第三話 私の原付バイクおかしくない?(今更)
宜しくお願いします
「ハマチさん、大変美味しくいただきました!ご馳走様でした!」
大きく手を叩いてご馳走様でしたをしてから、醤油がついたトレイを川の水で洗った。
ハマチの刺身が乗っていたトレイや外装、醤油の蓋のプラゴミ達をどうしようかと思ったが、異世界に違う世界のゴミを捨てるのはマズイ気がして、リアボックスの中のポリ袋に放り込んだ。
いずれ、この食材は底を尽きる。異世界の食べ物を入手出来る手立てを考えないと……
お金も無いしな。
私に狩りなんて出来るとは思えないし。
「これから、どうしようかね」
原付バイクのタッチパネルが起動した。また私の声に反応したみたいだ。音声検索機能、すごいね。
え〜と、何々?
『安全ルート(推奨)このままグラナダラス王国の王都、ビーサムブロスを目指す。市街地は治安良好、働き先も豊富。但し、物価が高く、貧富の差が激しい。王都の外れに貧民街あり』
「貧民街っ!」
日常ではほぼ聞いたことない言葉だ。貧困か、王都なんて華やかなイメージなのに裏に入れば……それはなんか治安良いって聞いても、モヤモヤしちゃうな。
画面の文章には、まだ続きがあるので読んでみる。
『冒険を楽しみたいルート(危険度:中)このまま南下、ライラナカード王国、王都ユルリラ経由マースライア近郊。初級、中級ダンジョン複数あり。光魔の森は冒険者に人気のレベルアップポイント』
「ダンジョン!冒険者!?」
うわ〜これぞ異世界だね!これは、異世界界隈では有名な、冒険者ギルドもあるのではないか?
更に読み進めてみた。
『デンジャラスな旅をしたいルート(危険度:高)このまま南東に進み、ナワワンカ山近郊の黒嵐の森を経由、ダヤカーンムラ帝国へ。黒嵐の森より湧き出る魔素の影響により、高位魔獣が跋扈している要塞都市カジンバがデンジャラスでオススメ。冒険者レベルS以上推奨』
「魔獣!?跋扈……かなり不吉なワードだ」
どうやら原付バイクナビさん?は、三パターンのオススメルートを教えてくれたみたいだ。
異世界ド素人の私からすれば、安全ルートが良いんだろうけど……う〜ん。
もちろん、デンジャラスルートはダメ絶対!だし、やっぱりダンジョンとか冒険者とか行ってみたいし、やってみたいよね〜!
よ〜し、ここは『冒険を楽しみたいルート』だよね!
「……ってか、私ってマトモに戦えるの?」
また私のボヤキを、原付バイクの音声検索機能が拾ってくれたみたいだ。
今度は画面から、着メロみたいな軽快なメロディーが流れてくる。
メロディーが止まって、画面が切り替わった。
「……!!これは!?私のステータスだ!」
『名前∶仲谷 葉月 26才 LV001 体力0010
筋力0005 魔力0010 判断力0020 瞬発力0005
スキル∶鑑定LV1 採取LV1
ユニークスキル∶原付バイクLV1
特殊スキル∶エコバッグLV1』
「ああ〜二十六って!そうなんだけどぉ、実年齢のままだぁ!どうせなら幼女化して若返りたかった〜!……違うっそうじゃない!」
私、くっそ弱すぎ……それよりも注目すべきなのが、ユニークスキルと特殊スキルだよ……これなに?
原付バイクとエコバッグが、レベルついてんのが謎なんですが?
原付もエコバッグもレベルって上がるの?
異世界だから、深く考えたらダメなのか?
「う〜ん」
とりあえず、原付に乗ってりゃバルバウルフとかに襲われても、ぶっちぎりで逃げ切れるし、当面の食料はエコバッグに詰まってる。
お金は『鑑定』と『採取』で、これも異世界定番の採取依頼でチビチビ稼げるんじゃないか?
……まあ、全部推測ばっかりだけど。
あっそうだ!『鑑定』が使えるんなら、この原付バイク、鑑定してみようかな?
原付バイクからやや離れてから、鑑定!と、叫んでみた。
原付バイクのシート辺りに立体パネルみたいなのが、ビョンと飛び出してきた。
近づいて確認する。
『原付バイクLV1(異世界仕様)排気量∶1000万cc 使用燃料∶魔素 リアボックス∶無制限 走行時ステルス機能付き』
「……」
なんか、私の原付おかしい?排気量がバグってないか?燃料ガソリンじゃないの?魔素って何?リアボックス無制限?ステルス?
やっぱり深く考えたらダメなのか?
仕方ない、これも異世界あるあるだけど言っておこう。
「異世界だから、しゃーないか」
ブルルッ……
何故か、原付バイクのエンジンがかかった。
タッチパネルモニターを見ると、正面の上のほうに『魔素フル充電完了』と、出ていた。
なんか、よく分かんないけどガソリンスタンド行かなくても、原付バイクが適当〜に充電してくれているみたいです。
「異世界だから、まぁいいか」
深く考えたらダメなのだと、確信した。




