第四話 私のエコバッグもおかしくない?
そうだ……ついでに、エコバッグも『鑑定』しておこうかな。
リアボックスを開けて、中のエコバッグに鑑定をかけてみた。エコバッグの上に、例のパネルが飛び出してきた。
「さあ、どうだ!」
『ただのエコバッグ∶(布製)某コーヒーメーカーの懸賞応募で当たった、有名デザイナーとのコラボバッグ。コーヒーカップも同デザインでセットで所持』
「いや、鑑定はばっちり当たってるよ!?確かに懸賞で応募したら当たった、エコバッグだよ!同じデザインのマグも確かに持ってるさ!だけど、なに?ただのエコバッグって何?なんかムカつく!ただの……とか、わざわざ伝える必要あるかな?」
懸賞で当たったコラボバッグを、原付バイクにサゲられたみたいで、なんだかムカつくね。
でもさあ、さっきのステータスでエコバッグもレベルついてたよね?
私はもう一つの魚が入ってた保冷剤入りの、ファスナー付き保冷バッグを見た。
もしや、こっちなのか?
今度は保冷エコバッグを鑑定してみた。
『保冷バッグLV1 (異世界仕様)バッグ内温度、マイナス40℃まで対応 容量∶無制限 復元機能付き』
……何だか、また知らない機能がついてるよ?復元ってなんだろ?
こういう時は、触らぬ神に祟りなし……触らぬ機能に誤作動なしということで、使い方の分からない謎機能は放置の方向で、うん。
とりあえず〜原付にエンジンかかってるので、このまま移動してみますか!
「え〜と、冒険を楽しみたいルートだと、このまま南下で、目指すはライラナカード王国だね!」
原付バイクのモニターに地図が浮かび上がってきた。
『このまま川沿いに南下です。目的地まで約2500Km』
「!?」
なんかとてつもなく離れた距離が表示されたような……本当に原付で行ける距離なのか?
途中で遭難とかしないだろうね?
「うん……休み、休み行こっかな。別に急ぐ訳じゃないしね」
そうだ、ここ異世界なんだよね。もう会社行かなくていいんだ。自分で時間決めて、自分で動いていけるんだ。
「がんばろ」
こんな時に不謹慎かもしれないけど、嬉しいようなワクワクする気持ちが湧き上がってくる。
もう一度、リアボックスに保冷エコバッグを紐でくくりつけた。
「よ〜し、出発!!」
私と原付は勢いよく発車した。
……
……走行して五分経過。
……おかしい。
この辺りは川沿いの地形らしく、大きめの岩や石が無数に転がっている。
そんな悪路を原付バイクで走行しようとしているので、当然ながら原付バイクがスムーズに動くはずがないはず……なのだ。
「岩とか、絶対踏んでるよね?」
先ほどから岩に乗り……あげないで、石にハンドルを取られ……ないまま、まるで平地を走行しているかの如く、滑らかな運転をしている。
原付バイクから、道路走行時の振動を一切感じない。
ブレーキをかけて、バイクから降りてみた。
そういえば、タッチパネルやリアボックスばかり気にして、タイヤの状態を確認していなかった。
バイクの後輪タイヤがよく見えるように、後ろに回り込んだ時、初めてナンバープレートの異変に気が付いた。
プレートに、登録番号が記載……無いぞ?代わりに……
『ただいま異世界爆走中♡』
「っちょ!おいっ!?どこのお花畑のヤンキーだっ!!ナンバープレートいじってんじゃねぇ!」
なんだこれぇ……なんだこれぇぇ!?恥ずかしい!!ええっいつからこれで走ってたの?どうなってんの?
誰が……ナンバープレートいじったの?
「!」
あ〜あ、考えないようにしてたんだけどな。
この原付バイクとエコバッグの魔改造、何かの力……超常現象を起こす存在の仕業としか考えられないよね。
「神様……とか?」
言ってから怖くなって周りを見てしまった。
これも異世界小説の定番、神様の手違いで転生(転移)しちゃった☆彡チート三昧!……この可能性が高いんじゃないか?
でもさあ、原付バイクとエコバッグはチート枠に入ってるけど、肝心の私がクソ弱いって、どうなのさ?
「はっっ!?」
もっと怖い可能性に気が付いてしまった。
「原付バイクとエコバッグが、本来の召喚対象とか!?」
……言ってて虚しいけど、これも異世界小説あるあるの、私が(人間)オマケでついてきちゃった☆彡展開もあり得る。
もし、原付バイクとエコバッグが召喚対象の主人公様()なら、絶対離れない方がいいよね。
だって神様から授けられたチートいっぱい持ってるもんね。
私なんて、鑑定と採取LV1だよ?
原付バイクとエコバッグの足手まといになってんじゃね?
「ゲホッゲホッ!」
ヒュッと息を吸い込んだ時にむせた。
……喉乾いた。あ、保冷エコバッグの中に水筒入れてたよね?麦茶は仕事中に全部飲んじゃったけど、あれに川の水汲んで持っていけるよね?
生水飲んじゃダメ!だけど、チート様()達と一緒だからなんとかなる、はず。
保冷エコバッグをリアボックスから外して、バッグの中から水筒を取り出そうとして、手が止まった。
あきらかに、水筒が重い。
ゆっくりと水筒を取り出してみた。
「中身……入ってるよ」
いやいや?夕方には持参した麦茶、全部飲みきったよ?水筒の中は空のはず……
おそるおそる、水筒の蓋を開けて覗き込んだ。
「麦茶、入ってる……どういうこと?」




