの麦茶なら持ってる!


 保冷エコバッグの中に手を入れて、水筒を出した。


 やはり、魔法瓶は重たくなっている。麦茶が補充されているようだ。


 本当に麦茶かどうか、一口飲んでみた。

 

 大丈夫、麦茶の味だ。


 「冷たいお茶です、飲めますか?」


 リライ=ルハーダさんが体を起こそうとしたので、木にもたれられるように手を貸した。


 水筒を渡そうとしたら、リライ=ルハーダさんの手が震えていた。


 脱水症状がひどいんだ。


 震える手に私の手を添えて、水筒を口元に近づけた。


 水筒を傾けると、リライ=ルハーダさんはものすごい勢いで麦茶を飲みだした。


 良かった!意識はしっかりしているみたいだ。

 

 やがて、麦茶を飲みきったリライ=ルハーダさんは荒く息を吐きながら私を見た。


「た…助かった、ありがとう」


「いえいえ、ど……?」


 ん?今、日本語が聞こえましたが?あれ?そういえば私もつい、日本語で話しかけてしまったけど、言葉通じてるような?  


「それと、すまない。何か食べ物を分けてもらえないか?」


 はい、リライさんは完全に日本語喋ってますよ!


 ……了解ですよ。異世界小説あるあるの、異世界語の自動翻訳ですね?もう驚きませんよ。

 

 リライさんから空の水筒を返してもらい、エコバッグの中に戻す時にバッグの中を見た。


 確か、リライさんは貧血状態ってなってたよね?


 だったら、持ってる食材では、コレだー!


 私はエコバッグの中からアジの開きを取り出した。


 確かアジにはヘム鉄が含まれてたはず、貧血には鉄分を補給だよね。


「そのまま食べられるのは、パンがあります。後は魚かな……」


 リライさんは、少し笑顔になった。 


「パンか、助かる。魚は焼いて食べても構わないか?」


 パンも魚も、この世界には存在しているみたいだね。


 私は立ち上がると、原付バイクのリアボックスの中のエコバッグから、食パン五枚切りを取り出した。


 それをそのままリライさんに渡そうとしたら、怪訝な顔をされてしまった。


「それ……何?」


「パンだけど?」 

 

「その袋も見たことないけど、それってパンなの?」


「袋……はっ?!パンの外装ね!うわっプラ製品じゃん!」


 さすがに、この世界にプラスチック製品はないよね。いきなりの大失態だよ。


 リライさんはまだ怪訝そうな表情をしていたけど、ご自分のウエストポーチの中に手を突っ込んで、何かを取り出してきた。


「あっ!木のお皿とフォーク!」


 ああっ!これって異世界小説界隈で超有名な、見た目より沢山入る魔法のアイテムバッグじゃないかな?


 鑑定してみたい!


 でも、さすがに今はリライさんの体調も良くないので、また後で鑑定してみよう。


 リライさんがお皿を差し出したので、パン袋をパリッと割いて、食パン一斤を皿に出した。


「あの……食べ物を、とお願いしておいて聞くのはあれだけど、これって本当にパンなの?」


「食パンですよ?」


「食パンって?」


「え?」


「え?」


 リライさんと無言で見つめ合ってしまった。


 この世界に食パンはないのか!!


 新たな発見だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
面白いです! 命にかかわるような空腹状態で手渡されたものをすぐ食べずにいられるのかな。 むしろ袋のまま口に運んでしまうかも。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。